【長崎県】幸せの黄色い列車で島原半島を訪ねる

愛読書は時刻表。暇さえあればリュックひとつで旅に出かける私は、こよなく愛する鉄道で絶景巡りをしています。今回は長崎のローカル私鉄「島原鉄道」に乗って美しい沿線の風景や観光スポットをご紹介したいと思います。
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特急「かもめ」から西九州新幹線「かもめ」へ

2022年9月23日に西九州新幹線が部分的に開業予定です。西九州新幹線「かもめ」デビューで博多からのアクセス方法が大きく変わることが、華々しくPRされています。一方で長崎県内から消えていくのが、885系の特急「かもめ」。秋以降乗れなくなる前に列車に乗っておこうと思い久しぶりに長崎を訪れました。

私の息子が2歳のとき、初めて買ったプラレールが特急「かもめ」に使用される885系。思い入れのある車両です。今後も九州内を走り続けますが肥前鹿島ー長崎間からは姿を消すことになります。
新しくなった諫早(いさはや)駅から島原鉄道へ
長崎駅から特急「かもめ」に乗って25分。諫早駅にやってきました。佐世保に向かう大村線、そして今回ご紹介する島原鉄道が分岐する鉄道の要衝です。西九州新幹線も停車する予定です。新幹線開業に伴い、駅も見違えるほど立派になりました。

島原鉄道は一旦JRの改札を出て、真新しい駅の中2階から発車します。

私が使ったのは「島原半島周遊パス」。土日祝日のみの発行していて、島原鉄道、乗合バス(長崎空港行きバス含む)、フェリーが乗り放題。島原鉄道全線を往復すれば元が取れるだけでなく、雲仙温泉まで行くと片道5,000円が2,500円で行けてしまう太っ腹なきっぷです。1DAYパスは2500円、2DAYパスは3,500円で販売されています。
島原鉄道は諫早駅から島原港駅までの43.2kmを結ぶローカル私鉄。2015年から「しあわせの黄色い列車王国」と銘打ち、沿線4市を1つのテーマパークと捉え、食と人とのつながりを楽しむ「ローカル鉄道のディズニーランド」を目指したプロジェクトを行っています。その象徴がこの黄色い列車です。
海を望む駅で有明海の絶景を楽しむ

吾妻(あづま)駅を過ぎると諫早湾。海沿いを走ります。吾妻駅の手前に愛野(あいの)駅があるのですが続けて読むと「愛しの吾が妻」ということで愛妻家の聖地として親しまれています。片道切符のついた「最愛認定証」も両駅で販売していますよ。
途中の古部(こべ)駅で下車。ここは線路一本隔てた向こうが有明海で海風が気持ちよく感じられます。
古部駅もとても海に近い駅ですが、それほど有名ではありません……。それはこの島原鉄道には古部駅を上回る全国的に有名な「海に近い駅」があるからです。
日本で一番海に近い駅「大三東(おおみさき)駅」
ホームの向こうは、もう有明海。大手飲料メーカーやハンバーガーチェーンのCMの撮影場所になっていて、この景色に見覚えのある方もいるのではないでしょうか。日中は多くの観光客がこの駅を訪れます。
大三東駅の特徴は海に近いというだけではありません。この駅を訪れた人たちが願い事を書いた「幸せの黄色いハンカチ」が潮風になびいている姿を見ることができます。
今回は潮の引いた時間に来ましたが、有明海は潮の干満差がとても大きいことでも有名です。次は満潮時を狙って違った景色が見たいですね。
鯉の泳ぐ城下町・島原を歩く

列車は島原駅に到着しました。島原市は島原半島の東岸に位置する中心都市。城を模した駅舎でお分かりのとおり、島原城を擁した城下町です。
駅から徒歩10分で島原城跡に到着します。白壁の天守は、なかなか見事です。今は民俗資料やキリシタン資料を集めた展示館になっています。

天守からは島原の町が一望できます。町の向こうにそびえるのが雲仙岳。雲をかぶっているのが最高峰の平成新山。平成3年の噴火でできた山です。同年6月に流れた火砕流は島原市や隣の南島原市に大きな被害をもたらしました。温泉など恵みをもたらす火山ですが災害の原因にもなる。共生するのは難しいものだと感じます。

城の見学をしたところで少し休憩。この日の西九州は日本一の暑さを観測していました。外の温度が36℃……。たまらず城の前の売店に避難しました。夏の旅にぴったりのそうめんをいただきました。島原はそうめんの産地です!
城の麓にある武家屋敷群。400年前の武家の生活を偲ぶことができます。用水路が真ん中を流れているのが特徴で今もきれいな水が流れる名所になっています。
武家屋敷から少し南に歩けば水のきれいな池や水路に鯉が元気に泳いでいます。……のはずなんですが、水路の鯉は暑いのか橋の下の影に隠れていて出てきませんでした。
少し南に下ると足湯がありました。歩き疲れた脚を癒すにはもってこい。地元の方も浸かって井戸端会議をしていました。市民の憩いの場にもなっているようです。
船でも鉄道でもアクセス可能な町「島原」
島原鉄道は南に走り終点の「島原港駅」へ。かつてはこの先の加津佐まで半島をぐるっと回り結んでいましたが、2008年に廃止になってしまいました。
島原港の最寄り駅となる「島原港駅」は、フェリーが三池(大牟田)や熊本を結んでいます。博多から島原に来る場合、島原鉄道経由ではなくフェリーを使うほうが速いこともあって島原の人にとってフェリーは重要な移動手段です。

島原半島は世界遺産で島原の乱の舞台となった原城跡や雲仙温泉、西岸に小浜温泉もある観光資源の宝庫。次は2dayパスを使ってもっと深く島原半島の魅力を知る旅をしたいと思いました。