朝食がすごいシティホテル3選/ホテル評論家・瀧澤信秋 連載vol.4
「シティホテル」や「ビジネスホテル」というのは耳慣れたホテルカテゴリーでしょう。どんな違いがあるのかというと、シティホテル=高級、ビジネスホテル=リーズナブルといったイメージを抱かれている方は多いかと思いますが、業界ではそれぞれの定義があり、シティホテルは宿泊以外のレストランや結婚式、宴会といったサービスも提供するホテルを指し、ビジネスホテルとは宿泊に特化したホテルという位置づけになっています。
すなわち、シティホテルはサービスの幅が広く、宿泊サービス以外に多様な料飲施設を有するホテルも多く、グルメという点でも奥深さを感じます。料理人や調理設備といった点でも充実度は高く、ゆえに朝食だけをとってみても見せ方から食材、調理に至るまでバラエティに富んでいます。何より、通常はディナーも提供するような会場で供されるだけに、ゆとりを感じる(それでも混雑するのを見かけますが)朝食時間を過ごすことが期待できるでしょう。
今回は、特徴的な部分にフォーカスしつつ3つのシティホテル朝食を紹介します。
写真/瀧澤信秋
目次
朝食にエゾシカ!? 道産食材の圧巻メニュー【北海道】センチュリーロイヤルホテル
道都・札幌の玄関口である札幌駅至近にそびえる高層ホテルです。最上階の回転レストランが印象的。近年、リニューアルも施されましたが、おすすめはエクスクルーシヴ フロア ブランの客室。大きな窓から北の都を望む、本当にゆっくりしたくなる客室。夏も魅力ですが、暖かな快適客室から望む窓外の厳冬は、札幌ホテルライフで旅情感じる瞬間であります。
客室同様にグルメ度も格段にレベルアップしているホテルで、トリップアドバイザー「口コミで人気!朝食のおいしいホテルランキング 2019」全国第3位を受賞したことで一躍全国区のホテル朝食となりました。道産食材をふんだんに用いた圧巻のメニューも魅力ですが、料理名やブッフェボードでのディスプレイ、照明など隅々まで気遣いが見られます。
四季折々の北海道食材が充実したサラダバーも圧巻。20種類以上のドレッシングやオイル、トッピングが五感を刺激し、選ぶ楽しさが演出されています。また、珍しいメニューとしては、ザ・北海道の味覚ともいえるエゾシカ肉料理であります。高タンパク・低カロリー・鉄分が豊富なヘルシー食材・エゾシカ肉料理の味わいにここは北海道を実感することでしょう。
ほかにも体に優しい健康に配慮した北海道産玄米を用いた玄米メニューや中華料理、北海道産チーズや豊富な北海道産のジャム、ソースも添えられた焼きたてパンも人気です。もちろんできたてのおいしさ「実演」メニューも。ふわふわのオムレツにシティホテルの格を感じます。
完璧なエッグベネディクト【大阪】ホテル阪急インターナショナル
大阪からはラグジュアリーホテルの名門フレンチでいただくすごいメニューを紹介します。大阪駅から茶屋町を散歩しつつアクセスも楽しいホテルです。なにより高層の目立つ外観なので、歩いていても迷わず到達でき、客室フロアは最低層でも26Fなので素晴らしい眺望が楽しめます。
高層客室ならではの開放感あふれる眺望は、南側ならば大阪市街が眼下に、北側なら横断的パノラマビューが広がります。まさにホテル立地の恩恵といえます。調度品も申し分ないクオリティー。ベッドも浮揚感に感動しつつもほどよいホールド感がある寝心地で快眠を約束します。随所に利用者目線を感じるポイントがありおもてなしの心を感じます。
筆者は断然和食派ですが、こちらのおすすめ朝食は、25Fに位置するスペシャリティレストラン「マルメゾン」。エレベーターで25Fに降り立った瞬間、眼前に広がる豪華なアトリウムロビーに驚きつつ品格ある店内へ。
ホテル朝食でエッグベネディクトは定番メニューですが、これほど完成されたプレートは希有でしょう。エッグベネディクトにいたく感動しますが、オムレツにも唸ります。パン好きに熱烈ファンが多いという自家製パンは確かに見た目も素晴らしいビジュアルです。料理の内容はもちろんですが素晴らしいサービスにも感動。朝というのを忘れてしまいそうな充実時間が過ごせます。
ホテルクオリティーが光る華やかな朝食【広島】福山ニューキャッスルホテル
最後にご当地を代表する伝統的な地方シティホテルの朝食にフォーカスします。新幹線ののぞみも停車する広島県福山市は、広島市に次いで、46万人の人口を有する県を代表する都市です。新幹線の車窓からもホテルを望めますが、ホテルのハイフロアからは新幹線ビューも楽しい福山駅と福山城の雄姿が。福山城といえば2022年は築城400年ということで、長らくリニューアル工事が施されていましたが、8月末に見事に再オープンしました。
JR福山駅から徒歩約1分という最高立地でもあり、ハイフロアからの福山城&新幹線ビューはなかなかの光景。ロビーの生花に迎えられ、スタッフのホスピタリティマインドにも癒されます。新幹線アクセスだっただけに改めてその便利さを実感。ご当地を代表するような独立系フルサービスホテルって独特の空気感や存在感があり、地域色を醸し出しつつもグローバルを意識したサービス模索などホテル評論家的には萌える存在。とにもかくにも駅前&ご当地代表フルサービスというのは最強であります。
そんなホテルだけにコミュニティ機能が高く料飲施設も充実。和洋中ともホテルクオリティーの料理を堪能できますが、ホテル朝食としてはブッフェと和食ダイニングで提供されています。広島のご当地シティホテルらしく牡蠣フライがたっぷりと。タルタルソースに加えて中濃ソースも添えられており、「わかってるぅ」と唸ってしまいます。
「和食堂 鞆の浦」の和朝食も注目です。分厚くジューシーな鮭の存在感に圧倒されます。決してビジネスホテルの朝食ブッフェではお目にかかれないクオリティー。ブッフェも和朝食でも無論その他メニューもおいしいわけですが、牡蠣フライや鮭といった、誤解を恐れず言うとある種の“1点豪華主義”はシティホテルの奥深さすら感じるのであります。
おわりに
ブッフェ、フレンチ、注目メニューとバラエティ豊かに紹介したシティホテル朝食いかがだったでしょうか? シティホテルといっても多種多様、日系の伝統的ホテルから外資系高級ホテル、地方を代表するような格式あるホテルまでさまざまです。共通するのが高いサービスレベルとホスピタリティマインドでしょうか。ゲストを唸らせるシティホテル朝食はまだまだたくさんあります。みなさんも是非お気に入りを見つけて下さいね。
なお、ホテルによって紹介したメニューが変更になる場合などありますので、実際の利用に際しては公式サイトなどでチェックいだたければと思います。