民間運営が全国の先駆けとなった佐賀県武雄市の新名物・武雄市図書館を訪ねる
静岡県在住。愛読書は時刻表。暇さえあればリュックひとつで旅に出かけるLIKESライター・なおは、こよなく愛する鉄道を使って絶景巡りをしています。今回は全国から注目される佐賀県武雄(たけお)市の「武雄市立図書館」へ行ってきました。なぜ話題になったのかその理由が分かりました。
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多くの人が足を運びたいと思える場所へ
今回は、佐賀県武雄市を旅しています。昨秋西九州新幹線が開業して活気に湧く町ですが、実は新幹線が開業する少し前にも話題にあがったことがありました。
それが武雄市図書館。バブル末期より計画された事業で、2000年に竣工した建物自体もモダンで快適な空間を演出しています。特に注目を浴びたのは2013年にTSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を指定管理者に指名。民間の会社が公立の図書館を運営するのは全国初のことでした。そもそもノウハウがあるのか、本の選定が民間の恣意に流され市民の知る権利が奪われるのではないかなど賛否両論の議論が繰り広げられ、誘致を検討した町で反対運動が起きたのも記憶しています。
同年に館内を改装し、当時は館内飲食禁止が当たり前だった図書館にスターバックスを誘致。1階には蔦屋書店をおき本はもちろん雑貨の販売も行うようになりました。
2階は弧を描くように書棚が並べられ、統一美を演出。階下を見下ろす回廊を歩きながらゆっくり本を選べる造りになっています。改装前は机が並べられ学習スペースでしたが、確実におしゃれ感が増したように思います。
訪れたのは日曜日で、スターバックスは大盛況でした。改装後、図書館の貸出し冊数はそれ以前の4倍に増加し、武雄市の新名所として全国から観光客も押し寄せています(私もそのひとりです)。1階は賑やかですが2階は学習スペースがあり、大きな本棚に音がさえぎられることで静かです。ただ賑わうだけでなく、静かに学習する場もしっかり提供できています。
蔵書が多くて名著を多く揃える図書館でも、建物が古かったり、併設の施設が魅力的でなかったりして貸出し数が伸びないのでは宝の持ち腐れです。他の町も民間の力に頼るべき、カフェを入れるべき、とは思いませんが多くの人が足を運びたいと思えるような環境づくりをすることは必要なのではないでしょうか。
建物が美しいとか、カフェが入っているということだけでなく、貸出時間を午後9時まで延長するなどの利用しやすさにおける工夫も行っています。
◆武雄市図書館
住所:佐賀県武雄市武雄町大字武雄5304番地1
電話:0954-20-0222
営業時間:9:00~21:00
定休日:無休
夢中になれる空間が広がる「こども図書館」
さて、武雄市図書館はあまりに有名になりすぎたためか写真を撮る人が続出したため写真撮影が可能なのは2か所だけでした。一方、その隣に5年前に建てられた「こども図書館」は撮影が自由です。
こんな素敵な環境で本を読めたら、また来たいって思うお子さんが増えますよね。最近全国的に子ども向けの図書館が増えていますが、未来を背負う子どもたちに学ぶ環境を与えるのは非常にいい取り組みです。
◆こども図書館
住所:佐賀県武雄市武雄町大字武雄5304番地1
電話:0954-20-0222
営業時間:9:00~21:00
定休日:無休
旅の締めくくりは武雄のパワースポット「武雄神社」へ
図書館を見学したあとは、近くにある武雄神社を参拝しました。石垣の間に神社への階段があります。なかなか珍しい形です。武雄神社の神木は樹齢300年以上。
こちらの鳥居をくぐり、森林浴をしながら歩いていくとご神木に会うことができます。
何百年もの間、この地に根を張り武雄の発展を見つめてきた御神木。こういう木を前にすると自分が悩んでいることがすごく小さく思えます。
武雄の旅の最後に、傘みくじという傘の形をしたおみくじを引いてみました。運勢は晴れなどの天気で表現されています。
◆武雄神社
住所:佐賀県武雄市武雄町大字武雄5327
電話:0954-22-2976
御朱印受付時間:8:00~17:00
アクセス:武雄温泉駅より祐徳バス武雄保養センター行きのバスで武雄高校前へ、徒歩約3分
さいごに
温泉の開湯から1300年。宿場町としても栄えた武雄は古いものだけに頼らず、一大スパリゾートを建てようとしたり、図書館を民間委託したり新しいことにチャレンジする進取の精神に富む町でした。西九州新幹線にただ乗り換えるだけでなく、ぜひここで下車して武雄の町を歩いてみてください。