〜変わりゆく南の島、石垣島〜 島んちゅとのドライブ

沖縄県

2024.12.12

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〜変わりゆく南の島、石垣島〜 島んちゅとのドライブ

石垣島といえば、常夏のリゾート地として人気の場所。ですが、コロナ禍は「コロナ感染拡大警報」もあり、観光客の受け入れが難しくなっていました。そんなもどかしい時期を経て、石垣島に約30年通い続けている旅色LIKESメンバー・いぬさんもついに再訪できました。今回は、長年の友人である島んちゅ(島出身)とともに久しぶりの石垣島ドライブをしたことで見えてきた、変わりゆく石垣島や自身の気持ちの変化などを教えてもらいました。

目次

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ようやく実現した石垣島・島んちゅとの再会

沖縄で生まれた文化「共同売店」

カヌー、SUP……移り変わる観光

約30年石垣に通い続けた私が、今回初めて訪れた場所

かつてダイビングで賑わった川平集落のいま

友人がかつて教えてくれた景色はサザンゲートブリッジからだった

「なんか違う」 かつて惚れた景色に対して感じた違和感

「君の住む島はやっぱ素敵だね」

どんなに景色が変わっても、好きな気持ちは変わらない

◆この記事を書いたメンバー

ようやく実現した石垣島・島んちゅとの再会

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夏の光に包まれる石垣は何年ぶりだろう。飛行機に乗る前からワクワクとドキドキが止まらない。何十年も通い続けた、愛してやまない場所。直行便なら2時間でいけるのだが、今回はあえて初めて降り立った時と同じように那覇からJTA日本トランスオーシャン航空で向かった。南西航空時代からの機内誌「コーラルウェイ」も南の島への気持ちを高めてくれる。広島から博多、博多から那覇、そして石垣へと向かう。南の島のリーフ(※1)が見え隠れする宮古島を過ぎると、まあーるい多良間島が見えてきた。そう、石垣はもうすぐだ。
空港には30年来の島んちゅの友人が迎えにきてくれた。彼はコロナ禍に何度も行こうとする私に「来ないで」と言い続けた石垣生まれ石垣育ち。病院が少ない島の人の思いを知っている私としては、その友人に会う・会わないは別としても、やはりなかなか行けなかった。この夏、ようやく実現した石垣島との再会。そして友人との再会。島んちゅは「空港より先はなかなか行かないさー久しぶりだなぁ」とドライブしてくれた。

※1 リーフ:岩石や珊瑚などによって海底の突起した部分。

沖縄で生まれた文化「共同売店」

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共同売店とは、住民らが資金を出し、みんなで運営するお店のこと。食品から生活雑貨、文具など暮らしに必要なものが一通り揃う

空港を出て北に向かう途中の集落にある共同売店は今も健在であった。初めて見たときは「共同売店」という言葉が新鮮だったし、看板ではなく、直接壁に書かれた店名もインパクトがあった。台風の被害を防ぐ為、飛びそうな看板をあえて着けない島の知恵である。30年以上変わらないこのお店の姿に感慨深くなったが、島んちゅは「ドンキの向かいにニトリができた」と島の新しい発展も教えてくれた。

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「THE玉取崎」と言わんばかりの絶景

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玉取崎は、「シーサーのしっぽ」とも呼ばれる平久保半島と石垣の美しい青い海を一望できる景勝地

久しぶりの玉取崎(たまとりざき)だけど、島んちゅにとってはもっと久しぶりだったらしく、展望台へ上がる道は私が主導した。島んちゅにとって玉取崎は遠い(市街地エリアの美崎町から車で35分ほど)。そこから更に北へ向かうことは余り頭の中にはないそう。なので、私が昔話に夢中になり過ぎて、平久保半島(※2)を北に向かうお願いをしそびれてしまった。少し残念。

※2 平久保半島:玉取崎よりさらに北上すること車で30分、石垣島の北東部から長く突き出した半島。2021年9月に開通した平久保半島エコロードは石垣島の空、海、山、と絶景の連続を楽しめると話題になっている。

カヌー、SUP……移り変わる観光

「カヌーでのマングローブ散策」といえば、石垣観光で人気のアクティビティだが、初めて来た頃はなかった旅体験だ。そんなカヌーも、今やSUP人気に押され気味である。カヌーに乗るなら私のイチオシは吹通川(ふきどうがわ)。玉通崎から車約20分の伊土名(いとな)ビーチ近くを流れており、マングローブ群落へ向かう際は浜辺近くの砂浜でボートに乗る。カヌーに慣れた頃に川の浅瀬で降りてマングローブを探検すると、カニやシャコの巣、トントンミー(※3)など発見がいっぱいで楽しい。さくっと半日のツアーなら石垣市内から行きやすい宮良川(みやらがわ)が手軽である。こちらでは、カヌーに乗る際にカニなどを見る程度でボートを降りないツアーが多いので、SUPの方が向いているかもしれない。どちらにしても、石垣の川はそれほど大きくなく、風の影響も受けにくいのでどの世代でも楽しめると思う。
車は走り続け、時折見える集落は変わりなさそうに見えるが、ぽつんとあったレストランは閉まっているようだった。コロナの影響かその前からかは定かではない。

※3 トントンミー:ミナミトビハゼの方言名。ピョンピョン跳ねる姿から名付けられたとされている。

約30年石垣に通い続けた私が、今回初めて訪れた場所

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実は、私には石垣でまだ一度も行ったことない場所があった。それが「米原ヤエヤマヤシ群落」である。ヤエヤマヤシとは、石垣と西表島にのみ自生するヤシの木で、米原地区にはその大群落があるのだ。ホテルのツアーデスクをしている頃に必ず説明はしていたけれど、間近で見るのは初めてだった。説明の看板も天然記念物の碑も昭和のままだけど、ヤシの木はとても高く成長していた。

かつてダイビングで賑わった川平集落のいま

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かつて日本一早い海開きが行われた底地ビーチ

車は米原のビーチを過ぎ、島唯一の滝である「荒川の滝」を過ぎ、川平(かびら)湾が見えてきた。景色はその時々の自分の思い出させてくれるのと同じように、島んちゅも遠足が滝だったり、ビーチだったり……と今まで聞いた事のないずっと昔の話をしてくれた。そんななか、郵便局や学校など、昔と変わらない集落の中に生まれ変わった有料駐車場が。「綺麗になったら、お金とるのかぁ」と島んちゅは驚いていた(6年ぐらい前に私が来た時はすでにあったはずなんだけど)。
川平へはダイビングにハマっていたころにかなり通っていたが、たくさんあったダイビングショップの看板も今や一軒ほど。潜った後にアイスを食べたり、洗剤を買ったりしていた川平のコンビニ的存在「仲間商店」もシャッターが降りていた。けど、変わらない石垣を代表する美しい海景色を見ようとグラスボートの乗降場には観光客がたくさんいた。その様子にたくさんの想い出が甦ってくる。
同じ川平集落にある底地(すくじ)ビーチに行ってみようと車を走らせた。このビーチは遠浅で砂地なので珊瑚がない。石垣にシュノーケルで来る人には人気がなく、流れが少ないのでハブクラゲの心配も。そのため、ハブクラゲネットがあったが人は誰もいなかった。代わりにアカショウビン(※4)が私たちの訪問を歓迎するかのように綺麗な声で鳴いていた。サンセットが美しいここにはダイビング仲間とよくやってきた事を思い出した。今もきっとサンセットは美しいはず。川平集落をあとにして御神崎(おがんざき)灯台に向った。

※4アカショウビン:全長27cmほどの鳥。全体が鮮やかな赤褐色でくちばしは赤色。腰に青色の斑がある。

友人がかつて教えてくれた景色はサザンゲートブリッジからだった

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景色に見惚れている間にプレジャーボートが通りすぎていく。ボートの性能が格段に早くなり、ダイビングショップは川平でなくてもよいかもしれない

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海の濃い青、リーフのドロップオフ……そこにはどんな魚達の世界があるのか想像するのも楽しい

灯台からの景色はいつも素晴らしく、地球が丸いと感じさせてくれる。稀に見る天気の良さだったので小浜島、西表島、微かに鳩間島が見える。鳩間がわかるのは本当に珍しい。

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絶景を楽しんだあと、「一本マングローブ」で有名な名蔵(なぐら)湾沿いを走り、石垣島最大級のプールエリアがあるリゾートホテル・フサキリゾートの前を過ぎ、竹富島が一瞬見えたかと思うと、また新しいホテルが出来ていることに気づく。サンシャインホテルという施設しかなかったこの通りもこの30年でいくつ大きなホテルができたことか……。そんなことを考えながら、前からリクエストしていた白保へ。途中、せっかくだからとサザンゲートブリッジを渡った。「ここの海を眺めによく来る」というその海は、以前島んちゅが私に写真を送ってくれた風景だった。これも私の知らない美しい石垣だ。

「なんか違う」 かつて惚れた景色に対して感じた違和感

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1991年の「コーラルウェイ」に白保の記事

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ずっと見たかった白保の海

初めて白保の漁港を見た時、時が止まったような手作り感のある姿に見惚れてしまった。時が止まっているような感覚の間も、遠くのリーフにぶつかる波の音と、足元の波の音が静かに聞こえた。サバニ(※5)も一艘だけ泊まっていた。
この場所は新石垣空港の候補地にも選ばれていたが、椎名 誠監督の『うみ・そら・さんごのいいつたえ』という映画で白保の青珊瑚が世界的に珍しいと話題になったため、候補地から外された。島んちゅが近くのホテルで働いていた時、毎日のように白保にゲストを送迎していた。その彼が「なんかさ、周りを囲む珊瑚が小さくなったよね」とぼそっと言った。「なんか違う」と思った違和感はそれだったのかもしれない。初めて見た時から随分と長い時間が流れた事を改めて実感した。シュノーケルツアーで何度も入ったこの海の青珊瑚はどうなっているのだろう……。

※5 サバニ:沖縄や周辺の島々で古くから使われていた船。主に漁業や荷物の運搬、人々の移動手段として活躍。

「君の住む島はやっぱ素敵だね」

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空の青、海の青、市内の建物の白、そして農地の緑。少しほっとした。いつまでもこの長閑な島であって欲しい

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白い雲の影が映るほど凪いだ海

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宿泊したホテルからのサンセット

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たくさんドライブしてくれてありがとう……石垣島、島んちゅ

「石垣の人口がついに5万人を突破したんだよ。自衛隊が来たからさ」と島んちゅが言う。前から聞きたかったその話題。のどかな南の島に自衛隊が来ることの意義、島の人の思い……。「仕方ないかも」そう返ってきた。
そんな話をしながら人気スポット・バンナ展望台へ。ここから見る石垣市内はあまり変わってないように思えた。素晴らしく天気がよかったので、二人で島を一つひとつ確認した。「竹富、黒島、小浜島、西表島……すごい、鳩間も見える!」「あの奥はパナリ島かね。さすがに波照間は見えないね」。やっぱり石垣はいい。いつまでも美しい島であって欲しいと切に願う。
その後、竹富島がよく見える牧場跡地にできた「ミルミル本舗」でアイスクリームを食べた。ここが牧場だった事を知らない観光客がひっきりなしにやってくる。当時の懐かしい思い出を語りながら、今回のドライブは終わった。

どんなに景色が変わっても、好きな気持ちは変わらない

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石垣の港はいつしかどんどん立派に、海へ海へと広がり便利になった。見るか見ないかの程度の数だった海上保安庁のいかつい船は、尖閣の問題が起きて以降、今や10隻となっていた。港には尖閣情報発信センターもできていた。
コロナが終わり、観光客も戻ってきた。老舗のホテルはコロナ禍にリノベーションを終え、新しいホテルも増えた。受入れる箱は増えたけど、人が足りない。ランチ営業ができないホテルも多い。偶然入った老舗ホテルの昔からあるレストランでは、注文を取りに来たのがインドネシア人、食事を運んできたのは中国人、会計はベトナム人だった。また、竹富島行きの船に乗ったら広告に「沖縄楽しかったでしょう、次はあなたもリゾートバイト」の文字。人手不足は深刻のよう。
私がスティした日、石垣は最高気温を更新した。サンゴは海水温の上昇にともない白化が進み、かなり打撃を受けているという。日本の問題はこの小さな島も同じだった。

色んな思い出が蘇り、たくさんの感情が湧きあがったが、これからも石垣が大好きなことに変わりはない。

◆この記事を書いたメンバー

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いぬさん(6期生)
広島在住。いつか行きたい……と思ったまま流れてしまった時間を取り戻したく、「いつかじゃなく、今行きたい。来月行きたい。春に行きたい」と行動したいと思っている旅好きメンバー。

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#沖縄県 #旅色LIKES #石垣島

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