地の時代から風の時代へ 妄想宮古島トリップ
旅をするように暮らし、暮らすように旅をしたい旅色LIKESライター・リリのフォトエッセイ。近頃YouTubeで宮古島のヒーリングミュージックをよく聴いていたからなのか、仕事で琉球石灰岩のことばかり考えていたからなのか、急遽、宮古島へ行く機会が舞い込んだ。オフシーズンである冬の宮古島は人も少なく、のんびりとした空気感と美しい景色が広がっていた。海以外に際立った見どころがすぐには出てこない島だけど、なんか良いのだ。海が、夕日が、星が、この上なく美しい。この島には近いうちにもう一度導かれるような予感がある。だからこそ、次はどう過ごそうかと妄想旅計画が始まった――。
目次
宮古島で出会った豊かな島時間
着くや否や、南国らしいゆるりとした空気感に魅了された。鮮やかな花々や本州とは異なる生態系が、遠くまで来たことを実感させる。冬でも半袖か薄手の長袖1枚で過ごせる気候も良い。
ホテルにチェックインしてから夕食までに少し時間があったので、周辺を散歩することにした。ホテルの敷地内から見える「博愛わいわいビーチ」という、こぢんまりとした人工ビーチを目指す。コバルトブルーのグラデーションがとても美しい海は、湾になっているため波が穏やかで静か。のんびりするにはうってつけの環境だ。湾にせり出すように道があり、その先に見えた東屋を目指し進んでいくと、地元の人と思われるおじさんが三線の練習をしていた。日が落ちる前の平日午後のひと時。静かな海辺で、のんびりと音楽を奏でる姿が眩しかった。なんて豊かな時間だろう。波や風、鳥のさえずりといった自然の音に、自分で奏でる音が調和していく。おじさんにとって、これが日々の日課なのか、たまたまなのかはわからない。私には無性に羨ましく感じられた。隠居生活みたいだと笑う人もいるかもしれない。でも早く仕事を切り上げて、天気が良いからと海に行く日があっても良いじゃないか。そんな自由と自然と共存した暮らしが得られたら最高だと思う。
贅沢な食事のその先に……
今回はいわゆるビジネス接待による宮古島旅行。ありがたいことに連日連夜にわたり、会食という名の豪華な食事が続いた。仕事で宮古島に行ける、仕事でおいしいものが食べられる……それは憧れの世界なようでいて、多くの闇も抱えている。私はこれまで接待をすることもされることもほとんど縁がなかったが、ともに過ごした人たちの多くは企業の重役クラスであり、出張・接待の猛者たちだった。彼らは昭和・平成が生んだスーパースター、企業戦士だ。出世とフライトマイルを引き換えに、健康な身体と理想の体型を手放してきた。出世するのも命懸けらしい。旅をすると、食べたいものと食事の回数や量が合わないという悩みにはよくぶち当たるものだが、接待は望むか望まないかに関係なく、ステーキ、鮨、フレンチのフルコース、高級焼肉、BBQ……といったハイカロリー、ハイファットの品々が毎食大量のお酒と共にこれでもかと押し寄せる。贅沢に聞こえるかもしれない。だけど、それは誰のためにセレクトされているのか、よくわからない時がある。高級品を並べておけばOKという接待はもうミスマッチなのではないか、古い価値観や思い込みなのではないか、と彼らと過ごしながら感じた。大半のミドル世代以降は脂たっぷりのお肉は食傷気味なのに、脂たっぷりサシだらけの肉を注文して誰も手をつけたがらないなんてことは本来あるべき姿ではないし、満腹で動けなくなるまで食べさせることが健全なわけがない。気を遣っているようでいて食ハラや食品ロスにも繋がりかねず、誰も得をしないのだ。自分の財力では体験できない豪華な食事はもちろんおいしかったし、貴重な経験だった。心から感謝している。だが心も身体もそれを食べることを望んでいるかといえば、答えはノーだ。たまに食べる贅沢な食事は心を豊かにするだろう。贅沢と幸福は違うのだと改めて認識した。だから毎日がハレの日でなくて良い。それぞれの身体に合うものを適量食べることが一番。仕事だからといって我慢は必要ない。そろそろ地の時代(西洋占星術からみて、1800年~2020年ごろまで)に根付いたビジネスの慣習は終焉に近づいている。本当は多くの人がなんとなく気づいているのだ、古い価値観を手放す時はすぐそこに迫っていることを。豪華さや物質的な贅沢を求めるのは、時代の流れにマッチしなくなってきた。でも、一緒に過ごす有意義な時間はプライスレス。もっと健全にお互いが幸せになる道がきっとあるはずだ。
遊びではないからと一蹴されればそれまでだが、こういう旅行での悲しい出来事がもう一つ。それは目を見張るほど美しい夕日を、会食会場へ向かう車の中からのほんの一瞬しか見られないことだ。オレンジ色に輝くまん丸な太陽に目を奪われたのも束の間、車は街中を駆け抜けていく。もちろん車を降りて夕日の写真を撮ることも、海辺で日の入りを待つことも許されない。夕日が美しい時間は常に移動の車中なのだ。そして誰も夕日には目もくれないこと、それが本当に切ない。
次に行く時はどう過ごす? 宮古島妄想トリップ!
初めて訪れた宮古島はのんびりと“何もしない”を楽しみたいと感じた。近いうちにきっとまた宮古島を旅するだろう。その時は今回できなかった海に落ちる夕日や星空を慈しみ、もっと自然を享受し、人間も自然の一部であることを実感できる旅にしたい。そして旅というからには観光だけではない、地元の人との交流や文化的背景を体感できるような、もう一歩踏み込んだ体験をしたい。
さて、どこに泊まろうか? 海辺のリゾートホテルでラグジュアリーに過ごすのも良いけれど、一棟貸しの宿や伝統住宅に泊まって暮らすように旅してみたい。例えば、「ヒララ、もてなしの宿 zaya」や「かたあきの里」はどうだろう。沖縄ならではの赤瓦の古民家でゆったりとした時間を楽しむひと時を想像してみる。日の出とともに波の音を聞きながらビーチでヨガや瞑想を行い、オーガニックの島野菜をたっぷり使った健康的な食事、のんびり読書をしたり、島を散歩したり。夕日を見に海岸に繰り出し、満天の星空を観察しながら念願の軌跡写真を撮るのも良いだろう。オフシーズンの想定だから、マリンアクティビティに参加するならシーカヤックかな。スケルトンのカヤックがあるらしい。透明度の高い美しい海で、浮かぶように海を探検できるのは素敵な体験になるだろう。それから伝統料理のワークショップも楽しそうだ。宮古島で出張お料理サービスをしている「あんなゴハン」で地元のあんな(=お母さん)に郷土料理を作ってもらうのも良いかもしれない。調べてみると島にはリトリートを主催する人もたくさんいるようだし、地元の人と自然や神様に感謝しながら島の暮らしに触れるのも良さそうだ。地元の人しか知らない、とっておきを案内してもらえたら最高の旅になるだろう。調べたいくつかのワークショップの中でも「来間島(くりまじま)みき」づくり体験が気になった。「みき」とは米と麹を原材料とした発酵飲料らしい。奄美大島でも「みき」という名の発酵ドリンクに出会ったが、起源は同じものなのだろうか。海やマリンアクティビティ、ゴルフ以外にも素敵な過ごし方はいくらでも見つけられそうだ。
◆ヒララ、もてなしの宿 zaya
住所:沖縄県宮古島市平良下里825-2
電話:090-8249-6581
◆かたあきの里
住所:沖縄県宮古島市平良東仲宗根添1186-1
電話:0980-73-5338
◆あんなゴハン
電話:090-1598-4559
◆来間島みき
住所:沖縄県宮古島市下里1公設市場A-7
電話:090-1121-9689
2025年は開運旅を
美しい大自然と伝統や文化に触れながら、旅先での交流や出会いでつながりを感じる。のんびり自分と向き合い、目の前の景色や音、香りを心に刻み、軽やかに暮らすように過ごす旅。自分の心地よさを優先し、あえて何もしない時間をスケジュールに入れてみる。地の時代から風の時代(西洋占星術からみて、2021年~)らしくなったんじゃない? やっぱり旅は主体的に決めた行程のほうが心に残る。そしてこの旅プランのすごいところは、年始に開催された有料コミュニティ・旅色LIKESのイベント「福みくじ」で話していた2025年のラッキー旅アクション(交流・体験)とラッキーフード(発酵・郷土料理)がばっちり盛り込まれていること。そんなことは全く知らずに作ったけど、運気が上がる旅になること間違いなし。自分の気分と幸運がリンクしているなんて嬉しい限りだ。誰か、この妄想プランで私を宮古島に連れて行ってくれないかな。














