2月22日は猫の日。彦根城と豪徳寺の関係とひこにゃんの謎に迫る
「石垣が綺麗。美しい」。市街地を抜け、目の前に現れた城壁に足が止まった。石の表面を平らに切り、密着させてすっと積み上げた「打ち込みはぎ」の石垣の上に緑の松が茂り、静かなお堀の水面に映っている。やってきたのは滋賀の彦根城。1604(慶長9)年に着工され、20年の年月をかけて造られた。今では当時の姿がそのまま残された全国でも珍しい城。 いざ彦根城へ。ひいては彦根城と関係がある? 遠く離れた東京 世田谷の豪徳寺へ。歴史好きのふみこが攻め入る。
目次
彦根城攻略の妄想と共に石段を登る
橋を渡り、堀を超えて城内に入った。空気感が一気に変わる。ひんやりとして重厚感がある表門参道を登っていく。自然の形のままの石を積み上げた「野面積み(のずらずみ)」の石垣は苔むし、上には木々が茂っている。江戸時代、侍たちはこの道を駆け上って攻め入ったのか。今は、緑の美しい石段だ。ふと、松尾芭蕉の「夏草や兵どもが夢の跡」を思い出した。その先には約8.1メートルの天秤櫓(てんびんやぐら)が待っていた。戦のときにはこの石垣を登って攻め入って行くのか。上から矢を射られればひとたまりもない。石垣を見ながら妄想は止まらない。
本丸に討ち入ると「ひこにゃん」が待っていた
天秤櫓の攻防の末、本丸に攻め入った。そこには国宝に指定されている天守閣と彦根市のご当地キャラクター「ひこにゃん」が。ひこにゃんは毎日城内をお散歩。たが、今回は時間が合わず動くひこにゃんとの対面は叶わず。が、場内には動かないひこにゃんをはじめ、提灯なども飾られ、人気が伺える。荘厳なお城とゆるキャラの意外なマッチングに驚きながらも、ついついツーショットの写真を撮ってしまう。しかし、なぜに猫なのか。頭の中にはたくさんのクエスチョンマークが。
西の丸に討ち入ると琵琶湖が輝いていた
ふみこは本丸を攻め、次は西ノ丸へと入る。彦根城の裏手からの攻撃に備えるための三重櫓(さんじゅうやぐら)に上ってみた。窓からは交通の要である琵琶湖が見える。そうか、平時には交通の要である琵琶湖。この海のような湖を監視する大事な場所だったんだ。昨年の大河ドラマ『光る君へ』では、紫式部は越前守(えちぜんのかみ)となった父親に同行して越前(今の福井)に行く際も、琵琶湖を船で渡った。井伊氏は大事な拠点を任されたことがわかる。
幕末の大老・井伊直弼の生涯に思いをはせる
近江彦根藩の16代藩主・井伊直弼。歴史の授業で先生が「覚えとけ〜。テストに出るぞ〜」と赤のチョークでぐるぐると囲む。近江彦根藩の第16代藩主。幕末期の大老だった彼は、独断で横浜港など5ヶ所を開港する日米修好通商条約に調印し、日本を近代化の道へ進めた人物だ。1858(安政6)年の安政の大獄で国内の反対勢力を粛清したが、1860(安政7)年に桜田門外の変で反対勢力に暗殺される。教科書的にはそうなのだが、直弼は14代藩主の14男。まさか自分に大老の職が回ってくるとは夢にも思わなかったのではないだろうか。それも諸外国から開国を迫られ、国内では尊王攘夷が吹き荒れ、決断を迫られる時期に。こんな時代に心を砕いて国政にあたっていた心境が歌碑に刻まれている。
井伊家は江戸時代を作った徳川四天王の一人、井伊直政が初代藩主。その家訓の第一は「主君(徳川家)への忠誠を第一とする」。直弼は家訓に従い大役をうけたのではないだろうか。暗殺される事も覚悟していたのかもしれない。教科書の中だけでは理解できなかった想いを、この場所は語っているようだ。しかし、彦根藩 17代藩主・直憲(なおのり)は鳥羽・伏見の戦いで幕府軍が劣勢になり、新政府軍派へくら替えする。家訓よりも藩の存続を優先したこの決断で、激動の時代を生き抜いたのだ。関西旅行の際には必ずお世話になる友人オカヤン。オカヤンの曽祖父は江戸詰めの彦根藩士だったそう。ある日護衛を申し付けられたが、風邪をひいてお役目を辞退したそうだ。その日、桜田門外の変が起こり、怪我をしなかった者は斬首。怪我をおった者は切腹となったそう。オカヤン一家はこの偶然により、時代を生き抜いている。
◆彦根城
住所:滋賀県彦根市本町1-1
電話番号:0749-22-1111
営業時間:4~10月 9:00~17:00、11~3月 10:00~16:00
定休日:年中無休
名勝「玄宮園」から彦根城をのぞむ
池泉回遊式の大名庭園である玄宮園(げんきゅうえん)から眺める風景。偶然居合わせた地元の方に教えていただいたフォトスポット。水と緑の向こうに遠く天守閣が見える。心が和む風景だ。明治政府が発布した「廃城令」で、取り壊しの危機に瀕した彦根城。しかし、北陸巡幸の際に彦根城を訪れた明治天皇がその美しさに感銘し解体を免れたそうだ。彦根城は幕末の藩主の決断や、明治天皇との偶然の出逢いによって、美しい姿を現在に残している。
◆玄宮園
住所:滋賀県彦根市金亀町3
電話:0749-22-2742
営業時間:8:30〜17:00 (最終入場16:30)
料金:大人400円、小中学生150円、【彦根城と共通】大人1,000円、小中学生300円
東京世田谷にある豪徳寺で彦根城をおもう
さて、数千体の招き猫が奉納されて「猫寺」として有名な東京都世田谷区の豪徳寺。外国人ゲストから「インスタグラムにかわいい猫がたくさんポストされていたから行ってみたい」とリクエストをいただく場所でもある。都心から離れ、観光客が少ないしっとりとした雰囲気だが、住宅地を抜けていく道順が分かりづらく、ガイド泣かせでもある。門をくぐると赤と白のコントラストがかわいい大小の招き猫が並ぶ。ゲストは大喜びで写真を撮っている。この寺院が井伊家の菩提寺であることをご存じだろうか。奥の墓地には直弼をはじめとする6人の藩主が眠っている。
3代藩主の直孝が狩りの帰りに一匹の猫に手招きされ小さな寺に入ったところ、急に雷雨が降りだす。おかげで落雷を免れたことが縁となり、寺を再興し、豪徳寺として発展させたそう。この猫は「招き猫」として知られるようになり、豪徳寺は招き猫の発祥地といわれている。なるほど、この猫との出会いが彦根市のゆるキャラ、ひこにゃんに続いているんだ。そういえば、井伊家の赤備えの兜をかぶっている。井伊直弼の墓前で手を合わせながら、幕末から明治を生き抜いた人々の決断や偶然とともに、ひこにゃんの謎に想いをはせた。
◆大谿山 豪徳寺
住所:東京都世田谷区豪徳寺2丁目24-7
電話番号:03-3426-1437
開門時間:春彼岸中日~秋彼岸中日6:00~18:00、秋彼岸中日~春彼岸中日6:00~17:00
定休日: 年中無休













