山口市大殿地区で“西ノ京”を感じる碁盤の目の街を歩く

山口県

2025.06.27

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山口市大殿地区で“西ノ京”を感じる碁盤の目の街を歩く

ニューヨーク・タイムズ紙「2024年に行くべき52カ所」に選ばれた故郷・山口市。その理由の一つが“西ノ京”(West of Kyoto)と呼ばれ、京都と同じ碁盤の目のように整然と区画された地区があること。京風文化にも影響を受けた「西ノ京」、大殿地区を山口市在住の同級生、クーと歩いてみた。

目次

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なぜ西ノ京なのか

まずは大殿ロビーで碁盤の目の街の情報を収集

山口ならではの伝統工芸の大内塗を体験

「山口県無形文化財」山口鷺流狂言に挑戦

大内氏の繁栄を物語っている龍福寺(大内氏館跡)

街の雰囲気にぴったりの着物リメイクのお店「アトリエa.p.r」

パン屋「TSUKINOWA」+ カフェ「ampersand」でゆっくりと流れる時間を感じる

日常生活に息づく西ノ京

なぜ西ノ京なのか

新山口駅におりると「おいでませ(いらっしゃい)西ノ京山口市へ」の大きな看板が迎えてくれる。なぜ、「西ノ京」と呼ばれているのか。14世紀後半、室町時代に山口を治めた大内家24代当主・大内弘世(おおうちひろよ)が京都を模した街づくりを行った。一の坂川を鴨川に見立て、街路を縦横に整備し、通りの名前も「大路」「小路」と京風に命名。その街が大殿地区。まさに“ミニ京都”を目指した都市計画だ。応仁の乱で京都が荒れたため、雪舟など多くの文化人が山口に来ている。

まずは大殿ロビーで碁盤の目の街の情報を収集

江戸時代末期に建てられた町家(商家)を活用した大殿ロビー

山を仰ぐまっすく延びた大殿大路

碁盤の目の中、大殿大路と堅小路の交わる角にあるのが大殿ロビー。まずはここで大殿地区の情報を入手。もとは江戸時代末期に建てられた町家(商家)で、土間や格子戸、梁などがそのまま残っていて、風情を感じる。スタッフの方が丁寧に街の歴史や観光ルート等を説明してくれた。パンフレットなどの入手可能。大殿大路はまっすぐ延び、遠くに山が見える。盆地の中の西ノ京だ。スタッフの方の説明によると、大殿ロビーの前の交差点が、この碁盤の目の街を計測した起点になった場所だとか。

◆大殿ロビー
住所:山口市下竪小路115-3
電話:083-920-9220
営業時間:10:00〜17:00
定休日:火曜日、お盆、年末年始

「大殿ロビー」公式HPはこちら

蛍の季節には昔ながらの蛍かご。

軒先に蛍かごが並ぶ堅小路。

山口ふるさと伝承総合センターのまなび館の軒先にも。

まずは堅小路(たてこうじ)を散策。古い街並みの軒先には、麦わらで作られた蛍かごが飾られている。歩いて3分ほどの一の坂川では蛍が舞っている季節だ。風情を感じる。まずは、通り沿いにある山口ふるさと伝承総合センターで山口独自の文化を体験してみた。

山口ならではの伝統工芸の大内塗を体験

山口の伝統工芸品である大内塗の「大内人形」。

山口の伝統工芸品である大内塗の「大内人形」。

大内弘世が京都から迎えた花嫁が都を思って寂しがり、都から人形職人を迎えて人形を作ったのが始まりとされる大内人形。山口の家庭では必ずと言っていいほど飾られている。もちろん、実家にも。この伝統工芸が大内塗。

無心で漆を塗る。

鼻息厳禁。息を止めて金粉を振る。

見よ、1/1000ミリメートルの金箔。指紋が透けて見える。

講師・オオニシさんの指導の下、大内塗の箸づくりに挑戦。準備された箸に本物の漆を帯状に塗っていく。肌についたらかぶれるので緊張の一瞬。その上に大内氏の家紋・大内菱をかたどった5ミリメートル角の金箔を張っていく。金箔は1/1000ミリメートルのため、ちょっとの迷いで菱形が裂けてしまう。迷いは禁物。最後はその上に金粉を振っていく。鼻息で飛んでしまうので、その一瞬は呼吸を止める。さて、どんな傑作が完成したか。お箸は3週間ほど乾燥させて送付してもらえる。到着が楽しみだ。

●体験名:大内塗箸づくり体験
所要時間:約60分
料金:3,000円(送料込)
※要予約、原則平日のみ

「山口県無形文化財」山口鷺流狂言に挑戦

狂言の所作に挑戦中。

100点満点でのAIの判定結果。道のりの長さを実感。

氏神様である赤田神社の秋祭りで奉納された山口鷺流狂言。

「鷺流狂言」は大内氏のもとで山口に広がり、地元の人々によって守られている。今では山口県無形文化財となり、山口鷺流狂言保存会が継承。実家の氏神様である赤田神社の秋祭りでも奉納され、地域でも愛されている。狂言の所作をまなび館(旧:野村酒場)で、なんとAIが教えてくれる。まずはモニターを見ながら、手の位置、すり足の方法を練習。さあ本番、モニターには先生と自分の姿が映され、所作が採点される。果たして、ふみこの狂言所作の評価はいかに。シンプルな動きに見えたが、実際にやってみるとかなり難しい。これにセリフを覚えるとなると、舞台に立つまでにどれだけの時間がかかるのだろう。伝統を継承する難しさを垣間見た気がした。

◆山口ふるさと伝承総合センター
住所:山口市下竪小路12
電話:083-928-3333
営業時間:9:00〜17:00
定休日:お盆(8月14日〜16日)、年末年始(12月29日〜1月5日)

「山口ふるさと伝承総合センター」公式HPはこちら

大内氏の繁栄を物語っている龍福寺(大内氏館跡)

紅葉の青さが目に染みる、龍福寺山門。

山門をくぐり、しっとりとした境内に入る。

西ノ京の繁栄をつくった大内義興公の雄姿。

浄土庭園に無邪気な笑い声が。

次は大殿大路を歩いてみる。ここがメインストリートになる。まずは龍福寺の敷地内にある大内氏館跡。龍福寺は第30代当主・大内義興(よしおき)の菩提寺である。ニューヨーク・タイムズで紹介された真っ赤な紅葉のトンネルが、このお寺の参道である。初夏の青紅葉のトンネルも爽やかだ。山門をくぐるとそこにはしっとりとした空間が広がる。室町時代、この場所が大内氏の館で、「西ノ京」の中心だったのだ。もしかしたら雪舟もこの場に訪れたのかもしれない。今は、ゆっくりとした時間が流れている。大内義興の馬上の像が、大内氏の繁栄をもの語っているようだ。境内の脇には池泉庭園が広がっている。平安時代に多く造園された極楽浄土を表す、浄土庭園のような景観だ。その穏やかな風景の中で、地元の幼稚園児達がオタマジャクシを捕まえている。散策をしながら、地域の日常を味わうことができる。

◆龍福寺
住所:山口市大殿大路119
電話:083-922-1009

街の雰囲気にぴったりの着物リメイクのお店「アトリエa.p.r」

街の風景に溶け込んだ店先。

一点もののがま口。どれにしようか迷う。

店主のカタヤマさん。

大殿大路には個性的なお店が並んでいる。クーがプレゼントを買いたいと入ったお店は一点物の着物リメイクの品々が並ぶ「アトリエa.p.r」。昔ながらの古民家を改装した畳敷きの店が、この通りの雰囲気に馴染んでいる。店主のカタヤマさんは、地元の大学でデザインを学ぶ傍ら、「街の賑わい創出したい」という地域の思いに賛同し、地域活動に参加していたそう。卒業後、地域を活性化する仕事がしたいとお店を始めた。リノベーションした古民家で着物リフォーム製品を扱うというマッチングを目指したそう。この空間の心地よさの理由はここにあったのか。店の奥はリフォームの作業場となっている。「リフォームをする時間が充分にとれ、観光の方とも地域の方ともお会いする機会も丁度いいぐらいにあって、ここでお店初めてよかったです」と柔らかい雰囲気で語ってくれた。
自分に地元酒蔵の前掛けをリフォームしたがま口ポーチを購入。パソコンや携帯の周辺機器を入れて愛用している。

◆アトリエa.p.r
住所:山口市大殿大路114-1
電話:090-9733-9821
営業時間:10:00~19:00
定休日:月・火曜日

「アトリエa.p.r」公式HPはこちら

パン屋「TSUKINOWA」+ カフェ「ampersand」でゆっくりと流れる時間を感じる

町家のパン屋。

店先には焼きたてのパンが並ぶ。

オーナーのオカモトさん。インテリアにもこだわりが。

築100年の古民家に手作りベーグルのお店「TSUKINOWA(ツキノワ)」と「ampersand(アンパサンド)」が並んでいる。オーナーのオカモトさんが歴史ある町家の並ぶ大殿大路に魅了され、「この趣を残すためには人が住んで使っていかないと」と始めた店。「作ろうと思っても新しく作れないじゃないですか。100年前のものは」。この風情に溶け込む、木をふんだんに使った棚に、併設されたキッチンで焼かれたばかりのベーグルが並んでいる。観光客だけではなく地元のお母さんが子どものおやつに買っていかれるのだとか。人気のお店のため、売切れたら閉店。

中庭からの光が心地よいカフェ。

中庭からの光が心地よいカフェ。

コーヒーとレモンケーキを買って隣のカフェ、ampersandへ。広々とした土間が広がる空間にセンス溢れるインテリアが並ぶ。中庭の緑を眺めながらしばしリラックスタイム。ここでは時間の流れがゆっくりだ。

◆TSUKINOWAとampersand
住所:山口市大殿大路134-1
電話:080-3965-4402
営業時間:11:30~売り切れまで
定休日:月・火・日曜日

「TSUKINOWA」「ampersand」公式HPはこちら

日常生活に息づく西ノ京

勤王の志士も歩いた竪小路を下校。

勤王の志士も歩いた竪小路を下校。

カフェを出ると、この地区にある大殿小学校の小学生が下校していた。ランドセルを背負った小学生達が楽しそうにおしゃべりをしながら、大殿大路、堅小路を歩いている。室町時代からの京都を模した街並みで人々の生活は脈々と続いているのだ。地域の方々は方向を示すのに、京都と同じ「上がる」「下がる」と言うとか。観光だけではない、暮らしに根差した「西の京」を味わいに足を延ばしてはいかがでしょう。

青空に映える国宝瑠璃光寺五重塔。

青空に映える国宝瑠璃光寺五重塔。

令和の大改修で、檜皮葺(ひわだぶき)屋根の全面葺き替えのため見ることができなかった国宝瑠璃光寺五重塔もシートが外され、緑の中に大内文化を物語る優美な姿を見ることができる。

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ふみこ

山口県出身。神奈川県在住。 平日は会社員。週末は全国通訳案内士(英語)。史子の名前のとおり歴史好き。交流が旅の醍醐味と、出会った方とおしゃべりを楽しむ。料理好きで、地元のお茶、塩、味噌はマストバイ。自宅で旅の余韻を楽しんでいます。

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