壮大かつ繊細な彫刻の世界 マーク・マンダースの個展へ

東京都

2021.04.20

LINEでシェア
はてなでシェア
pocketでシェア
壮大かつ繊細な彫刻の世界 マーク・マンダースの個展へ

目次

閉じる

“静謐と不穏”の世界に惹かれ、展覧会へ

マーク・マンダースとは

大きいけれど、繊細な作品たち

おわりに

こんにちは。大石絵理です。季節はすっかり春になりましたね。満開だった桜もいつの間にか葉桜です。私は先日、東京都現代美術館に行ってきましたが、春のあかりが大きな窓から差し込み、ぽかぽかと気持ちがよかったです。

さて、今回ご紹介するのは、その東京都現代美術館で開催されている「マーク・マンダース ―マーク・マンダースの不在」という彫刻の展覧会です。

“静謐と不穏”の世界に惹かれ、展覧会へ

“触れると崩れそうな彫像、いつどこで作られたのか判然としないオブジェ、人の立ち去った気配が残るスタジオ、暗く長い廊下、…静謐と不穏が混交する、マーク・マンダースの世界へようこそ”

見出しにこんな言葉が書かれた展覧会を発見。マーク・マンダースは、オランダ生まれの彫刻家です。彫刻の展覧会にはあまり行ったことがなかったのですが、この言葉になんとなく強く惹かれ、入ってみることにしました。

マーク・マンダースとは

マーク・マンダースはオランダで生まれ、現在はベルギーを拠点に活動している彫刻家です。ヴェネツィア・ビエンナーレ(2013年)など多くの国際展に出展し、活躍しています。

家具職人の家庭に生まれたマーク・マンダースは、幼い頃からもの作りに取り組んできました。人間の複雑な精神に強く関心を抱き、詩や小説を通して探り続けていたと言われ、若いときには自伝的小説を執筆したこともあるそうです。

作品のコンセプトは、「建物としての自画像」。自身が架空の芸術家として名付けた「マーク・マンダース」という人物の自画像を「建物」として表現しています。空間全体を一つの作品として表現する、インスタレーションとして展開。彫刻やオブジェの一つひとつは独立していながらも、それぞれの配置全体によって人の像を構築するという、ユニークな世界観を持っています。

大きいけれど、繊細な作品たち

作品を見てみるとどれも儚く崩れそう。けれども、強く佇む美しさを感じました。オブジェの配置や連なり、余白、断片など、空間そのものを通して、架空の作家の頭の中をのぞいているような感覚になります。

マーク・マンダース《マインド・スタディ》2010-11年  ボンネファンテン美術館蔵

マーク・マンダース《マインド・スタディ》2010-11年  ボンネファンテン美術館蔵

まずは本邦初公開となる代表作から見てみましょう。2013 年のヴェネツィア・ビエンナーレに出品された作品です。大きな木のダイニングセットに、彩色されたセラミックなどで作られた少女が微妙なバランスで立っています。木のテーブルとイスがナチュラルなだけに、より少女のオブジェの存在感が引き立っていました。

マーク・マンダース《4 つの黄色い縦のコンポジション》 2017-19 年

マーク・マンダース《4 つの黄色い縦のコンポジション》 2017-19 年

マーク・マンダース《4 つの黄色い縦のコンポジション》 2017-19 年

その大きさと圧倒的な存在感に思わず息を飲んでしまった彫刻作品です。粘土のような灰色に、くっきりとしたイエローの木のコントラストがとてもかっこよくて、見惚れてしまいました。崩れ堕ちかけている頭部や首のラインにも儚さを感じます。脆い素材に見えますが、実はブロンズ製で、とても丈夫に作られています。大胆ながらも細部まで繊細に表現されています。

マーク・マンダース《舞台のアンドロイド (88%に縮小)》2002-14 年

マーク・マンダース《舞台のアンドロイド (88%に縮小)》2002-14 年

12年もの月日をかけて完成されたこちらの作品。モダンで、シックで、漂う重厚感。この近くで焚き火を炊き、音楽をかけたらどんな気分になるだろう……と想像してしまうくらい、世界に入り込んでしまいました。

後ろ側に回ると恐竜の彫刻が! 遊び心にわくわくしました。

マーク・マンダース  《黄色い縦のコンポジション》2019-20年

マーク・マンダース 《黄色い縦のコンポジション》2019-20年

今回の展覧会で一番好きな作品でした。大きな本を側面から覗いたよう。インテリアとして家に飾りたいくらい(笑)それくらいおしゃれで素敵な彫刻でした。

おわりに

ライゾマティクス_マルティプレックス展Rhizomatiks≪Epilogue≫2021 展示風景

ライゾマティクス_マルティプレックス展Rhizomatiks≪Epilogue≫2021 展示風景

私はpaintingを見にいくことが多いのですが、今回初めての彫刻作品の展覧会に足を運びました。絵画とは違う存在感や大胆さがあり、とても楽しかったです。マークマンダースの歪で斬新な世界に入り込み、まるで異世界に来たような気分でした。ぜひみなさんもその世界を味わってみてください。それではまた次回、よろしくお願いしますー!

■「マーク・マンダース ―マーク・マンダースの不在」
会場:東京都現代美術館
期間:〜6月20日(休館日:月曜日、5月6日)※5月3日は開館
開館時間:10:00~18:00※展示室入場は閉館の30分前まで
料金:一般1,500円、大学生・専門学生・65歳以上1,000円、中高生600円、小学生以下無料
※予約優先チケットもあり

Related Tag

#映え旅 #東京都

Author

アート旅 大石絵理

Ambassador

アート旅アート旅

大石絵理

1993年12月22日、東京都生まれ。高校2年生の時にモデルとしてデビュー。ロンドン留学時代、美術館に訪れたことがきっかけでアート鑑賞が趣味に。モデルとして活動し、アパレルブランド「KOL」をプロデュースしている。また、TV、雑誌、広告と多岐にわたって活動中。

Articles

アート旅 大石絵理

黒と白で表現された世界。ヴァロットンの木版画に触れる旅

アート旅 大石絵理

60年の歳月をかけた作品「包まれた凱旋門」に触れる旅

アート旅 大石絵理

【埼玉】ゴッホの世界に没入。デジタルアートを全身で浴びる

New articles

- 新着記事 -

「魔法」を味わえる川越のオーガニックレストラン
  • NEW

埼玉県

2026.11.01

「魔法」を味わえる川越のオーガニックレストラン

かわごえ魅力発信部 Emi

Emi

かわごえ魅力発信部

川越のちょっと奥で、大満足のランチ見つけた
  • NEW

埼玉県

2026.10.31

川越のちょっと奥で、大満足のランチ見つけた

かわごえ魅力発信部 岡部 裕樹

岡部 裕樹

かわごえ魅力発信部

日常をちょっと贅沢にする、本格フランス菓子店
  • NEW

埼玉県

2026.10.31

日常をちょっと贅沢にする、本格フランス菓子店

かわごえ魅力発信部 しろも

しろも

かわごえ魅力発信部

「街を置き去りにしちゃいけないんだ」。マリオ・ベリーニの建築思想と「ピーマン通りの肉詰め」秘話
  • NEW

山梨県

2026.10.30

「街を置き去りにしちゃいけないんだ」。マリオ・ベリーニの建築思想と「ピーマン通りの肉詰め」秘話

リゾナーレ八ヶ岳・広報担当 日野

日野

リゾナーレ八ヶ岳・広報担当

【旅色特別企画】台湾東部・花東を旅して、5日間で映像に。国際観光映像制作コンテスト「台湾の東 23.5°N」
  • PR

全国

2026.10.26

【旅色特別企画】台湾東部・花東を旅して、5日間で映像に。国際観光映像制作コンテスト「台湾の東 23.5°N」

tabiiro 旅色編集部

旅色編集部

tabiiro

マイナス20℃の寒さを楽しさに変える! 星野リゾート トマム「氷のホテル」ができるまで ~継ぎ目のない一枚氷に宿る、職人とスタッフの熱量~

北海道

2026.10.19

マイナス20℃の寒さを楽しさに変える! 星野リゾート トマム「氷のホテル」ができるまで ~継ぎ目のない一枚氷に宿る、職人とスタッフの熱量~

星野リゾート トマム・広報担当 佐藤

佐藤

星野リゾート トマム・広報担当

More▶