体験レポート

「湯けむりの里 柏屋」で川と山と鉄道を眺めながら、自分を大事にする時間を過ごす
旅色編集部旅色編集部

栃木県:日光温泉郷 川治温泉

友達 / 30代 / 訪れた時期:9月

2026/10/29

「湯けむりの里 柏屋」で川と山と鉄道を眺めながら、自分を大事にする時間を過ごす

栃木県日光市の川治温泉にある「湯けむりの里 柏屋」。鬼怒川と男鹿川の峡谷沿いに佇む、静かで落ち着いた空気に包まれていました。館内のさまざまな場所から川や山、そして鉄道を眺めることができます。スタッフの方々との距離感も心地よく、こちらの時間をそっと見守ってくれているように感じました。静けさのなかで、自分と自然が向き合う時間がゆっくりと流れていくそんな滞在の様子をご紹介します。

東京から宿に向かうまでの快適なアクセス

スペーシアX

車内限定の商品

宿に向かうまでのどこか懐かしい街並み

浅草駅から地ビールをもって東武鉄道のスペーシアXに乗り込み、移り行く景色をみながら約2時間。新藤原駅で野岩(やがん)鉄道に乗り換えて約8分で、最寄りの川治湯元駅へ到着しました。駅から宿までは徒歩18分ほどですが、送迎をお願いすることもできます。昔ながらの落ち着いた雰囲気のある川治温泉は、旅人から「傷は川治、火傷は滝(鬼怒川)」と、旅人を癒す温泉宿場として親しまれてきました。

宿に向かう道中、鬼怒川温泉や龍王峡を観光してきました。お土産屋のおじさんやタクシーのおじさんに宿泊先を聞かれ、「柏屋さんです」と答えると、「柏屋さんかあ〜。いいところに泊まるねえ」と、口を揃えて言われたのがとても印象に残っています。地元の人からそんなふうに言われる宿に、期待を膨らませながら、宿へ向かいます。

ロビーに入った瞬間、広がるパノラマ

目の前に現れる鉄橋

お菓子は、芋羊羹や花豆、羊羹

柏屋に到着してまず目に飛び込むのは、ロビーからの景色です。目の前には大きな橋があり、その奥には山々が広がっています。窓に近づいて外を眺めると、眼下には川。ここは鬼怒川と男鹿川(おじかがわ)が合流する場所です。その向こうには山があり、空が広がり、そして時折鉄道が見えます。視界を遮るものがほとんどなく、「川も、山も、鉄道も、空も、全部わたしのものみたい」なんて贅沢な時間にうっとりしてしまいました。

客室「雛菊」

宿泊したお部屋は、別館花見亭2階にある「雛菊」。10畳の広い和室には、簡易シンクとお手洗いが2ヵ所備わる、珍しい造り。部屋の窓から見える山は青く生い茂り、川を流れる水の音を聞きながら思わず深呼吸がしたくなります。秋になれば、窓枠で切り取られたようにオレンジや紅に色づく山々が広がるのだろうな。季節ごとに変わる景色で部屋の印象も変わるのを想像すると、宿に到着したばかりなのに、また次に訪れた時のことを考えてしまっていて、自然と頬がほころびました。

川治の自然のなかで、温泉に浸かる

露天風呂から電車が見える

夜空に電車の音が響く

柏屋の魅力のひとつが、温泉。内湯が1ヶ所、露天風呂が2ヶ所、サウナがあります。川治温泉のお湯は、「丁度よく、あまり熱くなく、長湯ができ、それに柔らかい感じがする」のが特徴なのだそう。露天風呂からの景色も、川と鉄道を眺めることができる絶景。お風呂の前に時刻表を確認しておくのがおすすめです。下の河原で渓流釣りをしている人の姿も見え、この自然が日常の中にあると思うと、少しうらやましくなります。

足湯から眺める立派なお山

薬師の湯は、現在休業中

宿の前にある「四季の森」の小路を抜けた先には、足湯もありました。足湯に立ち寄りながら、川辺をのんびり散歩するのも気持ちがいいです。夕暮れには両脇に明かりが灯り、昼とはまた違った雰囲気に。

季節を味わう食事

夕食は「秋彩御膳(あきいろごぜん)」。季節を感じるお料理が並び、丁寧に盛り付けられたお料理は、見た目からもおいしさが伝わってきます。なかでも「岩魚の塩焼き」は、焼き上がっていく様子も楽しみながら、ゆっくり味わいました。

朝食では、青大豆を使った手作り湯豆腐に感激しました。やさしい味わいで、朝の体にすっと染みわたるようなおいしさです。

食事は通常、会食場でいただきますが、食事は個室「牡丹」でいただきました。窓の外には「四季の森」が広がり、夕食の時間には、小路の明かりがちらちらと見え、朝食の時間になると、さわやかな緑に包まれ、木漏れ日が部屋の中まで差し込みます。料理を味わいながら、ふと外の景色も楽しんでいると、時間があっという間に過ぎていきました。

その瞬間を待つ。鉄道のある風景

柏屋にいると、ロビーからも、部屋からも、そしてお風呂からも絶景の中を鉄道が走る姿が目に入ります。列車が通るのは、1時間に1~2本ほど。宿では列車の時刻表を配布していて、「この時間に列車が来るなら、ここから見てみよう」。そんなふうに、時刻表に合わせて温泉に行くか、部屋で景色を眺めるか、過ごし方を考えてみるのも楽しいです。

普段なら、1時間に1本の電車を待つなんて、少し長く感じるかもしれないのに、次の列車を待つ時間がちょっと楽しく感じてきます。「次の列車はどこから、どんな構図で撮ろうか」そんなことを考えているうちに、列車が姿を現しました。あんなに計画を立てていたのに、ベストショットを狙う指が震えます(笑)。一瞬で電車は過ぎていきました。限られた時間だからこそ、「今、この瞬間」を大切にしたいと思わせてくれます。夜に部屋の明かりを消して、電車を待ちます。暗闇の中を列車の灯りだけが一直線に走っていく姿が、まるで銀河鉄道のようでした。昼間とはまったく違う景色に、思わず見入ってしまいます。

控えめだからこそ、心地よい。

柏屋で印象に残ったもうひとつのことが、スタッフの方々との距離感でした。必要なときにはきちんと対応してくれるけれど、こちらの時間に入り込みすぎない。前へ出てくるのではなく、少し離れたところから見守ってくれているような感覚。それが、この宿の静かな雰囲気とよく合っていました。旅館というと、手厚い接客をイメージすることもあります。景色を眺めたり、温泉に入ったり、列車を待ったり。柏屋では、そんな時間を自分のペースで楽しみながら、心の声にも耳を傾けられます。その心地よさも、この宿の魅力のひとつだと感じました。

自然と過ごす自分のための時間。川治温泉「柏屋」で過ごす一泊

今回の柏屋での滞在を一言で表すと、「自然と自分との対話」。川を眺め、温泉に入り、列車を待つ。何か特別なことをするわけではありませんが、そんなことをしているうちに、いつの間にか自分の時間が戻ってきます。旅先では、つい予定を詰め込んでしまうけれど、たまには「何もしないため」に訪れる旅があってもいい。いつもより少しだけ、自分の中にあるものに耳を傾ける。そんな時間を過ごせるのも、柏屋の魅力なのだと思います。そして、季節が変わった頃に、また違う景色に会いに来たい。川も山も鉄道も、季節や時間によって少しずつ違う表情を見せてくれる。そんな景色を、また眺めに来たいと思える一泊でした。

  • ユカ

    ユカ

    旅と温泉とお酒が好きな千葉県在住。その土地ならではの食や文化、人との出会いを楽しむのが好きです。予定を詰め込む旅も、行き先も宿も当日決める行き当たりばったりの旅も、気の向くままに楽しんでいます。

 旅色編集部

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記事企画・監修: 旅色編集部

※掲載情報は取材時のものであり、変更が生じている場合がございます。詳細は各施設にご確認下さい。

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