桃太郎の鬼ヶ島といわれる香川県・女木島で、海“超目の前”の宿に癒され鬼に笑いまくる

香川県

2022.08.08

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桃太郎の鬼ヶ島といわれる香川県・女木島で、海“超目の前”の宿に癒され鬼に笑いまくる

昔話の代表格、「桃太郎」に出てくる鬼ヶ島が実際にあるんですって! そんなこと聞くだけで吹き出しちゃいましたよ。それは瀬戸内海に浮かぶ離島、女木島(めぎじま)だそうで、どんな鬼ヶ島っぷりを発揮してくれるのかと興味津々。一泊二日で訪れました。するとまぁ! めちゃくちゃゆるくて、始終笑える島だったのです。そのうえ、高松という都会の夜景を望む海が目の前の、なかなか他の島にはないロケーションのお宿があって、夜も朝も特殊なピースフルが充満。高松から船で20分ととても行きやすいので、この時間のために何度でもリピートしたいと本気で思っているところです。今年は「瀬戸内国際芸術祭」がこの島でも開催されているし、ぜひ、次のお休みにいかがでしょう?

目次

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女木島ってどんなところ、どうやっていくの、島内の移動は?

ひとけゼロ集落で迎える日の入りと、海を隔ててみる夜景のかっこよさ

本格ドイツ料理を堪能できる。海がガチ目の前の最強ゲストハウス「Megino」

自動的に日の出を眺められる、超絶ピースフルな朝

女木島を巻き込んだ桃太郎伝説と、気分上々最高な道

鬼がいる! 瀬戸内国際芸術祭の作品もてんこもりの怪し楽しい洞窟

最高の360度ビューを堪能できる展望台

いわれたっぷり、絵になる写真スポット

女木島ってどんなところ、どうやっていくの、島内の移動は?

女木島といえば、桃太郎の鬼ヶ島。日本を代表する昔話の舞台に名乗り出るとはなかなか大胆ですね(笑)。同時に、桃が流れてきた川や桃太郎を強い子に育てた地ではなく、鬼ヶ島と名乗るなんて、ある意味謙虚でもあります。もちろん、いわれはあるのでしょう……すぐに思ったのは地形のこと。ゴッツゴツのツンツン、激しい岩場が島中にあるおそろしそうな地形なんだろうとずっと想像していましたよ。ところが濡れ衣。実際に行ってみると、緑あふれる気分のいい山の島ではありませんか。いわゆる日本ののどかな田舎、やさしい雰囲気が漂いまくっていて、正反対のイメージを持ち続けていたこと、ごめん!

島の面積は2.62平方キロメートルで人口は168人、なかなか小さいのです。ほとんどが山で、とっても静かな集落がふたつ。高松に面していて港のある東側と、反対西側のより静かな海にひとつずつあります。

行き方はとってもお気軽。サルや犬やキジを連れて行く条件もありません。高松駅近くにある高松港から「めおん」という船に乗って20分、料金は大人1人片道370円、車を積むと2040円で渡れます。鬼ヶ島を名乗る離島なのに拍子抜けな簡単さでしょ。

わたしは島の隅々まで行ってみたいタイプなので、車ごと渡りました。でも、島にはレンタサイクル(電動アシスト付き)もあるし、島のメインスポットへの連絡バスもあるので、多くの方は車を港近くの駐車場に置いて行くようです。

ちなみに島にお店はほぼないです。いつでも安心して頼れるのは港の自動販売機くらい。必要なものは高松で用意して行ってくださいね。出たゴミは持ち帰りましょ〜。

ひとけゼロ集落で迎える日の入りと、海を隔ててみる夜景のかっこよさ

繁忙期以外の最終便となる18時10分発の船で島へ渡ったら、そのまま車で山を越え西側の集落へ。あれれ、驚くほどひとけを感じません。どの家も灯りがついていないけど? まるまる太ったネコちゃんたちは道端でのんびりくつろいでいるんですけどね。ネコとわたしだけの世界……みんなが違う星に引っ越ししたのに取り残されてしまった〜、そんな、どこか不思議でかっこよく、なんか淋しい感覚に包まれます。

ともあれ、防波堤からドローンを飛ばして世界を俯瞰して偵察してみますよ。

この日は雲が多くて太陽は拝めなかったのですが、アンニュイな世界観もいいでしょう。奥に見えるのは男木島(おぎじま)で、女木島の対のような存在です。男木島の集落は、平地の少なさから島の南、女木島側の斜面に集まっていて、だんだんと闇が濃くなるにつれ、ふわんふわんと町明かりが浮かび上がって見えてくるのです。人がいた、ほっ。海を隔てた土地の灯りに、本気で心が救われるってますます不思議。

それから船の音。そういえば暗くなっても船の音はずっと響いています。人がいる証だなぁ、どこか海の上に誰かがいてくれている。意外なところから安心感を覚えるのです。それにしても波のない静かな瀬戸内海には、いつだってその辺に船が走っていて、道を車が走るように気軽に船が出ているように感じられるんです。海の民の国だなぁ、独特な歴史が積み重なってきたんだろうなぁ。

さて、陽も沈んだし、山を越えて東側の集落にあるお宿へ向かいましょうか。途中、山の上から高松の夜景が見えました。

うーんキレイ! 目の前の闇を抜けて、盛大な虫の声のトンネルを抜けた先、盛大な街のピカピカは果てしなく……静と動、闇と光、自然の喜び、人工の楽しさ。全部があって世界なんだなぁと、実感できる情景にうっとりです。

本格ドイツ料理を堪能できる。海がガチ目の前の最強ゲストハウス「Megino」

さて、今夜のお宿ゲストハウス「Megino」にやってきました。待っていてくれたのはおしゃれな夕飯と最高の空間!

ドイツ料理が提供されてびっくりです。添えられたドイツパンも手作りというではないですか。まさか日本の離島の隅っこで、ドイツ文化に触れることになるなんて、物語の舞台、女木島はやっぱりメルヘンですね。とはいえ、メルヘンだけではお腹いっぱいになれません。実際なんでこれをいただけるかというと、作ってくださったシェフがドイツ出身のTotoさんだから。

では、なんでTotoさんがこの島に? 「?」が浮かんでばっかりです。それは栃木県出身の目加田さんが女木島を気に入って2019年にオープンしたこのゲストハウスに、たまたま旅行中のTotoさんが訪れてからのロマンス由来ですって、ほっこり。

まぁそんなわけで、離島でまさかの本格ドイツ料理なんておしゃれな味わいを堪能するわけですが、そのロケーションがまた最高で。

正真正銘の海目の前です。ここまで海ギリギリの場所ってそうないですよね。さすが、穏やか三昧の瀬戸内海だからできる技。そして海を挟んで向こうは高松。夜にはお上品なサイズ感で夜景を見渡すことになるんです。他にこんないい条件のバルコニー知りませんよ、唯一無二の心地よさ!

自動的に日の出を眺められる、超絶ピースフルな朝

そんな最高のロケーションのMegino、さらにいいことがあるんです。太陽が目の前の海に昇っちゃいます!

こんな幸せあるでしょうか。寝ぼけたまま宿の扉をあけたらご来光。たいていの場合、どんなに日の出スポットが近くても少しは移動がついてくるものです。ここはなんなら、目を開きさえすれば自動的に拝める方式ですから、たいして熱意がなくても、たまには日の出体験してみようかな、なんて気になるかもしれません。

さて、この日はちょっとモヤがかかったアンニュイが続いていました。幻想的な空気感がたまらなくって。ぜひ動画でご覧ください。

朝日を拝んで、二度寝したあとにいただいたのがこちら。

おしゃれでしょ〜、おいしいし。もちろん、目の前の海の音をBGMに完食です。

◆女木島ゲストハウス&カフェMegino
住所:香川県高松市女木町453-1-2

女木島を巻き込んだ桃太郎伝説と、気分上々最高な道

さて、いよいよ鬼ヶ島大洞窟へ向かいます。この洞窟は紀元前100年ごろに作られたそうで、大正時代に発見されました。すると女木島と桃太郎伝説が結びついて、鬼ヶ島といわれるようになったそうです。

この地域で伝わる桃太郎伝説についてお話ししておくと、昔々、今の岡山県にあたる吉備の国から稚武彦命(わかたけひこのみこと)が讃岐の国に来たときに、住民が海賊(=鬼)に困っているのを知って征伐したことが元になっているそう。なるほど、だからきびだんごが出てくるんですね。それにしてもきびだんごと鬼退治という命懸けのミッションを引き換えにするとは、誘う方もついて行く方もどうかしてる……なんてことは思っていませんよ(笑)。

ともあれ、犬、猿、キジにもモデルがいるそうで、犬は岡山県の犬島、猿は綾南町の陶(すえ)の猿王、キジは鬼無町(きなし)の勇士とされています。そんな大洞窟に向かう道、というか島のどこもかしこも幅に差こそあれ、おおまかにはこんな感じ。

いい道でしょう。走っていて最高に気分がいいです。ただ、自転車をレンタルするなら絶対電動アシストじゃないと嫌だなと確信は持ちましたけど。

鬼がいる! 瀬戸内国際芸術祭の作品もてんこもりの怪し楽しい洞窟

鬼ヶ島大洞窟に到着です。すると途端にこの巨大なお方。

いいですね〜、富士額の真ん中にゴソッと垂れる毛、最高です。絶対毎朝ワックスつけてセットしていますよね。この方が敷地入り口に鎮座していることでだいたいを理解します。ここはすっとぼけたテーマパークのミクロ版ってことですね。

実際、洞窟内に入ると笑える笑える。ツッコミどころ満載の鬼マネキンがあちこちに置かれていて、一回一回反応したくなっちゃいます。つまり元気が自然に湧いてくる……ということで、ある意味パワースポットかな。ちなみに洞窟内の鬼さんたちのサイズ感はこちらです。

並んで写真を撮りたくなるサイズ感と身近さですよ。それにしても、この鬼はトラ柄パンツではなく、ヒョウ柄の前掛け……おしい! もうひとつ、大切な目玉はこちら。

鬼の顔した瓦がいっぱいいっぱい洞窟内に積まれている、というか飾られているのです。これらは2013年の瀬戸内国際芸術祭のときの展示で、香川の中学生3000人がそれぞれのイメージで鬼の顔の瓦を作ったそう。なので、どの鬼もみんな個性的で違う顔をしていますよ。

悪魔チックなかわいらしいのや、頭にお皿を乗せてるあなたはカッパですよね? 的なのもいたり。いろんな表情を眺めつつ、それぞれ制作している様子を想像すると、なんともほっこりしてきます。すみずみを眺めてお気に入りの鬼っこを探してくださいね。ちなみに触れてもいいそうです、大切に感触を確かめてください。

洞窟の最後には、ニコニコの鬼と桃太郎の握手会見シーンが現れます。仲良くなってよかったね、ていうか唐突(笑)。

ただただ鬼マネキンと鬼瓦が並べられている洞窟なのですが、ずいぶん笑いました。こんなに笑える洞窟は初めてだったなぁ。いやそもそも、洞窟って別に笑えるスポットではないですよね。鬼ヶ島大洞窟、最高です。

最高の360度ビューを堪能できる展望台

洞窟を出て道なりに山を登って行くと、めっちゃきもちのいい360度ビュースポットがあります。

鷲ヶ峰展望台、きもちよすぎます。そして絵に描いたような山の形、なんたる三角っぷりでしょう。島を取り囲む瀬戸内海の島々と、香川本土に鎮座する山々を眺め、いい風に吹かれてスーハー。リフレッシュ感上々です。

いわれたっぷり、絵になる写真スポット

ちょっと余裕を持って港へ戻りましょうか。最高の写真スポットがありますからね。まずはこちら、女木島にモアイが佇んでいるんです。

モアイってチリのイースター島にある有名な石像だけど、なんでここに? 不思議でしょ。実はこの辺りにまつわるすごくいいお話が背景にあるんです。

昔、イースター島で部族間の抗争により倒され、津波などで破損してそのままになっていた15体のモアイを立て直したのが、高松市にあるクレーン会社の株式会社タダノさんなんですって! そのときの実験台として本物のモアイと同じように凝灰岩で造ったのがこちらなんだとか。ちなみに10.8トンもあるそうです。さらには、15体の立て直しが完了した年にイースター島は世界遺産になったそう。まさか、海の向こうも向こう、地球の反対側の小さな島と高松にこんな濃い関係があったとは。感心だし心温まるし、このモアイを眺めるとにっこりしちゃいますよ。

では、女木島の仕上げ。鬼さんと写真を撮って帰りましょ。防波堤の先にいますよ、なんかかわいらしい鬼っこ。

実はこの鬼、灯台なんですって。金棒の先が光るそうです。唯一無二で女木島らしさ150%の灯台! 最後の花にはばっちりでしょう。

瀬戸内海に浮かぶ女木島、とっても魅力的なところでしょう? わたしは思い出すたびまた行きたいとリアルに考えています。離島なのに行きやすいのもポイントですよね。ぜひ訪れてロケーションを堪能し、鬼に笑って、存分に癒されてきてください。

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#香川県 #女木島 #鬼ヶ島 #桃太郎 #瀬戸内芸術祭

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ドローン旅作家 とまこ

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とまこ

元秘境ツアー添乗員で現在は“おしゃれパッカー”、“美肌ダイエットマスター”として本の執筆や講演、TV出演など多方面で活躍する旅作家。「離婚して、インド」(幻冬舎文庫)など既刊12冊。2017年から旅先でのドローン撮影を始め、今では「飛ばさないと落ち着かない!」というほどのドローン好き。旅先での美景、絶景の撮影はもちろん動画の編集も手掛ける。

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