【福井・越前】新幹線延伸でグッと身近になった“手仕事のまち”へ。伝統と未来を刻む「タケフナイフビレッジ」で包丁製作体験

福井県

2025.03.03

LINEでシェア
はてなでシェア
pocketでシェア
【福井・越前】新幹線延伸でグッと身近になった“手仕事のまち”へ。伝統と未来を刻む「タケフナイフビレッジ」で包丁製作体験

歴史や伝統工芸に触れる旅が大好きな旅色LIKESライター・長月あきです。北陸新幹線の金沢~敦賀間が延伸・開業して今月でちょうど一年ですね。昨年、「越前たけふ駅」ができた福井県越前市は、古くから北陸地方の政治・経済・文化の中心地として栄えた場所です。そして「越前和紙」「越前打刃物」「越前箪笥」という三つの伝統工芸を今に受け継ぐ“手仕事のまち”でもあります。今回は、包丁一丁の製作工程をほぼ丸ごと体験できる「タケフナイフビレッジ」を訪れました。

目次

閉じる

700年の歴史を持つ越前打刃物

刃物会社の共同工房「タケフナイフビレッジ」

両刃包丁教室スタート

ランチは万葉の里味真野苑内「万葉庵」で

できあがった包丁の切れ味は抜群!

体験教室で伝統工芸に浸る旅へ

700年の歴史を持つ越前打刃物

およそ700年前、京都の刀匠・千代鶴国安(ちよづるくにやす)が刀剣製作に適した地を求め、越前市に辿り着いたところから越前打刃物の歴史ははじまります。刀剣を作るかたわら、農民のための鎌を作ったことがその起源だとか。また、1979(昭和54)年には国の伝統的工芸品に指定されました。これは刃物の産地としては全国ではじめてのことです。
越前打刃物の特徴の一つに、製造過程で「二枚広げ」という刃を二枚重ねたまま裏と表からハンマーで叩く技法を用いる点が挙げられます。厚みが倍になるので、叩く力がよくかかるのと、温度が下がりにくくなり何度も熱する必要がないため、より高品質な刃物ができるのだそう。

刃物会社の共同工房「タケフナイフビレッジ」

タケフナイフビレッジ

共同工房と資料館になっているタケフナイフビレッジ本館は入場無料

旅色LIKES

新館の中にある鏡張りの刃物のオブジェ

旅色LIKES

本館内の共同工房。工房は2階のスロープから作業風景が見学できる

旅色LIKES

本館内の資料館

旅色LIKES

本館最上階には千代鶴国安を祀る神棚が

旅色LIKES

体験工房の中。さまざまな機械や道具が並ぶ

タケフナイフビレッジは越前たけふ駅から車で約15分の場所にあります。長い伝統と高い技術を誇る越前打刃物ですが、高度経済成長期を迎えた1970年代には大量生産の波にのまれ、最盛期には60ほどあった工房の多くが廃業、衰退の一途を辿っていました。それに危機感を覚えた若手の職人たちにより、越前打刃物を伝承し続けていくための新たな挑戦として立ち上げられた統一ブランド、かつ共同運営の活動拠点が「タケフナイフビレッジ」です。莫大な建築費は職人である創業メンバー各々の出資により建設されました。刃物の鍛冶や研ぎなど職人さんの作業風景を無料で見学できる共同工房で、直売所や資料館も備えた、ほかではなかなか見られない産業観光施設です。越前打刃物は分業制ですが、ここでは10以上の工房の職人たちが作業しています。
三つの建物で構成されており、一つは三角形の形が印象的な新館。美術館のような館内には刃物製品が並ぶショップ、作業風景を間近に見学できる工房、そして不思議な写真が撮影できる鏡張りのオブジェの展示があります。二つ目は円柱型の本館。さまざまな刃物や道具、越前打刃物の歴史や製作工程を学べる資料館と職人の作業風景が見学できる工房になっています。そして三つ目は体験教室が行われる「チャレンジ横丁」と名付けられた工房です。

両刃包丁教室スタート

タケフナイフビレッジ

製作工程ごとの包丁がわかりやすく並べられている

タケフナイフビレッジ

足で踏むとハンマーが叩きつけられる機械

タケフナイフビレッジ

熱しては叩くの繰り返し

タケフナイフビレッジ

黒い被膜を叩いて落とす工程

旅色LIKES

プレス機で抜かれた残りの部分

体験はすべて事前予約制。新館で受付を済ませてからチャレンジ横丁に移動します。約6時間の両刃包丁教室では、材料を熱してハンマーで鍛造するところから焼入れ、研ぎ、名入れまで、一丁の包丁を制作するほぼ全ての工程を職人さんに直接指導してもらいながら体験できます。ざっと材料や工程の説明をしてもらったあとは早速包丁を熱して、叩いていく作業からスタート。一工程ずつ職人さんがお手本を見せてくれ、練習も挟みながら進んでいきます。途中から本館の工房に移動し、工房内の機械でさらに叩き、包丁の形にプレス機で型抜きするなどの作業を行います。その後、800度ほどに熱した鉄の包丁を素早く水に沈めて鋼を冷やし固くする「焼き入れ」と、再度150度ほどの温度で30~40分包丁を熱する「焼き戻し」という作業があります。

ランチは万葉の里味真野苑内「万葉庵」で

タケフナイフビレッジ

いただいたのは海鮮……ではなく、福井名物・ソースカツ丼(1,400円)

次の工程までタケフナイフビレッジのすぐそばにあり、神社や展示資料館、温室などを有する「万葉の里 味真野苑(あじまのえん)」へ。敷地内に建つ食事処「万葉庵」で昼食をいただきます。店主のご主人が越前町の漁師さんで、新鮮な魚を使った刺身や海鮮丼が人気のお店です。店員さんのフレンドリーな接客も印象的でした。公園は万葉集に歌われた植物が鑑賞できる場所でもあるので、ランチの後に散策してもいいですね(わたしが訪ねた際は寒い時期だったので、あいにく花や紅葉は楽しめませんでした……)。この辺りは万葉集とも関わりのあるエリアだそうです。

◆万葉庵
住所:越前市余川町55-1 万葉の里 味真野苑内
電話番号:0778-27-7799
営業時間:10:00~17:30(冬期~16:00)
定休日:月曜日(祝日営業)

できあがった包丁の切れ味は抜群!

タケフナイフビレッジ

砥石でも研ぎ

タケフナイフビレッジ

手でも研ぐ

タケフナイフビレッジ

銘入れ前には練習もさせてもらえる

タケフナイフビレッジ

柄付けをして完成!

タケフナイフビレッジ

完成した包丁はきちんと箱に入れてくれる

午後からは主に研ぎの工程です。職人さんに研ぎの奥深さを教わりながら、回転する大きな砥石や手で包丁を研いでいきます。その後、名前を彫る“銘入れ”を行い、柄付けをして完成です。包丁一丁を丸ごと作るって難しそう……と思っていましたが、職人さんが一工程ずつ手本を見せてくれながら教えてくれるだけでなく、都度手直しもしてもらえるので、多少不器用でもちゃんと完成させられます。できあがった包丁の切れ味は……抜群! 今回体験したコース以外にも1~2時間で包丁を研ぐコースもあり、いずれも体験した包丁をその日に持ち帰れます。最近は外国人の参加も多く、越前旅行では欠かせないスポットになってきているようです。

◆タケフナイフビレッジ協同組合
住所:越前市余川町22-91
電話番号:0778-27-7120
営業時間:9:00~17:00
定休日:無休 (年末年始を除く)
体験料:20,000円
※両刃包丁体験教室は1週間前までの予約が必要で18歳以上から可能。所要時間は9:30~約6時間

体験教室で伝統工芸に浸る旅へ

旅色LIKES

各刃物会社の製品が販売されているショップ

伝統工芸の世界では、職人の高齢化や担い手となる後継者不足が課題といわれますが、ここには刃物職人を志す若者が全国各地から集まってきています。今回、体験教室で指導してくれた職人さんも県外から移住し、修行に励んでいるのだそう。小学生の頃にテレビで見た刃物職人に憧れを抱き、越前市でインターンシップに参加したことが刃物の世界に飛び込んだきっかけだとか。工房では職人さんの作業風景を目の当たりにでき、ショップには完成した美しい刃物が並びます。タケフナイフビレッジを訪れた若者や子どもたちの中から、また次世代の刃物職人を志す人が出てくるのかもしれませんね。越前市には打刃物はもちろん、ほかの伝統工芸ゆかりのスポットも多くあります。新幹線でアクセスしやすくなった“手仕事のまち”越前で、伝統工芸に浸る旅をしてみませんか。

Related Tag

#ものづくり体験 #北陸新幹線 #歴史旅 #越前市 #体験レポート #福井県

Author

歴史旅 長月あき

歴史旅歴史旅

長月あき

時間を見つけては、歴史や伝統工芸などに触れられる旅スポットを巡っています。ものづくりの技術や創意工夫を知る産業観光も大好き。東海・関西エリアを中心に、歴史やものづくりを身近に感じられる旅体験をお届けします。近年は道の駅とかわいいおみくじ、地サイダーがマイブーム。

Articles

歴史旅 長月あき

【滋賀】豊臣兄弟の姉・ともの祈りを訪ねて。秀次の城下町・近江八幡を歩く

歴史旅 長月あき

【愛知県】豊臣兄弟はここから歩き出した。 中村・清洲で秀吉と秀長の原点をたどる歴史旅

歴史旅 長月あき

異国情緒あふれる城下町・平戸の歴史を歩く一日さんぽ

New articles

- 新着記事 -

「魔法」を味わえる川越のオーガニックレストラン
  • NEW

埼玉県

2026.11.01

「魔法」を味わえる川越のオーガニックレストラン

かわごえ魅力発信部 Emi

Emi

かわごえ魅力発信部

川越のちょっと奥で、大満足のランチ見つけた
  • NEW

埼玉県

2026.10.31

川越のちょっと奥で、大満足のランチ見つけた

かわごえ魅力発信部 岡部 裕樹

岡部 裕樹

かわごえ魅力発信部

日常をちょっと贅沢にする、本格フランス菓子店
  • NEW

埼玉県

2026.10.31

日常をちょっと贅沢にする、本格フランス菓子店

かわごえ魅力発信部 しろも

しろも

かわごえ魅力発信部

「街を置き去りにしちゃいけないんだ」。マリオ・ベリーニの建築思想と「ピーマン通りの肉詰め」秘話
  • NEW

山梨県

2026.10.30

「街を置き去りにしちゃいけないんだ」。マリオ・ベリーニの建築思想と「ピーマン通りの肉詰め」秘話

リゾナーレ八ヶ岳・広報担当 日野

日野

リゾナーレ八ヶ岳・広報担当

【旅色特別企画】台湾東部・花東を旅して、5日間で映像に。国際観光映像制作コンテスト「台湾の東 23.5°N」
  • PR

全国

2026.10.26

【旅色特別企画】台湾東部・花東を旅して、5日間で映像に。国際観光映像制作コンテスト「台湾の東 23.5°N」

tabiiro 旅色編集部

旅色編集部

tabiiro

マイナス20℃の寒さを楽しさに変える! 星野リゾート トマム「氷のホテル」ができるまで ~継ぎ目のない一枚氷に宿る、職人とスタッフの熱量~

北海道

2026.10.19

マイナス20℃の寒さを楽しさに変える! 星野リゾート トマム「氷のホテル」ができるまで ~継ぎ目のない一枚氷に宿る、職人とスタッフの熱量~

星野リゾート トマム・広報担当 佐藤

佐藤

星野リゾート トマム・広報担当

More▶