【沖縄】梅雨の「ガンガラーの谷」で自然美や自分のルーツについて考える“ちゃん旅”
6月になり梅雨も本番。じめじめとする時期こそ、気持ちは晴れやかに過ごしたいですよね。新年度が始まって体調不良や疲れを感じてしまって、自分のケアをしたいなと思い今回の“ちゃん旅”は森林浴へ。私の母が沖縄出身で、子どもの名前に沖縄に関する字をつけたこともあり、自然に癒されつつ、自分のルーツをもっと知りたいと思いでかけた旅で、想像以上に考えさせられたのでレポートします。
目次
自然のパワーで自分をケアする、日本発祥の「森林浴」をテーマにする“ちゃん旅”
実は、「森林浴」という言葉は日本発祥で、1982年に林野庁長官の秋山智英氏が提唱しました。「森林環境の自然が彩なす風景や香り、音色や肌触りなど、森林生態系の生命や生命力に対して、五感を通じて感ずることによって、心と身体の健康回復・維持・増進を図る」と定義されています。医学的にもその効果が期待されているほか、世界でも「shinrin-yoku」として、セラピーや病気予防の観点から注目されるほど。そんな日本初の体のいたわり方「森林浴」は新年度で変化した生活環境や、日々たまってしまった疲れをケアする手段としてぴったりなのでは? と思い、この切り口で“ちゃんと旅を考える”ことに。
「ガンガラーの谷」とは
ツアー出発地へのアプローチ
ガンガラーの谷は那覇市から車で約30分、沖縄本島の南部に位置する南城市にあります。数十万年前の鍾乳洞が崩れてできた太古の谷間に長い年月をかけて育まれた亜熱帯の森が広がっています。2万年前の人類「湊川人(みなとがわじん)」や、世界最古となる約2万2千年前の釣り針が発見されている場所でもあり、日本人のルーツが解明されるかもしれないと、現在も発掘調査がされています。隣にある「おきなわワールド(玉泉洞)」がオープンした1972年にはじめて公開されましたが、その数年後、谷内を流れる河川の上流にある畜舎から汚れた水が流れ込んだことで環境が悪化。一度閉鎖されましたが、30年以上の時間をかけて河川環境の改善を待ち、2008年8月にガイドツアー参加者のみが見学できるようになりました。
森林浴スタート地点「ケイブカフェ」で自然美に浸る
ケイブカフェ
ガイドツアーは約1キロの行程をガイドさんと1時間30分かけて回ります。出発地点は生い茂る木々を抜けると現れる「ケイブカフェ」。珊瑚を主成分とした琉球石灰岩でできた鍾乳洞の中にあり、通常の鍾乳石より成長が早いそう。大昔は海の中にありましたが、長い年月をかけ隆起し、水などの浸食により鍾乳洞がつくられ、その洞窟が崩壊してできました。ツアー前から自然の美しさに圧倒されてしまい、これから散策する渓谷美への期待も高まります。
雨の雫が輝く「谷間の森」で生命の神秘を感じる
ケイブカフェを出発し洞窟を抜けると、亜熱帯植物が茂る「谷間の森」に入ります。傘のように大きな葉をしたクワズイモ(※)や1日で20センチも伸びる大竹など、たくさんの植物が生きています。あいにく雨が降っていましたが生い茂る木々のおかげで、思うほど濡れずに歩けます。葉を打つ雨音や木の上からぽたぽたと落ちてくる雫、側を流れる川の音や、亜熱帯特有のじっとりする空気を肌で感じていると、この空間が膨大な時間をかけて環境を変えながら、今この瞬間に生き続けていることが五感でわかり、まるで大きな生き物の掌の中を歩いているようでした。
※クワズイモ:低地の常緑樹林下にはえる植物で、ハート型の葉っぱから「仲直り」「復縁」といった花言葉が与えられている。
生命への祈りに集中できる「イナグ洞」と「イキガ洞」
森の中を進んでいくと、良縁・安産への祈りが捧げられる女性の洞窟「イナグ洞」と、命の誕生・成長を願う男性の洞窟「イキガ洞」が現れます。それぞれ男女の特徴の形をした鍾乳石があり、琉球王朝時代(1429~1879年)より信仰の場として土地の人々に大切にされてきたそう。イキガ洞のみ洞窟内部を見学できます。洞内は人の何倍もの高さがありますが、大雨になると川の水量が増し、水に沈んでしまうのだとか。そのため照明等の設備がなく、古代の人々が見ていた景色そのままに歩けます。洞内の空気は静まっていて、爆音の川の流れる音だけが聞こえてくるので、「その場にいることに集中できる」感覚があり、命の誕生と成長のために祈りを捧げる場所にふさわしい場所だと理解しました。
ガンガラーの谷の主「大主(ウフシュ)ガジュマル」
ガイドツアーの終盤に見えてきたのは、樹齢150年以上といわれる巨大なガジュマル「大主ガジュマル」。高さは約20メートルあり、その姿は森の守り神のように神々しく、背筋が伸びてしまうほど。観葉植物としても飾られ、気軽に育てやすいことから人気の植物でもあるガジュマル。沖縄ではいたるところに自生しており、沖縄らしい風景を作っています。そんな観葉植物であるガジュマルが150年以上成長しているだけでも驚きですが、見上げるほどの大きさは見るも人を圧倒させるパワーがありました。ちなみに、ガジュマルは歩く木と呼ばれています。根が張って育つのではなく、幹から出た根が地表に根付き、ガジュマルもそれによって移動していくので、歩くと表現されるのだそうです。このガジュマルも、長い年月をかけて歩いていたのかな、など想像が膨らみます。
今回の“ちゃん旅”の気づき
約1時間30分の森林浴ツアーは当初、私の先祖の生きた土地を見ながら、匂いや空気を吸って、癒しを得られればと考えていました。しかし、いざ散策すると、ただのリラクゼーションではなく、太古から自然と人が共存していたという長い歴史的事実を強烈に感じる体験となりました。特に、大量の水が流れるイキガ洞では、自分自身のルーツである沖縄で、先祖達が生まれてくる命に何万年も祈りを捧げてくれていたのだと感じ、胸が熱くなりました。大昔から人間の命や自然は大切に守られ続けていることを実感し、先祖や大地をより大切にしようと感じられたガンガラ―の谷での「ちゃん旅」。日々の生活に少し疲れてしまったり、ちょっと立ち止まって自分自身について考えたいときにおすすめです。
◆ガンガラーの谷 ガイドツアー
住所:南城市玉城字前川202番地
電話:098-948-4192
料金:大人2,500円、学生(中学生以上)1,500円
※保護者同伴の小学生以下は無料
※公式HPからの完全事前予約制、当日予約はTELで確認













