【ロケ地めぐり】映画『夏の砂の上』の世界に迷い込む長崎旅
7月4日に公開されたオダギリジョーさん主演の映画『夏の砂の上』。松たか子さん、満島ひかりさん、高石あかりさん、光石研さんなど豪華俳優陣が出演しており、すべて長崎で撮影されました。複雑に入り組む路地や坂道など、生活の場としての長崎が美しく描かれているので、映画を見た人は行ってみたくなるのではないでしょうか。長崎市在住の旅色LIKESライター・おんりが、じげもん(地元民)だからこそ知る『夏の砂の上』のロケ地を紹介します。
目次
『夏の砂の上』について
劇作家・演出家でもある松田正隆氏が、自身の生まれ育った長崎を舞台に描き、第50回読売文学賞戯曲・シナリオ賞を受賞した戯曲(演劇の台本のこと)です。舞台上映は何度もされてきましたが、映画化は今回初だそう。主演のオダギリジョーさんが、共同プロデューサーも務めています。今年6月に開催された「第27回上海国際映画祭」のコンペティション部門で、審査員特別賞を受賞し話題となりました。
「長崎ロケ地マップ」を手に入れよう
ロケ地めぐりにかかせないのが「長崎ロケ地マップ」。長崎県庁1階パンフレットコーナー、長崎市総合観光案内所、長崎市中央公民館等で入手できます(※なくなり次第終了)。「ながさき旅ネット」公式HPからダウンロードもできるので、準備しておくと便利です。まずは路面電車を使って巡れるロケ地をご紹介します。「長崎ロケ地マップ」には掲載されていない場所もあるので要チェックです!
ロケ地① 治が働いていた「思案橋(しあんばし)」界隈
路面電車。どこまで乗っても大人150円
それでは路面電車に乗ってロケ地へ向かいましょう! と言ってもこの路面電車が最初のロケ地です。映画では、優子(高石あかり)と阿佐子(満島ひかり)が乗っていました。運賃が一律で、本数が多いので、長崎市内中心部を観光するのに便利な交通手段です。
思案橋電停※1 で降り、横断歩道を渡るとすぐに思案橋横丁の入口に到着します。入口近くの裏路地が、陣野(森山直太朗)が、仕事中の治(オダギリジョー)を呼び出した場所。実際に歩いてみると、その狭さに驚きます。思案橋界隈は細い路地が複雑に絡み合い、まるで迷路のよう。歓楽街にあまり縁がない私は、昼間でもちょっと緊張してしまうエリアです。
※1 電車の停留所のこと。
路地の表側に回ると、治が再就職した中華料理店「天天有」があります。昔ながらの街中華で、長崎のソウルフード「ちゃんぽん」や「皿うどん」が楽しめます。店名もそのままなので、映画から抜け出てきたよう。「本当にオダギリジョーが働いてたらいいのになぁ」と妄想しつつ、ランチをいただきました。
◆天天有
住所:長崎県長崎市本石灰町2-14
電話:095-821-1911
営業時間:11:00~15:00 、17:00~23:30
定休日:水曜日
「天天有」から2分ほど歩くと、優子とバイト仲間が飲み会をしていた「居酒屋 五人百姓」があります。長崎近海魚や長崎地産野菜、名物くじらしゃぶなどがいただけるので、映画のシーンを思い出しながら長崎の夜を楽しんでみてはいかがでしょうか。
◆五人百姓
住所:長崎市銅座町13-13 1F
電話:050-5484-9437
営業時間:17:00~22:30
●周辺観光施設
丸山、新地中華街、唐人屋敷跡、崇福寺など。
電車通りを挟んで逆側にある「浜町アーケード」は、優子がバイト終わりの仲間達と鉢合わせした場所です。一緒にダーツをしていた「Dining & Pool Bar HAPPY」も、アーケード内にあります。実は「浜町アーケード」は、全国でも2ヶ所しかないアーケード国道。時間帯によっては車も通れます。珍しいアーケード国道を抜けたら、「アルコア中通り」へと入っていきましょう。
「アルコア中通り」は、長崎で最も古くからある商店街。個人商店が多く、優子が麦わら帽子を買おうか迷っていたお店「Croche クロシェ」もあります。私が行った日は残念ながら店休日でしたが、外から見える場所に玉田監督と高石あかりさんのサインが飾られていました。ピンクの可愛らしい外観は、いかにも女子受けしそう。無愛想でクールに見える優子の、10代の女の子らしい一面が垣間見えるお店です。
◆Croche クロシェ
住所:長崎市長崎市麹屋町6ー2
電話:095-822-5339
営業時間:12:30〜22:00
定休日:不定休
ロケ地➁ 観光地だけじゃなく、ロケ地としても人気の「眼鏡橋」界隈
「Croche クロシェ」から歩いて2分ほどで、「魚市橋」に到着します。優子と立山のデートの待ち合わせシーンや、持田(光石研)が運転するタクシーから治が降りるシーンが撮影されました。すぐ隣には観光地で有名な「眼鏡橋」があります。このあたりはフジテレビのドラマ『君が心をくれたから』のロケも行われていたので、2つの作品を同時に聖地巡礼することも可能です。
●周辺観光施設
眼鏡橋、興福寺など。
そのまま川沿いを3分ほど歩くと、治が職を探していたハローワークのロケ地「長崎市中央公民館(市民会館)」があります。実際のハローワークではないのでご注意を。
「長崎市中央公民館」の対面にある「長崎市役所」1階では、8月12日まで映画のパネル展示が行われているので合わせてご覧ください。
●周辺観光施設
長崎市役所展望フロアなど。
ロケ地③ 優子がデートしていた「出島」界隈
市役所電停から路面電車に乗り、出島電停で降りると、徒歩3分ほどで複合商業施設「出島ワーフ」に到着します。長崎港や稲佐山を眺めながら飲食できるお店が並び、観光客にも地元の人にも人気のベイサイドエリアです。その中にある「Attic coffee and dining(アティックコーヒーアンドダイニング)」のテラス席が、優子と立山(高橋文哉)のデートシーンで使われた場所。長崎名物「トルコライス」やパスタなどの食事から、本格的なスペシャルティコーヒーやアルコールなどのドリンク類まで楽しめるお店です。開放的な感じが心地よく、週末のランチタイムは幅広い年齢層の人達で賑わいます。
◆Attic coffee and dining
住所:長崎市出島町1-1 長崎出島ワーフ1F美術館側
電話:095-820-2366
営業時間:11:30~22:00
定休日:水曜日、年末年始
●周辺観光施設
出島、長崎県美術館など。
「出島ワーフ」から徒歩約3分の「長崎水辺の森公園」でも、デートシーンの撮影が行われました。長崎港や女神大橋が一望できる絶好のロケーションは、大型イベントに使われることも多く、地元民にも親しまれています。運がよければ、巨大なビルのような大型客船の姿を見ることができるかもしれません。
●周辺観光施設
長崎県美術館、旧香港上海銀行長崎支店記念館、長崎市べっ甲工芸館(旧長崎税関下り松派出所)。
ロケ地④ 様々な人間模様が描かれる「グラバー園」界隈
路面電車で行く最後のロケ地は、グラバー園界隈です。石橋電停から徒歩3分ほどで、「相生(あいおい)地獄坂」へ到着します。坂を上ったところに別居中の妻・恵子(松たか子)が住むアパートがあるのですが、この暑さの中、地獄坂を上るのはさすがにキツい……ということで、坂の近くにある「グラバースカイロード」を利用することにしました。実はこれ、日本で初めて道路として位置づけられた斜めに動くエレベーターなんです。地元の人が利用するために作られましたが、観光客も利用できます。4Fでエレベーターを降り、「相生地獄坂」を下っていくと、目指すアパートがあります。ちなみに階段に引いてある白い線は、段差を見やすくするための工夫です。
斜行エレベーターで5Fまであがり、さらに垂直エレベーターに乗り換え、急な坂道を3分ほど下ると、旧スチイル記念学校裏の坂に到着します。ここは映画の最後の方で、優子と阿佐子が乗るタクシーを見送った場所。木々に覆われた石畳の小径にあるベンチから、長崎港と三菱造船所が一望できる絶景スポットです。
●周辺観光施設
グラバー園、大浦天主堂ほか。
ロケ地⑤ 治が暮らす、稲佐(いなさ)・平戸小屋地区
ここからは、路面電車ではアクセスしにくいロケ地を紹介していきます。映画の中で一番登場するのが、治が暮らしている稲佐・平戸小屋地区。長崎に生まれ育った私も、正直ロケ地めぐりをするまで「平戸小屋」がどこにあるのか知りませんでした。
優子がアルバイトをしていた「エレナ稲佐店」は、旭町桟橋前バス停のすぐ目の前にあります。「エレナ」は、長崎ではおなじみのスーパーマーケット・チェーン。象がトレードマークなので、ずっと「エレファント・ナカムラ」の略だと思っていましたが、「エレガント・ナカムラ」と「エレベート・ナカムラ」の略なんだそう。知らなかった……。
「エレナ稲佐店」から、次のロケ地がある「烏岩(からすいわ)神社」までは徒歩10分ほど。まずは参道の入口でもある「お栄さんの道」を目指します。お栄さんは、長崎の三大女傑(大浦お慶、楠本イネ、稲佐お栄)のひとり。稲佐・平戸小屋地区は、幕末頃「ロシア村」があり、そこで活躍されたのだそう。幕末あたりの歴史が好きな方にとっては興味深い地区かもしれません。
「お栄さんの道」から神社までの参道は、長崎らしい狭く入り組んだ路地が続きます。きっと治もこの階段を上り下りしていたんだろうなぁ。
5分ほど階段を上ると、「烏岩神社」へ到着します。持田のお葬式が行われ、陣野の奥さんから呼び止められるシーンが撮影された場所です。住宅街の高台にある烏岩神社は、人気もなくひっそりとしています。この辺りをきちんと歩いたことがなかったので、烏岩神社から見下ろす長崎の街並みが新鮮でした。
治の家の近所として、何度も登場する場所。
治の家の近所のタバコ屋さんは、稲佐山登山道路の中腹にあります。いろいろな角度で繰り返し登場するので、印象に残っている人も多いのではないでしょうか。シンボリックなタバコ屋さんは、現在はもう閉店しているようです。路線バスで行くと、道の狭さとカーブの多さにびっくりするような場所にあります。
●周辺観光施設
稲佐山展望台、稲佐悟真寺国際墓地ほか。
ロケ地⑥ 持田が務めるタクシー会社がある「鍋冠山(なべかんむりやま)」界隈
「稲佐山」と海を挟んで反対側にある「鍋冠山」は、「稲佐山」と並ぶ夜景スポットです。じげもんの間では、どちらの夜景が好きか、しばしば論争になることも。鍋冠山展望台の近くにあるのが、持田が務める安全タクシーの待機所です。名前も建物も映画のままで、びっくりしてしまいました。
それにしても持田を演じた光石研さんの長崎弁が上手すぎて、てっきり長崎出身なのかと思ったら福岡県出身の方でした。完璧な長崎弁に脱帽です。
●周辺観光施設
鍋冠山展望台。
おわりに
長崎に生まれ育った私でも、平戸小屋周辺は行ったことがなく、まだまだ知らない場所があるなぁと思わされたロケ地めぐりでした。映画の中の長崎は架空の街のように感じられる一方で、今も治が平戸小屋あたりで暮らしているような気もします。
今夏は長崎がブームのようで、長崎を舞台とした映画が目白押しです。『夏の砂の上』に始まり、現在上映中の『長崎-閃光の陰でー』、そして9月には、広瀬すず主演の『遠い山なみの光』が公開予定です。気になる映画を鑑賞して、映画の世界に迷い込む「ロケ地旅」をしてみてはいかがでしょうか。











