【奈良】花見酒も楽しめる?地元民が薦める大和の桜名所5選
こんにちは。奈良県在住ライターの神奈月みやびです。3月半ばになると桜がいつ咲くのか、今年の花見はどこで? とそわそわしてきますよね。桜には気分を上げてくれる効果があるとか。開花時期は1週間程度のため、見頃に合わせて花見をするのは至難の業ですが、いまから名所情報を知っておけばうまくいくかも。今回は奈良県内にたくさんある桜名所を5つ紹介します。さあ、今年はどこで桜を見ましょうか。
目次
“桜奉行”が残した春の名所「佐保川沿いの桜並木」/奈良市
奈良市内で一番と言っていい名所は佐保川沿いの桜並木です。奈良市北部から大和郡山市まで奈良市内を南北に流れる川で、江戸時代に奈良奉行・川路聖謨(※1)が整備した美しい道が川沿いに約5キロメートルも続いています。中間地点の一条通をはさみ、北へ向かうか、南へ下るか……。どちらをとっても美しいですが、私は南行きが好きです。南へ向かうと、川の両岸を見渡せる東西にかかる小さな橋のそばに、奈良県立図書情報館があります。シーズン中はマルシェなどのイベントが行われることも。このあたりで川岸に降りることもできるので、ビールを片手に散りゆく桜を愛でてみましょう。ここの桜の散り際は特に美しく、風に舞う花びらが川面に浮かび、ピンクの絨毯のように流れていく姿に思わず見とれてしまいます。
※1奈良奉行・川路聖謨(かわじとしあきら):幕末に活躍した有能な旗本・官僚。奈良奉行(主に南都(奈良)の町政、興福寺・東大寺など大和国の大寺院の監視、寺社行政、および奈良町の治安維持を担当した役職)として善政を敷き、「桜奉行」と慕われた。
◆佐保川
住所:奈良市法蓮町~大安寺西付近
電話番号:0742-27-2223(奈良市総合観光案内所)
◆奈良県立図書情報館
住所:奈良市大安寺西1丁目1000番地
電話番号:0742-34-2111(代)
営業時間:9:00~20:00
定休日:月曜日(祝日・振替休日の場合は翌平日)、毎月末日(土・日・月曜日の場合は前平日)、12月28日~1月4日
“花の御寺(はなのみてら)”の真骨頂! 外舞台から眺めるピンクのグラデーションが圧巻の「総本山 長谷寺」/桜井市
奈良県桜井市にある真言宗豊山派(しんごんしゅうぶざんは)の総本山長谷寺は“花の御寺”といわれ、牡丹や紫陽花といった四季折々の花で常に美しいのですが、桜の時期は格別! 長谷寺ではシダレザクラ、ヒガンザクラ、ヤマザクラ、ソメイヨシノ、ヤエザクラなど多種多様な桜が咲き乱れます。そのため、濃淡の違うピンクがグラデーションとなり、どこをどう切り取っても美しいです。特に、399段の回廊を登った先にある本堂にある外舞台からの景色が圧巻! 標高約548メートルの初瀬山の中腹にある本堂の斜面にせり出すように作られた外舞台に立つと、まるで空から桜を見下ろしているかのよう。時が経つのを忘れてしまうほどです。
◆総本山 長谷寺
住所:桜井市初瀬731-1
電話番号:0744-47-7001
参拝時間:4~9月8:30~17:00、10~11月・3月9:00~17:00、12~2月9:00~16:30 ※ぼたんまつり期間等時間延長あり
入山料:大人(中学生以上)500円、小学生 250円
美しすぎてもはや孤高の存在? 地元民が守り続けている「又兵衛桜」/宇陀市
宇陀市本郷区にある「本郷の瀧桜(ほんごうのたきざくら)」は、樹齢300年を超える一本しだれ桜です。大坂夏の陣で活躍した戦国武将・後藤又兵衛がこの地に落ち延びて僧侶になり一生を終えたという伝説や、後藤家の屋敷跡にあることから「又兵衛桜」の名で知られています。この桜の咲く様は日本一ではないかと思うほどのど迫力。なんというか、孤高の美しさ。誰にも何も言わせない、圧巻の風情です。最近は、シーズンになると数万人が訪れるほど有名になりすぎていて、ちょっと困惑……。何もない場所なので、地元の方が鑑賞用の道を整備したり、混雑回避などのお世話をしたりしています。そこまで美しいなら一度は見たい! と思われるかもしれませんが、マナーを守って鑑賞してくださいね。
◆又兵衛桜(本郷の瀧桜)
住所:宇陀市大宇陀本郷
電話番号:0745-82-2457(宇陀市観光協会)
又兵衛桜を見た後は、宇陀松山まで足を伸ばしてみてもいいですね。重要伝統的建造物群保存地区に指定されているエリアで、江戸期からの町家や老舗商店が軒を連ねる町並みが今も残っています。町中を散策しつつ「久保本家酒造」へ。1702(元禄15)年創業の酒造で、一般見学は行っていないそうですが、建物自体が文化財クラス。酒蔵見学イベントなども行われることがあり、シーズンには蔵の裏の駐車場でマルシェも。また、酒造から徒歩約3分のところには「酒蔵カフェ 久保本家酒造 はなれ」があります。こちらで利き酒セットや甘酒などをいただきましょう。
◆久保本家酒造
住所:宇陀市大宇陀出新1834
電話番号:0745-83-0036
営業時間:8:00~17:00
定休日:不定休
◆酒蔵カフェ 久保本家酒造 はなれ
住所:宇陀市大宇陀拾生722-6(道の駅前)
電話番号:0745-83-0010
営業時間:11:30~16:00
定休日:月・火曜日 ※臨時休業あり
ほろ酔い気分で桜を望める「長龍ブリューパーク」/広陵町
穴場として挙げたいのが、広陵町にある「長龍ブリューパーク」です。1963(昭和38)年に創業した長龍酒造の日本酒や、2021(令和3)年から長龍酒造が作り始めたクラフトビールなどが楽しめるスポットです。なぜここが穴場かというと、施設内にある芝生エリアから高田川土手の桜並木が望めるからなんです! 高田川と言えば、大和高田市の大中公園付近が「千本桜」で有名ですが、同じ高田川の下流になるここにも一部桜並木があります。芝生でくつろぎながら、お酒やクラフトビールを片手に、そんな桜スポットを鑑賞できるのが「長龍ブリューパーク」の一番の魅力。開花時期にはイベントもあって季節限定のお酒も販売されます。ほんのりピンクに色づいたお酒や酒蔵自慢のおつまみで、自身の頬もピンク色に染まってしまうのです。
◆長龍ブリューパーク
住所:北葛城郡広陵町南7-1
電話番号:平日0745-56-2026 (長龍酒造 直通)、土・日・祝日0745-43-6203 (ブリューパーク直通)
営業時間:土・日・祝日11:00〜17:00(LO16:30)
定休日:月~金曜日(芝生エリアは開放)
外様には知られていない桜の名所だと芭蕉も納得 「内山永久寺跡(うちやまえいきゅうじあと)」/天理市
天理市にある内山永久寺跡も隠れた桜の名所。1114(永久2)年創建で、日本最古の古道・山の辺の道の途中にあり、かつては「西の日光」とまでいわれたほど繁栄していたそうです。しかし、明治時代の廃仏毀釈(※2)によりすべて取り壊され、今では境内にあったと伝わる池とその周りに植えられた桜だけが残っています。そんな内山永久寺跡には、あの松尾芭蕉の句碑が残っています。「うち山や外様(とざま)知らずの花ざかり」と詠まれたこの句は、伊賀(現在の三重県)在住だった芭蕉が「人の評判を聞いて内山永久寺に来てみたところ大層賑わっていて、地元の人ならば当たり前に花の盛りを知っているのだろうが、田舎の自分は外様なので知らなかったよ」という意味だそう。現在は桜の時期になるとたくさんのアマチュアカメラマンが三脚を立てていますが、普段は鄙びた田畑があるだけで、かつてこの地に大寺院があったとは信じられません。先ほどの芭蕉の句をいま読み返してみても「こんな素晴らしい桜があるのに、外様(外の人)には、知られていない」という解釈もできるような気がしてきます。
※2廃仏毀釈(はいぶつきしゃく):明治初頭に神道の国教化を目指した政府の政策(神仏分離令)をきっかけに、日本各地で起きた仏教排斥運動のこと。寺院の破壊、仏像・仏具の焼却、僧侶の還俗(げんぞく:俗人に戻る)が強行され、仏教の信仰や文化財が大きな打撃を受けた。
◆内山永久寺跡
住所:天理市杣之内町
電話番号:0743-63-1001(天理市役所)
内山永久寺跡を訪れた後は車で約5分のところにある「なら歴史芸術文化村」に立ち寄るのがおすすめ。歴史・芸術・食と農など、奈良の文化に触れられるユニークな施設で、文化財の修理作業現場を間近で見られたり、アーティストによる創作活動などが行われていたりします。また、施設全体が道の駅になっていて、地元の野菜、果物、奈良のお土産、お酒もそろいます。さらに、道の駅に隣接する形で全国展開しているホテルブランド・フェアフィールド・バイ・マリオットもあるので、山の辺の道を歩く拠点としても使えますよ。
◆なら歴史芸術文化村
住所:天理市杣之内町437-3
電話番号:0743-86-4420(代表)
定休日:月曜日
さいごに
今回は紹介しきれませんでしたが、奈良には吉野山をはじめ、数多くの桜の名所があります。桜の季節は本当に短くて、うっかりすると見逃してしまうことも。それでも、桜には出会いと別れの季節を愛でる日本人の心の原点があります。さあ、今年も桜を愛で、短い春を楽しみましょう。














