
2026/10/01
高知県は、2026年10月1日~11月30日まで、「高知県 弟子入り旅キャンペーン」を実施しています。県内各地の職人や地域の担い手に“弟子入り”するように、高知ならではの文化や技術を直接学べる8つの体験プログラムが対象です。参加すると、オリジナルの「弟子入り認定証」や、ひろめ市場で使える割引券がもらえます。
この記事では、キャンペーンの内容と対象プログラムをご紹介します。あわせて、キャンペーン開始に先立つ発表会で、対象プログラムのひとつである土佐和紙づくりを特別に体験させていただいたので、その様子もお届けします。
※今回の体験は、2026年9月30日に東京都内で開かれた高知県主催の発表会で実施されたものです。
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東京都内で開かれた「高知県 弟子入り旅キャンペーン」発表会
コンセプトは「地域の担い手に“弟子入り”し、文化や技術を直接学ぶ旅」です。観光で訪れた人に、見て終わるのではなく、職人や地域の人から直接教わる時間を過ごしてもらうことを目指しています。
伝統工芸をはじめとする地域の文化では、後継者不足が課題になっています。発表会で投影された資料(出典:伝統的工芸品産業振興協会)によると、全国の伝統的工芸品の従業員数は、平成10年度の約11.5万人から、令和2年度には約5.4万人と半数以下に減っています。
高知県は、人口減少が全国よりおよそ15年早く進んできた「課題先進県」ともいわれます。県の担当者は、地域の文化や技術を担う人をどう確保するかが、より切実な課題になっていると説明していました。

キャンペーンのコンセプトは「地域の担い手に“弟子入り”し、文化や技術を直接学ぶ旅」
そこで県が考えたのが、観光を入り口に、旅行者と地域の担い手が出会う場をつくることです。体験を通して技術だけでなく、それを受け継ぐ人や地域の歴史にも関心を持ってもらい、一度きりで終わらず、高知を応援し続けてくれるファンを増やしたい、というのが県の狙いです。
このキャンペーンは、高知県が2024年4月~2028年3月までの4年間で展開している観光キャンペーン「どっぷり高知旅」の一環として行われています。

高知県 弟子入り旅キャンペーンの期間・特典・引換場所の一覧
キャンペーン期間は2026年10月1日〜11月30日で、割引券の引き換えは10月24日〜12月6日の金・土・日・祝日と11月2日の17:00〜19:30です。
参加の流れは、次の4ステップ
1. 対象の体験プログラムを予約し、期間中に参加する
2. 体験を終えたら、事業者から「弟子入り認定証」を受け取る
3. 認定証を「よさこい高知 宵の舞〜秋の陣〜」の受付で提示する
4. ひろめ市場で使える割引券を受け取る

体験から割引券の受け取りまでの流れ。認定証は体験先の事業者から受け取る
発表会で紹介された認定証の見本には、弟子入り先の事業者名と修業日を記す欄が設けられていました。旅の記念として手元に残せるのも嬉しいポイントです。
対象は、鍛冶、木工、漁業、和紙づくりなど、訪れる地域によって異なる営みに触れられる8つのプログラムです。

高知県 弟子入り旅キャンペーン 対象8プログラムのエリアと名称の一覧
開催日、料金、予約方法はプログラムごとに異なります。詳しくはどっぷり高知旅 公式サイトの各プログラムページでご確認ください。
なお、県によると、各プログラムはキャンペーン終了後も観光商品として継続して提供されるとのことです。
県によると、対象の各プログラムは、キャンペーン終了後も観光商品として継続して提供されるとのことです。ただし、弟子入り認定証やひろめ市場の割引券といった特典は、キャンペーン期間中の参加が対象です。
井上手漉き工房では、約2時間のコースと、1日かけて取り組むコースがあるそうです。1日コースは本格的に学びたい方向けで、和紙をたくさんの枚数漉くことができるとのことでした。料金や持ち帰れる作品の違いは、事前にご確認ください。
料金はプログラムごとに異なり、手軽に参加できるものから、宿泊を伴うものまで幅があります。最新の料金は、どっぷり高知旅の公式サイトの各プログラムページでご確認ください。
予約の締め切りはプログラムごとに異なります。少人数制のプログラムもあるため、日程が決まったら早めに公式サイトで確認しておくと安心です。
県の担当者によると、今年度の予算は今回の期間分のみのため、延長の予定はないとのことです。好評であれば、来年度以降の実施を検討したいと話していました。
発表会では、対象プログラムのひとつ「土佐和紙づくり体験」を受け入れている、土佐市の「土佐和紙 井上手漉き工房」四代目・井上みどりさんが登壇しました。会場では、メディア向けに和紙ランプシェードづくりを特別に体験させていただきました。

井上さんの工房で、体験の最初に上映している土佐和紙の紹介映像
土佐和紙は日本三大和紙のひとつに数えられ、高知で千年以上受け継がれてきたといわれる伝統工芸品です。井上手漉き工房は、仁淀川の恵みを受ける土佐市で100年以上続く工房で、和紙づくりのほか、和紙を使った小物の制作や体験の受け入れも行っています。
工房での体験は約2時間で、和紙づくりと、自分で漉いた和紙を使ったランプシェードづくりの2部構成です。少人数制で、井上さんと修行中のスタッフがほぼマンツーマンで教えてくれるそうです。じっくり学べる1日コースもあるとのことでした。
土佐和紙の主な原料は、楮(こうぞ)という植物の皮です。冬に刈り取った枝を蒸して皮を剥ぎ、外側の茶色い硬い皮(外皮)を包丁で削り取り、白い部分(白皮)だけを残します。それをアルカリ性の液で2時間ほど煮てやわらかくし、木槌などで叩いて繊維をほぐします。水に溶かした繊維を木の枠に流し込み、水だけを落とすと、1枚の和紙ができ上がります。
会場には実物の原料も並び、1本の枝が紙になるまでの手間の多さを実感できました。
今回体験したのは、漉き上がった和紙に植物をあしらい、ランプシェードに仕立てる工程です。テーブルには、井上さんが高知から持ってきた赤いモミジや黄色い小さな葉などが並んでいました。水で湿らせた和紙に、好きな植物を置いていきます。どの葉を選び、どこに置くかで仕上がりの印象が大きく変わるため、美的センスが問われる工程でした。

明かりをともすと、モミジの葉脈がやわらかな光に浮かび上がる
井上さんに教わったコツは、次の通りです。
• 最後に筒状に巻くので、紙の端には植物を置かない
• 葉は表側を向けて置く
• 植物どうしを重ねすぎない
上からもう1枚の薄い和紙を重ねてなじませ、透明な筒に巻きつければ完成です。台座に乗せて明かりをともすと、やわらかな光の中にモミジの葉脈まで浮かび上がりました。

土佐和紙 井上手漉き工房の井上みどりさん(左)と、高知県観光政策課の西村さん(右)
井上さんは室戸市の出身で、会社員時代に一枚の手漉き和紙の美しさに惹かれ、職人の道に進んだそうです。
和紙づくりは、同じ作業をしても天候によって同じものができないといいます。思い通りにいかない日も、それを今の自分の最善として受け止め、どうすればより良くなるかを考える。井上さんはこれを「無理をしないものづくり」と表現していました。
継承について、井上さんが力を入れているのは、職人を育てることに加えて、和紙に関わる人を増やすことだそうです。工房体験や出張体験を続けるなかで、体験をきっかけに移住し、修行を始めた若いスタッフもいるとのことでした。弟子入り旅キャンペーンの考え方とも重なる話です。

2026年10月25日から12月6日まで、高知県で「よさこい高知文化祭2026」が開かれる
割引券の引換会場となる「よさこい高知 宵の舞〜秋の陣〜」は、ひろめ市場前で開かれるイベントです。日中に弟子入り体験をして、夜はひろめ市場で高知の味を楽しむ、という旅の流れがつくりやすそうです。
高知ならではの味を探すなら、高知の名物・ご当地グルメや、高知市で夜ご飯を楽しめるお店もあわせてご覧ください。
また、2026年10月25日~12月6日までは、高知県で「よさこい高知文化祭2026」(第41回国民文化祭・第26回全国障害者芸術・文化祭)が開かれます。期間中は県内各地で250を超える文化イベントが予定されているとのことです。キャンペーン期間を秋に設定したのは、文化祭で高知を訪れる人にも体験に参加してもらい、相互に行き来してもらう狙いがあるそうです。
※「宵の舞」は10月24日、「よさこい高知文化祭2026」は10月25日が開始日です。
毎年夏に開かれる本祭の情報は、よさこい祭りの記事で紹介しています。
弟子入り体験の舞台は、四万十川流域から仁淀川、嶺北、太平洋沿いの漁師町まで県内各地に広がります。体験を軸に、周辺の観光地をあわせて巡る旅もおすすめです。
•中土佐町久礼で漁師町の文化にふれたら、カツオのたたきが美味しいお店もチェック
• 土佐の地魚まで味わうなら、高知の海鮮グルメ
• 旅の締めくくりには、高知のお土産選びも

フォトセッションで、和紙ランプシェードと弟子入り認定証を紹介する井上さん(左)と西村さん(右)
「高知県 弟子入り旅キャンペーン」は、2026年10月1日から11月30日まで、県内各地の職人や地域の担い手から直接学べる8つの体験プログラムを対象に実施されます。参加すると弟子入り認定証がもらえ、「よさこい高知 宵の舞〜秋の陣〜」の会場で提示すると、ひろめ市場で使える割引券がもらえます。
今回体験した土佐和紙づくりでは、1本の楮が紙になるまでの手間と、植物の置き方ひとつで表情を変える和紙の奥深さに触れることができました。作り手から直接話を聞きながら手を動かす時間は、観光地をめぐるだけでは得られない旅の記憶になりそうです。
対象プログラムはキャンペーン終了後も継続して提供されるとのことです。この秋、よさこい高知文化祭とあわせて、高知の担い手に弟子入りする旅を計画してみてはいかがでしょうか。
高知県 弟子入り旅キャンペーン
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記事企画・監修:旅色編集部 なかしま
ライター:なかしま