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2026/08/05
福井県小浜市。その中でも三丁町という町の中心にいま全国から注目を集める新しいスポットがあります。美しい日本海に面し、古くから「御食国(みけつくに)」として豊かな食文化を誇ってきた町に。
それが、「おばま水族館」。
なんとこの水族館、福井県立大学の現役の学生たちがゼロから立ち上げたというから驚きです。今回は、創設者である真壁さんにお話を伺い、水族館誕生に隠された熱いドラマと、手作りの温もりに満ちた館内の魅力をたっぷりと取材してきました!
この記事の目次
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おばま水族館外観
ここには10メートルを超えるような巨大水槽も、日本に生息していないような珍しい生物の展示などはありません。しかし「おばま水族館」に一歩足を踏み入れると、その生き物への深い愛情に圧倒されます。

館内に並ぶのは、小浜の豊かな海を再現した水槽の数々。水槽は約30個、60種類もの生き物が展示されているそうです。大人の知的好奇心を刺激する解説から、お子さんたちが喜びそうな展示まで、誰もが夢中になれる空間が広がっています。
創設者・真壁さん
この水族館を運営するのは福井県立大学 海洋生物資源学部の学生です。大学で習ったことを実現する場という側面もありますが、そもそも、なぜ学生である真壁さんが水族館を作ろうと思ったのでしょうか?その裏には、シンプルで真っ直ぐな熱い想いがありました。
「とにかく、小浜の海の素晴らしさと、生き物たちの面白さを多くの人に知ってほしかったんです。専門家じゃなくても、学生だからこそできる『等身大の伝え方』があるはずだと信じて動き出しました」
自分で水族館を作ると周囲に公言し、発信を続けていると、この建物のオーナーさんと巡り合ったそうです。
オーナーさんも以前から古く美しい街並みが残る三丁町の玄関口にある、この建物が空き家なのは寂しいと感じていたそうで、真壁さんの想いに共鳴して協力されたそうです。
しかし、実績も資金もない学生たちの挑戦は、決して平坦な道ではありませんでした。
次々と立ちはだかる専門的な壁に、何度も挫けそうになったといいます。それでも、「小浜に新しい光を灯したい」という真壁さんの情熱に共感した仲間たちが一人、また一人と集まり、プロジェクトは少しずつ形になっていったそうです。
水族館をつくる上で、課題の一つが「展示する生き物たちの確保」です。購入する資金などない学生たちが、どうやってこれほど多くの生き物を集めたのでしょうか?
ただ、すべてがそうではなく、そこには、小浜の地域の人々との温かい絆がありました。
活動を始めた当初は、周囲から「本当にできるのか?」と心配されることも多かったそう。
真壁さんたちが毎日汗を流し、真剣に準備を進める姿を見て、地元の漁師さんたちの目の色が変わったそうです。
「珍しい魚が網にかかったぞ!」「この魚、子供たちが見たら喜ぶんじゃないか?」と、漁師さんたちが自ら生き物を届けてくれることも。

トラフグ(若狭フグ)の赤ちゃん
現在、おばま水族館にいる生き物たちの多くは、こうして地元の海と漁師さんたちから「譲り受けた」命も展示。水槽の一つひとつに、地域の人々の温かい応援の気持ちが宿っています。
写真のトラフグ(若狭フグ)の赤ちゃんは、養殖用のふぐたちを譲ってもらったそうです。

どこか懐かしい落ち着いた空間
館内を歩いていると、どこか優しく、温かい気持ちになる理由。それは、展示の隅々にまで学生たちの「手作り(DIY)」の跡が残っているからです。
「ここまで自分たちでやるの!?」と驚かされた、その奮闘の跡をご紹介します。

真壁さんが管理する水槽
大きな水槽を支える架台は、なんと学生たちが木材を切り出し、ペンキを塗って手作りしたもの。既製品にはない、木の温もりが館内全体をやわらかい雰囲気に包み込んでいます。
学生ならではのユニークな視点で描かれたイラストや豆知識は、どれも「この子のここを見てほしい!」という愛に満ちていて、ついついすべてのパネルをじっくり読んでしまいます。
おばま水族館の最大の魅力は、遮るものの少なさと、生き物との距離の近さです。「ただ眺める」のではなく、生き物たちの息遣いを感じられるような展示の工夫が施されています。
館内には、真壁さんをはじめとする学生スタッフが常駐しています。話しかけると、魚たちのユニークな生態や、展示の裏話などを満面の笑みで教えてくれます。この「アットホームなコミュニケーション」こそ、大規模な水族館にはない、ここだけの贅沢な体験です。
水槽は必ず1人の学生が自分で管理しているそうで、愛情をもって飼育されています。

古民家をリノベーションされているため、以前の趣が随所に感じられます。特に2階は自宅のような雰囲気が残っています。展示もそんな雰囲気を活かした展示に。学生たちの柔軟で遊び心ある展示にここでも感心させられます。
座布団に座り、目の前の水槽を眺めてぼーっとしたり、窓にふと目をやれば歴史ある町並みが飛び込んでくる。こんな水族館はなかなか他にありません。
「おばま水族館」は、ただ魚を展示している場所ではありませんでした。 そこは、「小浜の海を愛する一人の学生の夢」が、「地域の温かい人々の協力」によって形になった、奇跡のような場所です。
真壁さんたちの挑戦は、これからもまだまだ続いていきます。 小浜を訪れた際は、ぜひこの温かくて熱い「手作りの海」に足を運んで、彼らの情熱を肌で感じてみてください。応援したくなる水族館。おばま水族館。
参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。
記事企画・監修:旅色編集部 ふかい
ライター:ふかい