甲州市の人気ワイナリー98winesが作ったブルワリー＆ホテル

山梨県甲州市塩山にあるワイナリー98wines。こだわりのワインはもちろんおしゃれなワイナリーも人気です。そんな98winesが昨年秋、ブルワリー（ビール醸造所）「98BEERs」をオープン。さらにブルワリーに併設して3部屋のみのホテル「Stay366」もスタートしました。98winesのワインが大好きなのでずっと行きたいと思っており、今年のゴールデンウィークに念願叶いました。

宿泊者限定の醸造所見学からスタート

JR塩山駅から車で15分ほど。宿泊特典として、希望すれば塩山駅から送迎があります。送迎に来てくださったのはまさかの98winesのオーナー・平山さん。オーナー自らのお迎えに初っ端から驚きつつ、車中ではブルワリーやホテルのこと、ワイナリーのお話も伺えました。日本ワインと甲州市を愛している平山さんのお話はおもしろくてあっという間に到着です。

通常は見学を受け付けていない醸造を行う鉄の棟、貯蔵を行う石の棟を案内してもらいました

作るワインによって木樽やステンレスタンクを使い分けてるそう

機械で瓶詰めした後は自分たちの手でラベルを貼り蝋付けを行います

通常は見学を行っていないワイナリーですが、宿泊特典として特別に見学できます。醸造担当の方に案内してもらったのですが、高品質のワインを作るため葡萄の選定から厳しく行い、一粒でも質の悪い葡萄は房ごと使わないといったこだわりなどワインがより一層おいしく感じられるお話をたくさんお聞きできました。

お天気もよくて富士山がきれいに見えるテラスは大盛況

テラスでは看板犬のチャイ君が迎えてくれます

見学の後は、富士山がきれいに見えるカフェテラスでワインの試飲をしました。ちなみに98winesは今年、世界最高のワイナリーを選出するアワード「ワールド ベスト ヴィンヤード」に選ばれたんだそう。ますます人気のスポットになりそうです。

森の中にたたずむおしゃれな建物とこだわりのインテリアが迎えるお部屋にワクワク

ワイナリーからブルワリーまでは坂道を歩いて11分ほど登った場所にあるのですが、宿泊者は車で送ってもらえます。山道をぐんぐん登って行った先には、森に囲まれたようなブルワリーが！ ワイナリーとはまた違ったおしゃれな雰囲気が素敵です。

裏手がホテル「Stay366」の入り口です。客室は3部屋あるものの宿泊は2組限定という贅沢さ。お部屋はそれぞれニューヨークや北欧、ヨーロッパ風とインテリアデザインも凝っています。

宿泊した「朱-AKE-」のお部屋はニューヨークのSOHOをイメージしたインテリア

窓からは醸造所がのぞけます

見学だけした隣の「玄 - GEN -」のお部屋は２面の窓から森の木々が見えてシックな雰囲気

今回は一番人気の「朱-AKE-」に宿泊しました。室内はニューヨークをイメージしたヴィンテージ感がありながらスタイリッシュな雰囲気。窓からは外の森の青葉がまるで絵画のように美しく見えます。そしてお部屋の1番のポイントは、もう一方の窓から醸造施設が覗けることです。この日は祝日のため醸造作業はされてませんでしたが、ピカピカに輝くビアタンクを見ていると早くビールが飲みたくなってきます。

こだわりのビールを好きなだけ堪能！

素敵なお部屋にうっとりしながらも、荷物を置いたら1階の「TAP ROOM」へまっしぐら。チェックインからディナーまでの間98BEERsのビールを好きなだけいただけるんです。最高すぎる！

まずはTAPバーでは常時6種類のビールがありブルワー（ビール醸造家）の宮嵜さんから説明を受けながら試飲していきます。「98BEERs」で提供するビールは、最近のクラフトビールで主流のIPA（インディア・ペール・エール）※1ではなく、華やかな香りと厚みのある味わいのベルジャンスタイル。食事に合うビールをテーマに作られているので飲み疲れなく、すっきりとした飲み口です。

※1 ：ホップの香りが強く苦味がある味わいのこと

お気に入りを見つけたら、富士山が見えるテラスに移動してゆったり。爽やかな風を感じながら目の前の景色に癒される至福の時間が味わえます。

和洋のアレンジの効いた蕎麦懐石と最高なワインペアリング

夕食は18:00から、TAPバーの隣のラウンジでいただきます。蕎麦職人でもある料理長が作る蕎麦会席と一品一品料理に合わせたワインペアリングを楽しみました。出されるお料理は、和食にイタリアンやフレンチのアレンジがきいてどれも絶品。合わせるワインも「バックヴィンテージ（長期熟成）」などの希少で、普通では入手困難なものがいただけるのは、さすがワイナリー直営です。

ミル貝と干し柿の料理にはロゼワインを合わせて

鰻と奈良漬、マスカルポーネの蕎麦粉のガレットにはトリュフものった贅沢な一品

まるでパスタのようなトマトソース仕立ての十割蕎麦

こだわりの蕎麦は冷たいものは“十割”、温かいものは“二八”と使い分けられていて、出汁のきいたものからトマトソースを使ったパスタのようなものまで様々。十割蕎麦というと太くて短い田舎蕎麦のイメージがありましたが、こちらのは繊細に細くツルッとしたのどごしで驚きました。ほかにも蕎麦粉のガレットや蕎麦寿司といった蕎麦を使った料理も楽しめます。蕎麦粉のガレットはオーナーも絶賛の一品で、鰻に奈良漬、マスカルポーネと和洋のバランスが絶妙で、赤ワインと一緒にいただくともう絶品。

98winesのワインは食事と合わせることで楽しさ、嬉しさ、おいしさがより膨らむという考えで作られていて、そのワインの魅力を存分に知っている料理長の料理とのペアリングはまさに最高のマリアージュでした。このディナーをいただけただけでもここに来た価値があったというもの。ちなみに、気に入ったワインはその場での購入も可能。大好きな芒（のぎ）のロゼをボトルでいただいてお部屋でもたっぷり楽しみました。

朝から4種の蕎麦を堪能する絶品朝食

鳥の声で目を覚ますと、窓の外には朝の光に照らされた森の景色が広がっています。朝の空気も爽やかで思わず散歩をしたくなりました。

目覚めの体に優しい蕎麦粥からはじまる朝ごはん

朝食も様々な蕎麦をいただきました

目覚めの体に染み渡る蕎麦粥からはじまり、温かい海苔の蕎麦、新鮮な野菜の乗ったサラダ仕立てなど朝食も蕎麦づくし。朝から蕎麦4種と聞いたときは、食べ切れるか不安になりましたが、それぞれが小ぶりのお椀で、のどごしがよく、ペロリと食べきってしまいました。

日常の先にある特別な1日、大人だけが楽しめる休日がここにある

あっという間にチェックアウトの時間がやってきました。短い時間でしたが山の中の自然とこだわりの空間、おいしい食事とお酒で大満足。1泊2名で10万円近くとお安くはないのですが、ビールやワインペアリング付きの食事が含まれているのでお酒好きにとってはむしろお得すぎる内容です。また、ゲストは私たち以外にも一組いるはずなのですが、動線が完全に分かれていて、顔を合わせることがほとんどありませんでした。細かい心配りが随所に施されているところも感動ものです。

帰りにワイナリーによると、ちょうどオーナーの平山さんがいらっしゃいました。料理とペアリングが絶品だったと伝えたらとても喜んでいらしたのが印象的です。そして、ホテルはまだまだ完成していないそう。次訪れる際、どんなふうに変わっているのかも楽しみです。日常の先の特別な1日をイメージして名付けられたSTAY366。記念日にはもちろん、日常から離れてリフレッシュにも訪れたくなる素敵なホテルでした。

STAY366
住所：山梨県甲州市塩山福生里462-1
電話：0553-32-6603
料金：1泊2食付40,500円〜
時間：チェックイン 15:00（最終チェックイン 18:00）チェックアウト 11:00
アクセス：中央自動車道勝沼ICから約15分、JR塩山駅からタクシーで約10分