“旅ができるのはそこに住む人たちの不断の努力があってこそ” これからの旅先の候補にしたい、富山県の知られざる魅力
こんにちは。旅色LIKESライターの&ヨシカです。10月上旬に1泊2日で富山市八尾(やつお)町、射水(いみず)市、魚津(うおづ)市、黒部(くろべ)市を巡るツアーに参加してきました。このツアーは富山県が主催だったため、県の職員さんが同行してくれたほか、それぞれの地区でガイドの方がいたため、2日間と短い時間でそれぞれの町の魅力や最新情報を知ることができました。各エリアで特に印象に残った場所や体験について紹介するほか、観光地に住んでいる地元の人からの貴重な意見についても触れたいと思います。
目次
地元民から有力情報! いま富山でバズっているもの
道中は県の職員さんが車窓から見える景色や、富山の食についていろいろと教えてくれました。たとえば、富山市内にある「富山ガラス工房」で制作体験ができる“目にもおいしいガラスのお寿司”がバズっていて予約が殺到していること、北陸自動車道の真上を飛行機が通るため「航空機通過わき見注意」の看板があること、秋になるとアユの塩焼きが食べ放題になるお店があること……など。ほかにも、今まで知らなかった情報がたくさん出てきて、これから始まる旅の期待値が高まります。
二つの祭りと美しい町並みが旅情を感じさせる「八尾町」
富山駅から車で約40分。八尾町は毎年9月1日から3日にかけて行われる伝統的な民謡行事「おわら風の盆」で有名な町です。地元出身で、物心着いた頃から踊りの練習をしていたという越中八尾観光協会の楠さんが案内してくれました。最初に見学したのは「おわら風の盆」の唄、踊り、衣装、楽器に関する詳細な情報を得ることができる「八尾おわら資料館」。祭りの3日間は夕方から町中のぼんぼりに淡い灯がともり、揃いの法被(はっぴ)や浴衣姿に編み笠を目深に被った踊り手が、胡弓(※1)や三味線の哀調ある音色で奏でられる「越中おわら節」の唄に合わせて夜通し町を流し歩きます。それぞれの支部で踊りの手さばきや浴衣の色柄、唄の歌詞が違うので、それぞれの町を見比べるのもおすすめだそう。
※1 胡弓(こきゅう):三味線を小型にしたような形で、弦は3~4本。 弓が弦に当たるように、楽器本体の角度を変えながら演奏する。
◆八尾おわら資料館
住所:富山県富山市八尾町東町2105-1
電話番号:076-455-1780
営業時間:9:00~17:00 ※最終入館16:30
休館日:12月29日~1月3日
入館料:一般(高校生以上)210円
「おわら風の盆」の概要を学んだ後、踊り手が流し歩く八尾の町並みを歩いてみると、「日本の道100選」に選ばれた諏訪町本通りが見えてきます。諏訪町は、八尾町の旧町と呼ばれる地区の一つで、白壁と格子戸、そして道には石畳がしかれており、電柱を全て家の裏側に配置するという景観を守るための工夫がされています。緩やかな坂道になっているので、踊り子が遠くまで連なる様子が見えるのだそう。通り沿いには風情あるお豆腐屋さんやカフェ、地元で愛されるもつ鍋が絶品の食事処「楠亭」などもあるので、祭りの時期をはずして美しい町並み散策を楽しむのも良さそうです。
八尾町では「おわら風の盆」だけでなく、毎年5月3日に「越中八尾曳山祭(えっちゅうやつおひきやままつり)」が行われます。八尾おわら資料館から徒歩約10分の場所にある「八尾曳山展示館」では、当日に曳き回される絢爛豪華な曳山(※2)が見られます。これらの曳山は富山県の文化財にも指定されており、彫刻、彫金、漆工、金箔などの美術工芸の技術が結集されています。また、館内には八尾町の基幹産業であった養蚕に関する展示も充実しており、色々な視点から八尾町の魅力を知れます。二つの大きな祭りと美しい景観を守ってきた八尾町のことをもっと深く知りたいので、次回は祭りの時期にも来てみたいです。
※2 曳山:飾り物を据えた山車(だし)。
◆八尾曳山展示館
住所:富山県富山市八尾町上新町2898-1
電話番号:076-454-5138
開館時間:9:00〜17:00 ※最終入館16:30
休館日: 12月29日~1月3日
入館料:大人500円、小人(高校生以下)300円
昼と夜で表情が違う!? “日本のベニス”がある「射水市」
八尾町から北に車で約40分の射水市新湊地区を流れる内川は、両岸に漁船が連なっている様子が見られるため“日本のベニス”として有名な場所です。昼間に川沿いを散歩してみると、いくつもの個性的な橋が見えてきます。内川には12の橋があり、その一部には地元のアーティストが作ったステンドグラスやオブジェが装飾され、それぞれの橋から見る風景も違うため、じっくり見比べるのがおすすめ。ほかにも古民家を改修したカフェや宿もあるので、散策するだけでなく店内でゆったり過ごすのも良さそう。
昼間とは違った表情を見るべく、ナイトクルーズへ。川の中央付近にある「川の駅新湊」から富山湾に出て、富山のシンボル・帆船海王丸を見て戻ってくる約1時間のクルーズです。船の中からだと目線の高さが水面に近く、内川にかかる12の橋を下から見られるのも面白いです。また、日が落ちてすぐの時間帯の真っ赤な空、漆黒の海と空に浮かび上がる新湊大橋と海王丸を思う存分楽しめます。この内川のあたりは公共交通機関だと富山駅からバスで約50分だそうですが、近くに走る万葉線にはドラえもんトラムが走っているので高岡駅から電車旅も楽しそうです。
◆新湊内川観光船 ナイトクルーズ
集合場所:富山県射水市立町1-26 ※最終受付:出発の15分前
電話番号:050-3775-4727
開催期間:11月1日~11月30日の金・日・祝日、12月1日~12月22日の土・日曜日
出航時間:①16:00発、②17:30発
料金:大人(中学生以上)4,000円、小人2,000円
※上記期間以降の開催については公式HPを要確認
▽万葉線については富山県高岡市出身のLIKESメンバー・にゃおさんの記事をチェックしてみてください。
“日本一美しい円筒分水槽(えんとうぶんすいそう)”と“幻のりんご”に出会える「魚津市」
富山県内でも私が大好きな場所・魚津市には“日本一美しい円筒分水槽”と“幻のりんご”があります。
魚津駅から車で約15分の場所にある「東山円筒分水槽」は、東山地区の天神野用水・青柳用水・東山用水の三つの用水に公平に水を分配するためにできたものです。円筒から溢れる水の落差がほかと比べても大きいのが珍しく、いま注目の観光スポットです。私も何度も訪問しており、公共交通機関の場合は魚津駅から魚津市民バスやレンタル電動自転車でアクセス可能です。近くに流れる片貝(かたかい)川も美しいので、併せて見て行ってほしいです。
◆東山円筒分水槽
住所:富山県魚津市東山
「加積(かづみ)りんご」と呼ばれるりんごは、魚津市加積地区で生産されています。このエリアはりんごの生産地としては比較的南に位置しており、限界まで完熟を待って収穫されるため糖度が高いりんごができるそうです。年間生産量が決められているため、ほとんどのりんごが農家さんの庭先で販売されます。ここに来ないと食べられない、まさに幻のりんごなのです! 今回は「富居俊成りんご園」に伺い、加積りんごの試食もさせていただきました。シャキシャキした生のりんごが苦手な私も、酸味と甘みのバランスと歯ざわりの良い加積りんごをおいしくいただきました! 近年の猛暑や作り手の不足が課題で、美味しいりんごを守るため農家のみなさんが努力されています。加積りんごは11月中旬~12月中旬が旬なので、この時期に訪れる方は是非直売所へ行ってみてください。
◆富居俊成りんご園
住所:富山県魚津市吉島480
電話番号:0765-22-2068
「黒部市」の観光名所・黒部峡谷トロッコ電車の“期間限定”終着駅
富山県の東端にある黒部市には、県内有数の観光名所「黒部峡谷トロッコ電車」があります。しかし、2024(令和6)年1月に起きた能登半島地震の被害を受け、現在は宇奈月駅から終点の欅平駅までではなく、猫又駅までの運転となっています。窓が大きく開いたトロッコで風を感じながら美しい景色を眺めているとあっという間に猫又駅に到着します。途中の見どころは富山県出身で俳優の室井 滋さんの案内放送でチェックしましょう。
宇奈月駅を出て約50分で猫又駅に到着すると、発見がありました。もともと発電所で仕事をする人のための駅で観光客は降りることができなかった猫又駅が、期間限定の観光トロッコの終点として生まれ変わっていたんです。「猫」のつく唯一の駅ということで、地名の由来である「猫に追われたネズミが登れなかった『ねずみ返しの岩壁』を追ってきた猫もまた登れなかった」という話にちなんだ面白い仕掛け(撮影スポット)がインパクト大! 猫好きにはたまりませんね。ほかにも、渓谷を眺められる展望スポットやお手洗い、ベンチも用意されており、約20分の停車時間をゆっくり楽しめます。トロッコ電車は冬季は運転しないため、今年の運行は11月30日(土)まで。「今しか降りられない駅」を楽しみたい方は急いでください。
◆黒部峡谷トロッコ電車
住所:富山県黒部市黒部峡谷口11
電話番号:0765-62-1011
運行時間:宇奈月始発8:17~終発15:19 ※時期により運行区間、運行時間の変更有
休業日:12月~4月中旬 ※積雪量により変更有
料金:大人2,820円、小学生1,420円 ※宇奈月駅~猫又駅 往復、客車により変動有
終わりに
旅の最後に、各地区をガイドしてくださった方々とツアー参加者で今回巡ったスポットについて意見交換をしました。どの地域も魅力的でたくさんの人におすすめしたい気持ちは変わらないのですが、観光資源やそこに住む人の生活を守るために地域の方々が不断の努力をされていることを知り、旅先にも人々の“日常”があるのだと痛感しました。八尾町の祭りや魚津市のりんご生産は後継者不足、内川では川の安全性、黒部のトロッコでは自然災害など、不安要素があるものの観光地を守る方々のさまざまなアイデアで今の観光資源が守られているのです。今回巡った各地の素晴らしさをこれからも皆さんに発信したい気持ちとともに、各地で迎えてくださる地元の方への感謝の気持ちを頭の片隅に置いておきたいです。















