心がほどける村時間~京都・南山城村で出会ったプライスレスな旅~
京都府にある唯一の村、南山城村。パッチワークのように茶畑が繋がる絶景が広がり、思わず深呼吸したくなる場所です。ここの村の仕掛け人である「道の駅 お茶の京都 みなみやましろ村」の社長・森本さんのガイドのもと、住民から村の山菜を使った食事や和紅茶づくり、新聞バッグづくりなどを教わってきました。フェアフィールド・バイ・マリオット・京都みなみやましろを家(拠点)として、南山城村民になった、そんな日常に近い旅の経験を旅色LIKESライター・じゅんがお届けします。
目次
道の駅は「村の日常」と「旅の楽しみ」が交差する場所
村の特産品でもあるお茶には、それぞれに生産者の顔写真が載っている。おすすめの飲み方など想いを込めたメッセージ付き。
南山城村は知る人ぞ知る高級茶・宇治茶の主産地。この村の拠点となっているのは「道の駅 お茶の京都 みなみやましろ村」。南山城村産の茶葉だけを贅沢に使った「むら茶」を使った商品や地元野菜、お弁当などがずらりと並び、村の魅力がギュッと詰まった場所です。なかでも「むら茶」をふんだんに使用した濃厚な「抹茶ソフトクリーム」は1日約1,400本も売れるほどの人気商品。
道の駅は村の人たちと訪れた人を繋ぐ情報発信基地。そんな道の駅の社長・森本さんは、村の魅力を知り尽くした村案内のエキスパートです。今回は森本さんのエスコートで、出会いのきっかけをつくっていただきました。
◆道の駅 お茶の京都 みなみやましろ村
住所:京都府相楽郡南山城村北大河原殿田102
電話:0743-93-1392
営業時間:9:00~18:00
定休日:6月第3水曜日、12月第2水曜日
360度自然に囲まれた古民家で、昔ながらの料理を味わう食文化体験
最初に向かったのは築130年の古民家で暮らす仲西家。縁側のある広間に、テーブルいっぱいに並んだ豪華なランチで私たちを迎えてくれました。仲西さんは村の食材を使用した料理で海外のお客様も受け入れたことのある「おもてなしのプロ」。無農薬の野菜と山菜、お茶も地元で採れた村づくしの料理。「ふきの佃煮と、おこわに入っている椎茸や竹の子は春に採れたものを冷凍しててね」と食文化の知恵も感じられました。
仲西家が7代にわたり暮らしてきた築130年の古民家も魅力の1つ。「前にね、青い壁を塗り替えようと頼んだら、この壁は貝殻を砕き混ぜ込んでいる昔ながらの手法が施されているから残しておいた方がいいって言われて」と古民家には貴重な建築技術が残っていることを教えてくれました。
案内人の森本さんは仲西家では「ごはんを食べに来る人」と呼ばれていて、おばあちゃんは森本さんが大好き。森本さんの顔を見た瞬間に満面の笑みになった姿がとても印象的でした。気づけば、まるで親戚の集まりのような温かい雰囲気に。初めてなのに自然と心が和んでしまう居心地の良さがありました。
村の歴史ある特産品の「お茶」に紅茶という新たな文化を紡ぐ
村の中心に位置する旧田山小学校は、手洗い場や下駄箱が当時のままで残っていて時間が止まったかのよう。ここの教室を使って、和紅茶を製茶する中窪さんを訪ねました。中窪さんは100年以上の歴史がある中窪製茶園の5代目。村の特産品でもあるお茶の伝統を受け継ぎながら4代目からは紅茶栽培にも挑戦。村で紅茶栽培をしている人は3~4人で、緑茶の生産量に対して紅茶は1割にも満たない生産ですが、京都では多い方なのだそう。生産量の少なさから和紅茶がいかに貴重かよくわかります。なかでも中窪さんの紅茶は、専門家が選ぶ「世界に誇れる国産紅茶10選」の3位に選ばれるほど。そんな希少な紅茶がまさか小学校の廃校で製茶されているとは……。
教室には紅茶づくりに必要な機材が並び、製茶の工程である萎凋(いちょう)・揉捻(じゅうねん)・発酵・乾燥が行われています。紅茶を製茶していくそれぞれの過程が重要であることを実際に試飲しながら教えてもらいました。他にも紅茶の茶葉を育てるための環境づくりには何年もかかること、紅茶と緑茶では同じ茶葉でも育て方が違い、味わいも毎年変わることなど紅茶の奥深さにもビックリ。こだわり抜いた紅茶には、まさに村の伝統文化を受け継いでいる逸品で村の自然とお茶づくりへの情熱が込められていました。
地域文化がつまった道の駅と隣接するホテルで、宿泊するからこそ体験できる「朝さんぽ」
今回宿泊したのは道の駅に隣接する「フェアフィールド・バイ・マリオット・京都みなみやましろ」。地域と連携し館内にはレストランを設けず、ゲストは道の駅で地元の食材を購入したり、近くの飲食店を利用したりと、地域の魅力を深く体験できます。
また全国29か所にあるフェアフィールド・バイ・マリオット 道の駅ホテルは、部屋の他に共用スペースが統一のデザインとなっているのも特徴。どこのホテルへ行っても同じ席に座って本を読んだりワーケーションをしたりと、旅をしながらも自分のスタイルも楽しめるのが嬉しいポイントです。
泊まるからこそ味わえる「朝の村時間」。ちょっと早起きをして散歩へ行ってみることに。ホテルから5分ほど歩くと月ケ瀬口駅があります。昼間とは違う澄んだ空気や鳥の鳴き声に、駅までの坂道さえも心地よく感じられます。ローカル列車や駅のベンチでおしゃべりしして電車を待つ村の人たちを見ていると、村の日常に溶け込んだ気分に。何でもない朝なのにちょっと特別に感じます。
豪華な朝食ボックス。食べる場所は部屋でもロビーラウンジでもその日の気分で。
朝食は村の食材が、ぎゅっと詰まった「朝食ボックス」(要事前予約必須)。ふわふわの玉子焼きや茶そばの海苔巻き、器にしたトマトなど味はもちろん、見た目からも楽しめる朝ごはんです。お腹も心もしっかりパワーチャージできました。
◆フェアフィールド・バイ・マリオット・京都みなみやましろ
住所:京都府相楽郡南山城村北大河原殿田105
電話:0743-93-1555
時間:チェックイン15:00~、チェックアウト11:00
日本の文化「折り紙」とリサイクル精神が結びつた新聞バック
新聞バックづくりを教えてくれたのは、大阪より移住されてきた児島さんご夫婦。会場は児島さんのご自宅です。必要な材料は、子どもの時によくつかったでんぷんのりと新聞紙だけと、とってもシンプル。
新聞の右側にでてくるのですが、なかなか選べず……。
体験では「小」のバックに挑戦。小は柄が横向きに出るのでそれをイメージしながら新聞記事を選びます。選ぶ中で「せっかくなので地方紙で作りたい」と突然のワガママにも、柔軟な対応をして下さった児島さん。ご近所さんに声を掛けて違う新聞を持ってきてくれました。残念ながら地方紙はありませんでしたが、その優しい心遣いが何よりも嬉しかったです。
柄となる新聞記事を決め早速、作成をはじめます。必要な道具はハサミ・筆・棒(直径5ミリ)・ビン。折り紙のように新聞を折り込み、筆で薄くのりをつけていきます。作業で折り目つけたり、新聞紙を押さえたりするのに使用するのはビン。道の駅お茶の京都みなみやましろ村で売られる特製「むらちゃプリン」の空き瓶がおすすめなのだそうです。マチの部分も児島さんの説明と手元を見ながら作業していくと、30分もかからずにバックの本体が完成。そして、木の棒にクルクルと新聞紙を巻きつけ棒を抜き取ると、バックの持ち手部分に。持ち手の長さを整えカーブをつくり、のりで本体に貼れば新聞バックの完成です。
ギャラリーには児島さんの作品がズラリと並び、それぞれに個性が施されていて目移りします(笑)。なかでも目を引いたのはガムの包み紙でできたオシャレなモビール。「軽いもんならなんぼでも作れる」という児島さんの言葉から無限の発想力が伝わってきます。綺麗な花の咲く庭では、モノづくりの話、移住をしてきた話をお母さん手作りの梅ジュース飲みながら聞かせてくれました。村人時間を満喫している児島さんからは幸せオーラが溢れててちょっと羨ましかったです。
◆手しごと和み
住所:京都府相楽郡南山城村田山北谷54-1
電話:080-4980-5512
営業時間: 10:00~16:00
定休日:月~金曜日
さいごに
ご当地グルメ・文化体験・クラフト体験を楽しめる施設は全国数多くあります。しかし体験以上に踏み込んで地元の人との深い交流まではなかなかできないものです。お店の看板があるわけでもない一般のご自宅での食事と団らん、忙しいお茶農家さんとの交流、移住をしたからこそわかる村の魅力の話。今回は村の人に案内してもらったからこそ実現した「体験と交流」はとっても貴重な時間でした。観光地目的ではなく「地元の人との交流を楽しむ旅」はその時の会話や体験から生まれる、自分だけのカスタマイズされた旅もいいものだなと思います。一度出会うと帰る場所が増える、そんな村の魅力を誰よりも知る「村びと」に会いに行く旅を、南山城村で経験してみませんか。














