体験レポート

【静岡】“わさびが主役”の絶品料理と濃厚温泉に癒やされる。梅ヶ島温泉郷・大野木荘で育む、夫婦の温かなひととき
旅色編集部旅色編集部

静岡県:梅ヶ島温泉

カップル・夫婦 / 30代 / 訪れた時期:8月

2026/10/05

【静岡】“わさびが主役”の絶品料理と濃厚温泉に癒やされる。梅ヶ島温泉郷・大野木荘で育む、夫婦の温かなひととき

東京から車で約5時間、静かな山あいに佇む梅ヶ島コンヤ温泉「大野木荘」。ここで堪能できるのは強アルカリ性の濃厚な貸切温泉だけではありません。わさびの本場・有東木地域の生わさびが主役となって魚やお肉を引き立てる至高の料理も魅力の隠れ宿です。女将さんのこだわりが詰まったメニューとスタッフのみなさんの温かなおもてなしに心も身体もほぐされる夫婦の1泊2日のリフレッシュ旅をご紹介します。

東京から車で5時間の静岡の秘境へ

新静岡ICから1時間ほど山道やトンネルを抜けていくと、左手にお目当ての宿が見えてきます。あいにくの雨の中車を停めると、車まで女性スタッフの方が傘とタオルを持って駆け寄ってきてくれました。「よくお越しくださいました。大変でしたね」という優しい言葉と細やかな気遣いに、長時間のドライブの緊張が和らぎます。

ロビーには梅ヶ島茶やチャイ、原木シイタケなど地元のお土産が並びます。ほかにもおとなしくて可愛い看板犬のなぎちゃんに癒やされたり、ロビーに置かれたスイス発祥の珍しい打楽器「ハンドパン」に二人で挑戦したり、雨の日でも館内に楽しみがちりばめられています。スタッフの志村さんにお手本を見せてもらいながら夢中で音を鳴らしているうちに、あっという間に時間が過ぎていきました。

家具メーカーが手掛ける部屋で手摘みお茶に癒やされる客室

大野木荘の客室は、「十枚山(じゅうまいざん)」、「岩紗参(いわしゃじん)」、「東峰(ひがしみね)」、「ひのき」、「櫻(さくら)」の5タイプがあります※2026年9月以降リニューアルに伴い4室に。それぞれの名前は近隣の山や草木の名前です。今回宿泊したのは、窓からの山景色が美しい和室タイプの「十枚山」。ドアを開けると畳の清々しい香りがふわっと漂い、ほっと落ち着きます。部屋にはゆったりとしたセミダブルベッドが2つ備え付けられています。

窓際にはひときわ存在感を放つ椅子が2つ並んでいました。これは相模原市にあるオーダーメイド家具メーカーの「BC工房」が手掛けたものです。普段は家具のオーダーメイドを手掛けているそうですが、「十枚山」は家具にとどまらず部屋全体の設計などもプロデュース。部屋にはところどころに和柄が散りばめられ、部屋全体を和モダンな印象にしています。窓に向かって二人で腰掛け、視界いっぱいの緑豊かな山々を眺めながらほっと一息。そんな癒やしの空間にさらなる癒やしを加えてくれたのは、テーブルに用意されていたお茶です。大野木荘では自家茶畑で無農薬栽培し、スタッフ総出で手摘みしたお茶が用意されています。すっきりとした味わいと心地よい苦みが広がるお茶を飲んで深呼吸すると、心がリフレッシュするのを感じました。グルテンフリーのオリジナルお菓子「お茶ボール」とともにティータイムを満喫します。

部屋には館内着が用意されており、チェックイン時に浴衣か作務衣かを選ぶことができました。一緒に用意されていたのは足袋です。フロント近くには「わらじ」が用意されていて、館内で履いて過ごすことができます。履き心地もしっくりとなじみ、歩く床をしっかりと感じる独特な体験でした。驚きだったのは、わらじは古くなって崩れるとそのまま自然に還るということ。とてもエコなものなのだと知ったのもはじめてでした。

武田の将兵も癒やされた名湯。4つの貸切風呂でつるつる肌をゲット

内風呂の鳥の湯は、洗い場が4つついています。

ロビー横の鍵があれば空いている証! 気兼ねなくお風呂の空きを確認しに来れます。

お風呂からロビーに戻る道は竹と滑り止め付きで歩きやすい。両親を連れてきても安心です。

館内には「花・鳥・風・月」のそれぞれの名前がついた4つの貸切風呂があります。1階ロビーにある札付きの鍵を持って開けて入るシステムです。大野木荘が位置するコンヤ温泉は、古くは傷ついた武田の将兵が傷の治療に使用したと伝えられる由緒ある名湯。環境省の国民温泉保養地にも指定されており、宿で使われている源泉「コンヤ2号」は、驚きのpH10.3の強アルカリ性単純硫黄温泉です。お湯はトロッとした湯ざわりで、温度は40度弱と長湯しやすい絶妙な加減。「成分が非常に濃いので、ペットボトルの水を持ち込んで水分補給しながら入ってくださいね」というアドバイス通り、入った瞬間に肌にじんわりと染み込んでいくのが分かります。湯船には湯の花が舞い、源泉掛け流しの湯されているのを目でも実感できます。お湯に浸かりながら、「肌がすごくつるつるする!」とお喋りを楽しむ時間は格別でした。湯上がりは肌がしっとりモチモチになり、身体の巡りが良くなったおかげですーっと体が軽くなる感覚に。まさに心身ともに“整う”温泉です。慢性婦人病や皮膚病にも効果があるそう。

木漏れ日が差し込む花の湯。4つのなかでも一番大きい浴場です。

手を入れるとすぐにわかるトロッと感。朝は湯の花もよく見えます!

朝風呂は露天風呂(外湯)の「風の湯」「月の湯」が利用できます。清々しい朝の空気と風の音を感じながら、冷房で冷えた体をじんわり温めます。「風の湯」はお風呂に着くまでに風鈴の道があり、風鈴の涼やかな音色に導かれて異世界へ引き込まれるような心地がしました。

わさびを食べるための料理!? 本場・有東木の生わさびが彩る至高の夕食

18:00に1階の御食事処へ行くと、ロールカーテンで仕切られた半個室へ案内されます。机にはお鍋と先付が用意されていて、漂う良い香りに思わずお腹がぐーっとなりました。

6gって、こんなにもあるのです!

食事の前にまずは乾杯! ドリンクメニューの中に聞いたことのないメニューを発見し、注文したのは「わさび焼酎」。運ばれてきたのは、焼酎と小皿にこんもりと盛られたわさび。「こんなに使うの!?」と驚いていると、宿の方は「6gほどあります。全部入れてよくかき混ぜてみてください」と笑顔。恐る恐る混ぜて飲むと、ツンとした辛みは全くなく、すっきりとした爽やかな風味が広がります。意外すぎるおいしさに思わず宿の方を見ると、にっこり笑っていました。

すり慣れておらず、苦戦しながらも笑みがこぼれます。

食事のスタートと一緒に運ばれてきたのは、立派な生わさびとおろし器。宿から車で20分ほどの有東木(うとうぎ)地域は、日本におけるわさび栽培発祥の地です。「好きなだけすってお使いください。おいしくするコツは、ガハガハ笑いながらすることですよ」という志村さんのお茶目な教えに従い、ガハガハ笑いながら円を描くようにすっていきます。

「梅ヶ島産駿河軍鶏の生姜葉包み鍋」。食事の説明と豆知識も差し込んでくれる志村さんが、手際よく鍋の準備を進めてくれます。

「梅ヶ島産あまごの塩焼き」にかぶりつきます。外にあるいけすで育てているので川魚特有の臭味はありません。

季節の天ぷらは、サクラエビと茶葉のかき揚げとイチジク。

無農薬緑茶の豆腐は甘さ控えめ、バニラアイスはわさびと合わせてさっぱり、すもものコンポートは酸味があり、デザート1皿でも様々な味覚が味わえます。

運ばれてきた朝3時に静岡の卸売市場から連絡を受けて仕入れたという新鮮なお刺身は、赤富士サーモン、天然マダイ、アマゴ、メバチマグロなど、どれも身が厚く食べ応え抜群です。オリジナルの梅醤油に、すりたてのわさびを贅沢に5gほど投入していただきます。この梅醤油でお刺身を食べたくて、箸を伸ばす手が止まりません。魚ごとに敷かれているツマも大根、みょうが、きゅうりと変わるこだわりに驚きながら、そのツマさえも完食!

「ここへ朝3時に持ってくるお魚は、わさびをおいしく食べていただくために出しているんです。わさびが主役ですから(笑)」。その言葉通り、わさびの爽やかな香りと甘みが魚の旨みを引き立てていました。鍋の湯葉を割るとたっぷりの具材が出てきたり、かき揚げには桜エビのほかにお茶の新芽が入っていたり、イチジクが天ぷらとして出てきたりと、驚きの連続でどんどん箸が進みます。そしてどの料理を食べても「これは、わさびだ!」と、わさびをすっては味わい、またすっては味わいを続けていました。

「このあとのデザートにも使いますよ」と言われる頃には、もうほとんど残っていませんでした。デザートで登場したバニラアイスにもわさびを勧められましたが、ここまで来ると「まさか合うわけない」なんて疑いはすっかり消え、すんなりとわさびをバニラアイスに乗せて口に運んでいました。バニラの濃厚な甘みのあとにわさびの風味が鼻を抜け、さっぱりと味を締める役割を果たしています。わさびの新しい魅力に酔いしれた特別な夜となりました。本わさびに魅了された私たちは、お土産用として購入して帰りました

女将の優しさが詰まったからだが喜ぶ朝食

ご飯を食べるためのおかずがずらり!

湯葉を自分ですくっていただきます!

満腹になるまで食べた翌朝、起きるとお腹がぐ〜っとなったことに驚きました。普段は睡眠を優先して朝ごはんをおざなりにすることが多く、朝にお腹がすいた感覚を味わう機会が減っていたので非常に新鮮な体験でした。これもわさびの効果だそう! 翌朝までに消化を促してくれていました。部屋を出るとすでにお出汁の優しい香りが漂ってきています。

朝食会場のテーブルには、湯葉が作れる小鍋やおかずが並び、席に着くと女将の三和さんが静岡産コシヒカリに黒米を混ぜたモチモチの古代米ごはんを運んできてくれました。

美和女将から直々にアユの上手な食べ方を教わります。不器用な人でもサポート付きできれいに骨抜きできますよ。

旬のアユや、標高150m以上高い「天空ファーム」で採れた大ぶりの原木椎茸、イノシシの焼肉を香ばしく焼き上げていただきます。オーストラリアの南極海のお塩を少しつけてかぶりつくと、椎茸の濃厚な旨味がじゅわっと溢れ出しました。

「自分が体調を崩した経験からも、化学調味料や添加物は使わず、自然のままの旨味を大切にしているんです」と語る美和女将。手作りのぬか漬けやわさび茎の醤油漬け、自家製梅干しなど、どれも一口ごとに身体が喜ぶ優しい味わいです。食後には、自宅の畑で採れた梅を炊飯ジャーで8時間煮詰めた特製の「梅の砂糖煮」と、厳選されたコーヒーをいただきながら女将さんとお喋りを楽しみます。

大野木荘は、美和女将の父の代からスタートしました。3姉妹の長女である美和さんに、楽しんでもらえる仕事を残したかったのだそう。美和さんが受け継いでから団体旅行から個人旅行に変えたり、メニューを考えたり、どんどんとお客様のために大野木荘が変化し続けています。今後は、お茶をメインにしたメニューも考案しているとのことで、また来るときが楽しみになりました。

おわりに

今回の驚きは、わさびが主役になる食事を通して身体が元気になっていく感じを味わえたことです。

志村さんが撮影した大野木荘から見える満点の星空。

夕食時には、スマホ写真講座が開催されていました!

あいにくの雨で楽しみにしていた満天の星空はおあずけとなりましたが、カメラ部だった志村さんが見せてくださった星空の写真がとても見事でした。写真やスマホ撮影のコツも親切に教えていただき、星空を誰でも撮ることができるそう。食事だけでなく、スタッフの皆さんとの距離が近いなかで、宿泊体験ができることも居心地の良さに繋がっていたのだと感じました。志村さんや女将さんの温かいもてなしも含めて、日々の忙しさを忘れさせ、夫婦の絆を深めてくれる宝物のような時間を季節を変えて何度も訪れたくなる、そんな素敵な温泉宿に出会えた旅でした。

 旅色編集部

参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。

記事企画・監修: 旅色編集部

掲載情報の一部の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright MAPPLE, Inc.
Copyright indepth, Inc.
※掲載情報は取材時のものであり、変更が生じている場合がございます。詳細は各施設にご確認下さい。

周辺のスポット情報

近くにある人気のスポットをピックアップ!

旅色IDを作ると
「お気に入り」することが可能になります

旅色ID作成▸

旅色IDをお持ちの方はこちらログイン▸