
2026/10/05
1400年以上の歴史を誇り、信濃・犬養と並び「日本三御湯」と称される名湯・秋保温泉。かつて伊達政宗公が合戦の疲れを癒やす「仙台藩の公式リゾート」として愛したこの地に、東京から約2時間でアクセスできる「界 秋保」があります。海外出張続きで疲れた心を癒やすべく、40代おとな女子が現地へ。政宗公を魅了したおもてなしの心と絶景、美肌の湯に包まれる、至福のヒーリング旅をレポートします。
この記事の目次
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今回の旅の直前まで海外出張があり、刺激に満ちた日々を過ごしていた私が恋しくなったのは、肌を包み込むような日本の温泉と、心からホッとできる静寂でした。東京駅から新幹線とバスを乗り継ぎ、約2時間。疲れた私を迎えてくれたのは、秋保(あきう)温泉の優しい風でした。1400年以上の歴史をもつ秋保温泉。古墳時代に、天皇の皮膚病を治したことから、皇室御用達を意味する「名取の御湯」の称号を授かり、長野県の別所温泉、野沢温泉と並ぶ、日本三御湯のひとつに数えられています。そして、宮城県仙台といえば、伊達政宗公。 秋保温泉は、政宗公が合戦の休息を取るための最高のヒーリングスポットであり、「仙台藩の公式リゾート」として整備されるほど、愛してやまない温泉だったようです。 今回、「界 秋保」にお邪魔し、伊達政宗公が「どうして秋保温泉を愛したのか」を探ります。

エントランスの松笠風鈴の音色に歓迎されながら先を進むと、思わず「うわーっ」と声が出てしまう、窓一面の名取川の渓流の絶景が広がります。
ロビーの至るところにある伝統工芸が、訪れる人の目を楽しませてくれます。 私のお気に入りは、秋保の「海馬ガラス工房」で作られているガラスのこけし。こけしは東北地方の湯治文化のひとつで、湯治場を訪れる旅人がお土産として木を削って作ったのが始まりなのだそう。「界 秋保」では、宮城県だけでなく東北地域の伝統文化を楽しめるような工夫が散りばめられています。
お部屋に入る前に、せせらきラウンジへ。ここでは仙台銘菓とドリンクを自由に楽しむことができ、外には自家源泉の足湯があるなど、ゲストが思い思いに過ごせるスペース。ゆったりとした時間が流れていきます。秋保温泉名物の「さいちのおはぎ」のあんとコラボした、アーリーチェックイン限定のかき氷をいただきます。仙台ガラスの器に盛りつけられ、渓流を望みながら涼をいただく、おとな女子らしい優雅で贅沢な時間です。日々の疲れや暑さを忘れ、心からのリラックスを楽しみます。
「うわーっ」と、ロビーに続く第2声。 紺碧色の客室に、まばゆいばかりの緑が飛び込んできます。紺碧の壁が額縁のように見え、一枚の絵のように切り取られた圧巻の景色です。お部屋には、ゆったりとしたソファー、小さな窓には木製のカウンター、そして壁には仙台ガラス。美しい色合いと透明感、木のぬくもりが調和する空間です。一段高いスペースにあるベッドは肌ざわりが優しく、まるでふわふわの雲の上に寝ているような寝心地。アメニティの“蒸し生姜湯”のおかげで、あっという間に夢の中に落ちてしまうほどでした。
温泉に入る前に、湯上り処で行われる無料のアクティビティ・温泉文化いろは「自家源泉に触れる粋なおもてなし」に参加しました。秋保温泉の歴史や入浴法を、温泉の管理人である湯守りのスタッフから直々にレクチャーしてもらいます。秋保の湯は、皮膚病の改善や肌の乾燥を防ぐ効能が高いとされる泉質(ナトリウム・カルシウム-塩化物泉)です。女性にとってうれしい「メタケイ酸」が100mg以上も含まれていて、一般的な「美人の湯」といわれる基準値の倍以上とのこと。つるつるの、つや肌になるのも納得です。先週の海外出張でカサカサになった私の肌も、一夜で生まれ変わりました。政宗公が合戦の合間に頻繁に通っていたという史実もうなずけます。
●温泉文化いろは「自家源泉に触れる粋なおもてなし」
開催時間:16:15
所要時間:約15分
「温泉文化いろは」の後は、いよいよ入浴へ。「界 秋保」には、自家源泉の「あつ湯」と「ぬる湯」の2種類の浴槽、露天風呂があります。まずは「ぬる湯」でじっくり身体を温め、そのあと「あつ湯」に入ることを繰り返すのがおすすめとのこと。のぼせを防ぎながら身体の芯まで温まることができます。夏場の「ぬる湯」は人の体温と同じ35-36℃前後に調整された不感温泉になっており、長くゆったりと浸かることができました。露天風呂では、大自然を感じながらのんびりと湯浴みを満喫できます。

夕食は、海と山の幸を堪能できる会席コースです。宮城県は、日本酒の名産地でもあります。政宗公が上方から最先端の酒造技術を取り入れて「御用酒蔵」を創設したことから、この地の日本酒造りが始まったそう。豊かな自然が育んだ水と米を生かした日本酒はキレが良く、食事のおいしさを一層引き立ててくれます。
食事は先付けから甘味まで、五感を刺激する逸品づくし。先付けは、仙台味噌が練りこまれたリエットを仙台麩につけていただきます。煮物は、蓋を開けた途端に鰻の香ばしい香りに包まれ、梅肉が食欲をそそる一品。そしてメインの「山海宝づくし鍋」は、アワビにフカヒレ、ウニといった海の幸に、茸やセリ、牛肉が合わさった贅沢の極み。多彩な食材が入っていながらも味がまとまっており、海と山のマリアージュを楽しめます。デザートの「ずんだカタラーナ」は、アイスクリームとプリンの中間のような濃厚な口当たりに、パリパリのキャラメリゼに、ずんだの風味が絶妙にマッチ。本当においしいお食事とベストなタイミングでの配膳に、心からおもてなしの心を感じました。
夕食後は「宵月サロン」が開催され、篠笛の生演奏と美酒に酔いしれます。 今回はロビー上階のバルコニーエリア「月待席」で、「宵の晩酌セット」とともにプライベートな時間を過ごしました。カキのオイル漬けのカナッペ、笹かまぼこのブルスケッタ、牛タン生ハムなど、お酒が進む品ばかり。シャンパンに加え、ニッカウヰスキー宮城峡蒸留所のアップルワインはまろやかな甘さと深い余韻があり、新たなお気に入りとなりました。優雅な笛の音を聞きながら過ごす、至福のひとときです。
●宵月サロン
開催時間:20:30~21:30
※生演奏は21:00~
星野リゾートのなかでも温泉旅館ブランドである「界」では、地域の魅力を満喫できる「ご当地楽」が開催されています。「界 秋保」では、「伊達な宴」と称し、当時の酒席の場を追体験できるアクティビティに参加できます。政宗公は大のお酒好きでありながら、「酔うための酒」ではなく、人間関係や精神性を高めるための「高潔な儀式」として美学を持ってたしなんでいたそうです。もてなしに徹底的に気を配り、自らふるまうお酒や肴のチョイス、食べ頃まで細かく指示を出していたという逸話もあるほどです。「伊達な宴」ではお酒の心得やいただき方を学び、お隣同士になった参加者と当時の作法で乾杯をします。はじめは緊張していた参加者同士もすっかり打ち解け、政宗公の美学とおもてなしの心に触れる素晴らしい体験となりました。
●ご当地楽「伊達な宴」
開催時間:15:30~20:30の間に7回開催
所要時間:約30分
※当日フロントで要予約
地域色あふれるご当地朝食も界ブランドの特徴のひとつ。お膳の中でひときわ目を引いたのが、熱々で提供される肉厚な三角揚げです。一口かじれば外はサクッと香ばしく、中はふっくら。じんわり広がる大豆の甘みに、思わず顔がほころびます。政宗公も愛したという具沢山の「芋煮」とともに、宮城の豊かな食文化が寝起きの身体に優しく染み渡ります。
今回「界 秋保」に初めて宿泊し、一番心に残ったのは、宿全体に息づく温かな「おもてなしの心」です。すれ違うゲストも皆一様に笑顔で、それぞれに滞在を満喫されていることが伝わってきました。ひとり旅でも心地よく楽しめるアクティビティ、至る所にある伝統工芸、いつでも整えられた共用スペース。「なぜ、伊達政宗公がこれほど秋保温泉を愛したのか?」その答えは、美しい景観や泉質だけでなく、そこに息づく人々のおもてなしの心が、政宗公の心を深く癒したからではないかと私は感じます。そんな政宗公のおもてなしを受け継ぐ「界 秋保」。日々の生活に疲れたとき、また必ず訪れたいお気に入りの場所になりました。
界 秋保
参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。
記事企画・監修: 旅色編集部
ライター:たんぽ