【関東】本当に涼しい避暑地14選 夏の観光におすすめの涼しい場所を厳選
2024/06/27
2024/10/30
栃木県日光市にある日光東照宮は、世界遺産にも登録されている人気観光スポットです。そのほぼ中央に位置する陽明門には、霊獣や花鳥、仙人賢人、子供たちなど500点以上もの彫刻が施されていて、見る人を圧倒させます。彫刻には一つ一つ意味があり、中国の故事や逸話のほか、徳川家康の平和に対する遺訓も込められています。平成の大改修によって輝きを取り戻した日光東照宮の陽明門。その歴史や見どころ、残された謎などについてご紹介しましょう。
この記事の目次
目次を開く ▼
【秋の服装】気温差もへっちゃら!おしゃれで快適な秋の旅行コーデをテイスト別に紹介
世界遺産・日光東照宮のシンボル的存在である陽明門。2017年に平成の大修理が行われ、建設当時の豪華絢爛な姿に生まれ変わりました。陽明門には霊獣や中国の故事に由来する彫刻が刻まれ、多くの人を魅了しています。
今回はその日光東照宮・陽明門の歴史や由来、魅力などについてご紹介します。なお、こちらの情報は2023年12月時点のものです。訪れる前に公式HPなどで最新情報を確認することをおすすめします。
日光東照宮の歴史は、1617年に2代将軍徳川秀忠公が 家康公を祀る霊廟 を建てたことに始まります。現在の社殿群の多くは3代将軍家光公が全国から名工を集めて建て替えたもので、色鮮やかな彫刻が施され、豪華絢爛な姿を見せています。
日光東照宮の広い境内には55棟の建築物があり、そのうち 国宝は8棟、重要文化財は34棟 あります。1999年には「日光の社寺」として世界遺産に登録されました。
日光東照宮には陽明門や五重塔などの歴史的建造物、「眠り猫」「三猿」「想像の像」などの有名な彫刻、霊廟など多くの見どころがあり、世界中から観光客が集まります。
陽明門は日光東照宮のほぼ中央にあり、荘厳な姿を見せています。建設当時の最高の技術が集約されており、国宝にも指定されています。ここからは日光東照宮・陽明門の歴史や特徴、名前の由来などについてご紹介していきましょう。
日光東照宮の陽明門は間口約7m、奥行き約4m、高さ約11mある荘厳な門です。 1辺約10cmの金箔が24万枚 も貼られており、金と白のコントラストが美しいことでも有名です。
また日光東照宮の陽明門には中国の故事に由来する聖人賢人、龍や鳳凰などの霊獣、遊んでいる子供など 508体の精密な彫刻 が施されています。彫刻にはそれぞれ意味があり、平和への願いが込められているとされています。
次に日光東照宮の陽明門の歴史についてご紹介していきましょう。陽明門の歴史は、 家康の遺言により秀忠公の発願で造営された ことに始まります。徳川家に仕えた 僧侶・南光坊天海 が指揮を取り、1617年に完成しました。
当初は小さな門でしたが、 家康21回忌にあたる1936年に家光公が大改修 を行いました。担当したのは江戸城を手掛けた 名棟梁・甲良豊後守宗廣と天才絵師・狩野探幽 で、陽明門は豪華絢爛な門へと生まれ変わりました。
日光東照宮の陽明門の名前の由来は、京都御所にあります。京都御所には12の門があり、そのうちの一つである東の門「陽明門」から名前を頂きました。これには 「京都御所の東の鎮守」 という意味が込められています。
日光東照宮・陽明門の別名のうち最も知られているのが 「日暮し門」 で、これはあまりの豪華さに「日が暮れるまで見ていても飽きない」と家光公が語ったことに由来します。また陽明門には後水尾天皇の勅額が掲げられていることから、 「勅額門」 という別名で呼ばれることもあります。
日光東照宮の陽明門は歴史が古く、ほかの楼門には見られない多くの謎が残されています。ここでは、その中からよく知られた3つの謎をお伝えしましょう。日光東照宮を訪れたら、謎を考えながら見どころを回るのもおすすめです。
日光東照宮の陽明門には、模様が逆さまの 「逆さ柱」 や目のない 「目貫きの龍」 の彫刻などがあります。これは 「建物は完成と同時に崩壊が始まる」 という考えに基づき、あえて完成させず未完成にしているからだとされています。
家康は自分の遺体を駿河の久能山に埋葬し、一年後に日光山に小堂を建て分霊を祀るように遺言に残しました。日光山を選んだ理由は諸説あり、一つは 日光山が富士山と久能山を結ぶ直線上にある ためという説です。また江戸から見て日光山が 北極星(北辰)の位置にある ためという説もあります。
日光東照宮の陽明門の左右の柱には、門の守護神である随身像が安置されています。1635年頃に作られたもので、 2体の像の膝や足元には家紋のような模様 が見られます。織田信長や明智光秀の家紋のようにも見えることから髄身像が誰なのか注目されていますが、はっきりしたことはわかっていません。
日光東照宮には5000点を超す彫刻があり、その1割にあたる508点が陽明門に施されています。日光東照宮の彫刻は霊獣、花鳥、植物、動物など多岐にわたりますが、 人物の彫刻は陽明門と唐門 にしかありません。さまざまな彫刻があるので、ぜひチェックしてください。
日光東照宮の陽明門には、麒麟(きりん)・龍・唐獅子(からじし)などの 霊獣 、中国の故事を表したもの、遊びを楽しむ子供たちの姿などが活き活きと描かれています。陽明門には人物の彫刻が156体あり、 家康公の考えが表現されている といわれています。
古代中国において 霊獣は不思議な力を持つ吉兆の動物 とされてきました。特に龍・麒麟・鳳凰・霊亀を「四霊獣」と呼び、平和な時代のみ現れるとされています。日光東照宮には古代中国の霊獣を象った彫刻がたくさんあります。
麒麟は日光東照宮の陽明門の中で最も高い位置にある霊獣で、古代中国では 獣類の長 とされています。殺生を嫌い、穏やかで優しい性格の持ち主です。普段は姿を見せず、王が現れると姿を見せます。日光東照宮・陽明門の麒麟は、身体は鹿に似ており、頭部に角が1本あります。
古代中国では龍は 神の使いで神聖な動物 とされ、また王権のシンボルと見なされています。そのため日光東照宮の陽明門には多くの龍の彫刻が飾られています。日光東照宮・陽明門の中央には目が彫られていない「目貫きの龍」がいるので、探してみてください。
陽明門の屋根の下には、 龍の頭に似た彫刻 が2つ並んでいます。顔には髭がなく、ブタのような鼻孔があり、襟足の毛がカールしているのが特徴です。この霊獣は息(そく、またはいき)と呼ばれており、鰐(ワニ)が原型とも言われています。
日光東照宮の陽明門の上部には、牡丹の花とともに彩色豊かな鳳凰(ほうおう)の彫刻があります。古代中国で鳥類の長とされる霊獣で、 平和な時にのみ姿を現す吉兆の鳥 とされています。体はクジャクに似ており、5色に輝く長い尾を持っているのが特徴です。
唐獅子は古代中国に伝わる 聖域を守る霊獣 で、ライオンがモチーフとされています。日光東照宮には76頭の唐獅子の彫刻があり、そのほとんどが陽明門にあります。鼻の先が広がっており、爪と目が金色をしているのが特徴です。
龍馬は陽明門でしか見ることができない霊獣の彫刻で、勅額の両側に8頭います。全身が鱗で覆われ龍の姿をしていますが、顔には龍のような太い髭がなく、足には馬のようなひづめがあります。体は白く、目や歯、ひづめは金色に輝いているのが特徴です。
日光東照宮の陽明門には、中国の文化や道徳を表現した彫刻がたくさんあり、たいへん見ごたえがあります。これは家康公が中国の道徳や思想を好んだからともいわれています。ここからは、数多い彫刻の中からおすすめの彫刻を数点、ご紹介していきましょう。
陽明門の高欄と呼ばれる黒い手すりに、鬼ごっこや竹馬などで遊んでいる子供たちの彫刻があります。これは「千人唐子の知恵遊び」と呼ばれる彫刻で、 子供たちがのびのびと遊べる平和な世が続くことを祈願 しているといわれています。
日光東照宮・陽明門正面の下層には聖人・賢人の彫刻があり、そのうちの4つは琴棋書画(きんきしょが)を表現しています。琴棋書画とは 理想とする君子 を意味し、古代中国では 琴・囲碁。書道・絵画 という4つの見識を備えていることが望ましいとされています。
陽明門正面の下層にある7つの人物彫刻のうち、残りの3つは 周公聴訴という故事 を表しています。 周公は古代中国の周王朝を創始した武王の弟にあたる人物です。人格者で、洗髪中でも人が訪ねてくれば話を聞いたといわれています。
日光東照宮・陽明門の背面には仙人の彫刻が7体あります。中国の故事を表現したもので、 鯉に乗る琴高仙人、龍に乗る黄仁覧、剣の上に乗る鐘離権 などの彫刻があります。そのほかにも東側の側面には「四睡図と虎」、西側の側面には孔子、釈迦、老子が描かれた「「三聖吸酸図」などがあるので、ぜひ探してみてください。
日光東照宮の陽明門を支える柱は全部で12本ありますが、そのうち 1本だけ柱のグリ紋が上下逆 のものがあり、「逆さ柱」や「魔除けの逆さ柱」と呼ばれています。逆さ柱は陽明門の裏側を回ると見つけることができるので、確認してください。
「建築物は完成と同時に崩壊が始まる」といわれており、あえて柱を逆さまにし未完成にすることで「崩壊しない」という意味を込めています。日光東照宮の境内には、 本殿や拝殿にも同じように逆さ柱が存在 するので、探してみるといいでしょう。
日光東照宮の陽明門には正面や背面、柱などにすばらしい彫刻がたくさんあり、多くの人に注目されていますが、天井画も見ごたえがあります。陽明門をくぐる時にはぜひ上を見上げ、 天井に描かれた龍の絵 も忘れずに鑑賞してください。
陽明門の通路には2面に龍の天井画が描かれており、 北側の「昇り龍」と南側の「降り龍」 が対を成しています。別名は、昇り龍が「八方睨みの龍」、降り龍が「四方睨みの龍」です。 狩野探幽の作と伝えられ国宝 に指定されていますが、損傷が激しいことから昭和の大修理の際に外され、複製画がはめ込まれています。
日光東照宮は全体がパワースポットとなっていて強力なパワーを感じることができます。その中で最強のパワースポットと言われているのが、陽明門の前にある鳥居下の石畳です。 1枚だけ強いエネルギーを感じる石畳 があるので、ぜひチェックしてください。
日光東照宮・陽明門の前にある鳥居下の石畳はテレビ番組でも紹介された、人気パワースポットです。境内に向かって左から3つ、陽明門に向かって2つ石畳を進んだところにある1枚の石畳で、ちょうど エネルギーの通り道 にあたるといわれています。
東西回廊は 陽明門の左右に広がる比翼型の回廊 です。本堂を取り囲むようにコの字型に作られており、陽明門と同じようにさまざまな彫刻で埋め尽くされています。 国宝 に指定されており、たいへん見ごたえがあります。じっくりと鑑賞してください。
日光東照宮の東西回廊の彫刻は 1枚板をくり抜いた透かし彫り になっているのが特徴です。 狩野探幽が下絵 を作成したもので、胴羽目板には花鳥や動物、腰羽目板には水鳥や水辺、欄間には空に浮かぶ雲などが美しく描かれています。
家康は生前、陰陽道に精通しており、それらを駆使して幕府の安定を図ろうとしていました。 日光は生誕地の岡崎、富士山、江戸城を結ぶライン上にある ため、陰陽道における復活の意味を込めて、日光東照宮が造営されたと考えられています。
陰陽道では、北極星は天帝の星とされ、天の中央に座してほか他の星を支配すると考えられています。日光東照宮ではちょうど 陽明門の真上に北極星が来る ように作られており、日光東照宮を中心に世の中が動いていることを表現したかったのではといわれています。
日光東照宮美術館は 日光東照宮の旧社務所 を活用し、1995年に開館したものです。昭和初期に建設された近代和風建築で、建物だけでも一見の価値があります。中でも昭和天皇などの国賓が休憩された 豪華な貴賓室「上段の間」 は必見です。
日光東照宮美術館には15の部屋があり、 横山大観や荒井寛方など近代日本画の巨匠 の作品が展示されています。また旧社務所時代の杉戸絵や襖絵などもあり、日光東照宮の歴史を感じながら、静かにゆっくりと鑑賞したい方におすすめです。
日光東照宮美術館
日光山輪王寺は1200年の歴史がある天台宗の門跡寺院で、 日光東照宮・日光二荒山神社とともに「二社一寺」 と呼ばれ、国の史跡や世界遺産に登録されています。徳川家光公を祀り、厄除け・縁結び・階分招福などのご利益があります。
日光山輪王寺は15の支院全体の総称で、広大な境内には多くの見どころがあります。家光公の廟所である 「大猷院」 や3体の仏像が揃う本堂の 「三仏堂」 のほか、小堀遠州が手がけたといわれる美しい回遊式庭園 「逍遥園」 もおすすめです。
日光山輪王寺
日本聖公会 日光真光教会は日光山内に続く西参道の近く、樹木に囲まれた場所にあります。その歴史は古く、 1875年(明治8年)に初めて礼拝が行われた のが始まりです。設計は立教大学の学長として来日したガーディナー氏によるものです。
三角屋根石造りの教会で、内部にはステンドグラスが飾られています。 素朴ながらも厳かな雰囲気のある教会 で、100年以上経った現在でも大きな損傷がありません。墓地にはガーディナー夫妻が眠っています。日光東照宮から少し離れているため観光客が少なく、静かに見学できます。
日本聖公会 日光真光教会
日光東照宮の陽明門には、平和への祈りが込められた数々の彫刻が飾られています。霊獣や花鳥のほか、中国の故事をモチーフにしたものなどがあり、じっくりと見ていると時間の経つのを忘れてしまうほどです。陽明門の歴史や謎に触れながら、日光東照宮の観光を楽しんでください。
参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。
記事企画・監修:旅色編集部 おおもり
ライター:I.MINK