更新日:2024/06/17
【関西・和歌山】高野山周辺でおすすめの宿坊2選を徹底解説!
世界遺産に登録されている高野山には「宿坊」と呼ばれる宿があります。寺社の宿泊施設である宿坊では、精進料理や朝のお勤めなどを体験できることから、寺社巡りを楽しむ方に人気となっています。そこで宿坊での過ごし方や料金、そして温泉や部屋数などの情報についてご紹介します。
この記事の目次
- そもそも宿坊(しゅくぼう)とは?
- 宿坊の魅力・過ごし方
- 宿坊でできる代表的な修行一例
- 宿坊の選び方
- 宿坊に泊まる際の注意点
- 【高野山周辺】おすすめの宿坊①小坂坊 持明院
- 【高野山周辺】おすすめの宿坊②恵光院
- 宿坊で特別な体験を楽しもう!
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そもそも宿坊(しゅくぼう)とは?
僧侶・神主が泊る宿から参拝者の宿へ
宿坊というのは寺院や神社の境内にある宿泊施設 です。もともとはその寺社を訪れた僧侶や神主が宿泊する場でしたが、平安時代ごろから寺社参詣に訪れた人々が身を清め、一夜を明かす場所となりました。さらに江戸時代になると、参拝に訪れる人々、観光客などが宿泊する場となっていきます。
現在では宿坊は、その寺社を訪れる方はもちろん、一般の観光客の方も気軽に宿泊できる場 として人気となっています。
こちらの情報は2024年6月時点のものです。実際に行く前にお店の公式HPなどで最新の情報を確認することをおすすめします。
ホテルや旅館などとの違い
一般の方が宿泊できる場所と言っても、宿坊は寺社に付属する施設であり、ホテルや旅館とは違いが見られます。もっとも大きな違いは寺社の「お勤め」に参加することができる という点にあります。
体験できる内容はその寺社や宿坊によっても違いがありますが、修行、お勤めに参加できるということは、宿坊でなければかなわないことです。神仏と向き合うひと時を過ごせるのは大きな魅力といってよいでしょう。
宿坊の魅力・過ごし方
精進料理が味わえる
では具体的に、宿坊ならではの体験としてどのようなことが挙げられるのかご紹介します。宿坊に泊まるということでまず魅力的なのが「精進料理」 です。精進料理というのは肉類、魚介類などを使わずに作った料理です。
精進料理の説明だけ見ると、いわゆる「粗食」をイメージする方もいるかもしれませんが、野菜などを巧みに使い、あたかも肉や魚を使っているかのような姿形、そして味を感じさせるものも多く 、その技術の高さに驚くことも少なくありません。
高野山などの宿坊で作られる精進料理はその宿自慢の一品です。ぜひその美しい姿や美味しさを存分に堪能してください。
普段は見られない文化芸術が見られる
高野山をはじめとする宿坊は、その寺社の境内に作られており、寺社に参拝する方が利用することが前提となっています。そのため宿坊に泊った方に対し、その寺社の貴重な文化財などの拝観を許可 している場合があります。
また宿坊の建物や庭園なども泊った方でなくては見ることができません。これもまた寺社の貴重な文化財です。
これらの文化財に囲まれて一夜を過ごすことができるのは、宿坊ならではの魅力と言えるでしょう。
気軽に密教が体験できる
高野山は816年、空海が嵯峨天皇から下賜された場であり、高野山全域が寺の境内地という宗教都市です。2004年にはこの高野山の一部が「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコの世界遺産に登録 されました。
高野山は真言密教の聖地であり、日常的に修行が行われています。宿坊に泊まると、朝勤行という朝のお勤めがあり、これに参加することができる のです。また後で紹介するように、そのほかにもさまざまな修行を体験することができます。
お坊さんたちと交流ができる
高野山などの寺社の宿坊を利用する際に、利用者のお世話をしてくれるのはその寺社のお坊さんや神主さんです。施設の利用方法や食事の際の給仕など、宿泊のさまざまな場面でお世話になります。
その際に会話をする機会ももちろんありますから、お坊さんたちとの交流をすることができます。
宿坊でできる代表的な修行一例
写経
次に、宿坊で体験できる修行をいくつかご紹介します。実際に体験できる修行内容は宿坊によっても異なるので、前もって確認しておくとよいでしょう。
まずは「写経」です。高野山のほか、多くの寺院の宿坊で体験できます。多くの場合は「般若心経」を一文字ずつ書き写して いきます。一文字一文字集中して書き写していくと、心の雑念が払われ、あっという間に時間が過ぎていきます。
朝の勤行
高野山などの寺院で行われる朝の勤行は、自由参加になっているところも多い ですが、宿坊ならではの体験ということで参加する方が多いです。多くの場合、始まる前に鐘の音などで知らせてくれます。
高野山の場合は密教のお寺なので、声明や読経の声、そして護摩木を炊いて祈願する秘法 を目にすることができます。僧侶の読経の声に身をゆだねていると、心が晴れ渡るのを感じると言われます。
宿坊の選び方
洋式トイレや個室の数などの設備
さて、このように宿坊は、ホテルや旅館などにはない、特別な体験ができる場として人気となっていますが、どのような選び方をすればいいのでしょうか。
近年では宿坊の多くが公式サイトを持っており、そこに宿の設備や料金が記載されていることが多いです。それらを参考にするのがおすすめです。
特にチェックしたいのがトイレです。宿坊はもともと寺社の施設ということもあって、トイレやお風呂が部屋にない場合があります。トイレ付きの部屋なのか、共同の場合は個室がいくつあるのか 、ぜひチェックしましょう。
参拝・観光したい場所へのアクセス方法
先ほども述べましたが、高野山や比叡山といった寺院の場合、地域一帯が境内であり、かなり広大です。そのためバスなどを利用して移動する必要が生じます。
高野山の場合、高野山の中でも人気の観光スポットが多いのは「奥の院」と言われる場所 です。そのため、奥の院にアクセスしやすい場所に宿坊があるかというのはぜひチェックしたいポイントです。
高野山の宿坊を選ぶ際には、自分が行きたい観光スポットと、そこまでのアクセスをしっかり確認しましょう。これは次にご紹介する門限との関係でも大切な点です。
女性から人気が高いのは完全個室の宿坊
宿坊の部屋は壁で仕切られた「完全個室」と、ふすまを隔てただけの「個室」 があります。宿坊はあくまでもお寺ですから、全てが完全個室とは限りません。ふすまは紙ですから、隣の部屋の音などが丸聞こえになることがあります。
宿坊にはそれなりに部屋数が用意されていますが、ふすまの場合は取り払うことで部屋を大きくし、グループなどで宿泊することも可能です。
完全個室の場合でも、先ほど述べたように個室にトイレや風呂がついているのか、また温泉なのかどうかについてもチェックすると安心です。
現地で予約する場合は観光協会を利用するのも手
ホテルなどと違い、宿坊はどうやって予約するのかわからないという方も多いでしょう。近年では高野山をはじめとして公式サイトを持っているところや宿泊サイトなどで予約をすることができるところも多く見られます。
また、宿坊の場合は観光協会やお寺で直接予約することもできます。特に初めて高野山に行くなどで地理感覚があまりわからないという場合は、観光協会を使うといろいろ説明してもらえて安心です。
宿坊に泊まる際の注意点
仏教体験に追加料金がかかるところも
次に宿坊に宿泊する際に注意したいポイントについてです。高野山をはじめとする宿坊は寺社の一部ですから、普通のホテルなどとは違う注意点があります。
宿坊に泊まる楽しみの一つが仏教体験です。一般的に朝勤行に参加するのは無料でできるところが多いのですが、写経や座禅などの場合、別料金となっている場合 もあります。参加したいものがある場合は前もって確認しておきましょう。
門限・入浴時間を確認するのを忘れずに
もう一つ、注意したいのが門限と入浴時間 です。高野山を含めてお寺は朝が早いため、夜は門限が決められていることが多く、同様に入浴できる時間も決まっていることが多い です。しっかり確認した上でスケジュールを組む必要があります。
特に高野山の場合に気をつけたいのが「奥之院ナイトツアー」 です。高野山観光の人気プランですが、ツアー終了が20時半前後になり、宿坊の場所によっては門限までに帰れない場合があるためです。
ですから、ツアーに参加する予定の方はゴール地点近くの宿坊を選ぶか、その日は宿坊に泊まらずホテルを利用するか、考えることをおすすめします。
【高野山周辺】おすすめの宿坊①小坂坊 持明院
高野山金剛峯寺の塔頭寺院、戦国武将にゆかりのお寺
「小坂坊 持明院」は1122年ごろに開かれた、高野山金剛峯寺の塔頭寺院 です。約2000坪の広大な敷地を持ち、庭園などの見どころも多いです。
また京極高次が高野山で身を寄せたのがこの持明院であり、後に若狭小浜の城主となった後も帰依を続けました。そのため京極家をはじめとする多くの戦国大名の大檀主 となったほか、浅井家の書状や肖像画などを所蔵しています。
美しい庭園と精進料理が人気、さまざまな修行体験もおすすめ
広大な境内には4つの庭園 があり、どの部屋からもその美しさを目にすることができます。しだれ桜やシャクナゲの季節 には、散策を楽しむ方も多く見られます。また精進料理も見た目、味ともに魅力的で、満足感が高いです。
朝のお勤めには自由に参加することができます。理趣経といい、朝早く拝むことで功徳があるとされるお経を受け、焼香をします。また部屋で写経をすることもでき、道具も用意されているので、ぜひこちらも参加してみましょう。
小坂坊 持明院
- 住所
- 和歌山県伊都郡高野町高野山455
- アクセス
- 電車:南海高野山ケーブル 高野山駅から南海バス 蓮花谷下車徒歩約1分
車:京奈和自動車道 かつらぎ西ICから約50分 - 公式HP
- https://www.jimyoin-koyasan.com/
- TEL
- 0736-56-2222
- FAX
- 0736-56-3809
【高野山周辺】おすすめの宿坊②恵光院
明智光秀の菩提寺、多くの人の供養をする「廻向」院
「恵光院」はもともと、空海が高野山に五重塔を建立し、毘沙門天・不動明王を安置 したことに始まります。この時に空海の弟子が住職となり、多くの人を供養した「廻向院」と呼ばれました。
現在の「恵光院」となったのは徳川幕府八代将軍吉宗によるもので、以来現在まで脈々と受け継がれています。また明智光秀の菩提寺でもあります。
奥之院一の橋入口近くにあるお寺なので、高野山観光の拠点とするのにも便利 です。高野山観光を楽しみながら、宿坊でのさまざまな体験もあわせて楽しみましょう。
多様な修行体験が魅力、近代的な機器も揃い快適
宿坊でありながら、近代的な設備が揃っているのが特徴 で、各部屋で無料Wi-Fiが使えるほか、PC、プリンターなどを使うこともできます。そのため、高野山の観光スポットの検索などにも便利です。
また高野山観光で人気の「奥之院ナイトツアー」は恵光院が集合場所 となります。そのため門限など心配なく参加できます。そのほか部屋での写経や阿字観という瞑想体験、朝勤行や護摩祈祷など、多様な修行体験が用意 されているので、ぜひ参加してみてください。
恵光院
- 住所
- 和歌山県伊都郡高野町高野山497
- アクセス
- 車:阪和自動車道 岸和田和泉ICから約80分
バス:南海電鉄高野線 なんば駅から南海バス奥の院行きに乗車、「苅萱堂前」停留所下車後徒歩約2分 - 公式HP
- https://www.ekoin.jp/
- TEL
- 0736-56-2514
- FAX
- 0736-56-2891
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宿坊で特別な体験を楽しもう!
宿坊は普通のホテルや旅館に宿泊するのとは違い、寺社ならではのお勤めに参加したり、精進料理を食べたりと、ここでなければ体験できないものがたくさんあります。高野山に行くなら、ぜひ高野山観光と合わせて、これらの体験を楽しんでください。
参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。
記事企画・監修:旅色編集部 おおもり
ライター:よしぷー