万博開催によって再注目の大阪グルメ。 世界に誇る“寿司”について職人に聞いてみた
更新日:2025/01/06
2025年4月開催予定の大阪・関西万博。開催周辺地域では国内外のお客様をおもてなししようと、さまざまな業種業態が受け入れ準備を進めています。今回は、飲食業界の中でも注目され始めている、美味しさとヘルシーさ、職人技まで称される“寿司”について、寿司職人兼大阪府鮨組合理事長にインタビュー。今後の寿司業界について聞いてみました。
2025年4月開催予定の大阪・関西万博の来場者数は約2,820万人、そのうち外国人の来場者は約350万人と世界から訪れると予想されています。万博開催周辺地域では、国内外のお客様をおもてなししようと、さまざまな業種業態が受け入れ準備を進めていますが、やはり中心となるのは「飲食業界」。その中で注目され始めているのが美味しさとヘルシーさ、職人技まで称される“寿司”です。
寿司はもともと敷居の高いものでした。しかし、昭和33年頃に世界初となる回転寿司が大阪で開業したことを皮切りに、庶民的な食べ物としての地位を取り戻し、昭和45年の大阪万博でさらに世界へ広がっていったそう。今や世界から注目を浴びている寿司は2025年に開催される万博会場内でも食べることができ、大手寿司チェーンも出店されるそうです。今回はそんな大阪で寿司屋を営む、成尾友紹(なるおともつぐ)さまに今後の寿司業界について聞いてみました。
今回インタビューした方のご紹介
大阪万博について
大阪万博開催期間中に会場内でお寿司を握ると伺いましたが、どういったお寿司を握る予定ですか。
大阪鮨組合に参画している寿司屋のメンバーで出店し、寿司を握ります。大手チェーン店も出店するようなので、我々はどちらかと言えば職人のスキル・質の高い高級部門の寿司を提供したいと考えています。
大阪鮨組合について
大阪鮨組合では他にどのようなことをされていますか。
月に1度集まって、会議や交流会を実施しています。最近では大阪万博開催に向けて話し合うことが中心ですが、ニューオープンの店のフォローにも尽力しています。経営のアドバイスを行い、新たに立ち上げた店舗が継続して経営ができるようにサポートしていますよ。
今後、大阪鮨組合で取り組んでいきたいことはありますか。
職人のスキルアップに貢献していきたいと考えています。平成25年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことにより、海外でも寿司業界が盛り上がってきていますが専門学校を卒業した職人が海外へ赴き、就職できずに帰国する職人が増加しています。私は技術を見直し、海外でも活躍できる職人が増えていくことが課題だと考え、最近では「寿司専門調理師資格」の取得を推奨しています。「寿司専門調理師資格」を受験し、厚生労働大臣から認定を受ければ海外でも活躍できるレベルになるからです。「寿司専門調理師資格」は大阪鮨組合の中でも資格所有者は5%程で、かなり難しい資格です。YouTubeやSNSなどで「資格がなくても職人になれる!」といった動画を目にしたことがありますが、数年後の職人のレベル、品質を担保していくためにも努力をし、修行を積んで技術を磨いた人が増えてほしいと思います。
周囲から「やってほしい!」と声があがり、理事長への立候補を決意しました。私で8代目になりまして、大阪鮨組合は参画施設約350施設と、東京に次ぐ規模になるのでまとめることが大変です。万博はもちろんですが、理事長として寿司業界をさらに盛り上げていきたいです。
寿司職人になるきっかけ
そもそも成尾さまが寿司職人になったきっかけはなんでしょうか。
家業が寿司屋で長男として引き継ぐことを決意しました。私で3代目になります。まだまだバリバリ働くつもりです!!
寿司職人として心がけていること
寿司職人として心がけていることはありますか。
1番は雰囲気づくりです。最近は食事中に携帯を触っていると注意されてしまったり、職人が怖いといった気軽に行き難い寿司屋が見受けられますよね。私は、来ていただいたお客様が楽しく過ごせるように常に心がけています。
2017年にオープンした「福warai」では、カウンターの寿司屋ではありますが、店内を明るくし、気軽に入りやすい店づくりをおこなっています。昔の寿司屋っぽくないですよね...!日本酒と一緒に本格的な寿司や、一品を楽しむことができ、値段も比較的リーズナブルなので地元の方や常連さんも多くいらっしゃいます。
大阪府鮨組合理事長成尾友紹さま
スタッフ同士も仲が良く、スタッフにも怒るようなことはしませんよ!
店のこだわり
お店へのこだわりを教えてください。
「福warai」は寿司と日本酒が楽しめる店となっています。なかなか手に入りにくいレアな日本酒も仕入れており、日本酒と一緒に本格的なお寿司、一品が楽しめます。
なんで日本酒を置こうと思ったのですか。
和食と日本酒の相性がいいからです。日本酒は全国各地の日本酒を取り寄せており、「十四代」や「而今」、その他季節の日本酒等を常時20本近く置いています。箕面ビールなどの地ビールやワイン、ソフトドリンクも置いているので
日本酒が苦手な方でも気軽にお楽しみいただけます。ビールへのこだわりも強く、「アサヒビール認定店」として認定されました。
大阪府鮨組合理事長成尾友紹さま
これだけお酒を置いているのでお酒好きと思われがちなのですが、実はお酒はあまり強くないんです……(笑)
成尾さまおすすめのメニューを教えてください。
おすすめはサザエ焼きです!
大阪福島の大阪市中央卸売市場から仕入れています。大きなサザエをお客さんの目の前であぶるので、五感でお楽しみいただける逸品です。歯ごたえ抜群でコリコリした食感がクセになり、噛めば噛むほど磯の香と旨みが口の中に広がります。※季節によってメニューは異なるため、事前にお問い合わせください。
旅色編集部やまぐち
寿司職人と言えば、少し怖い印象もありますがそんな印象とは全く違い、笑顔が素敵な成尾さま。大阪鮨組合の理事長に推薦されたことに納得できるほど、気さくで寿司業界を盛り上げたいという熱い想いが感じられました。大阪万博が開催されることで再注目の寿司業界の更なる発展に期待です。
なるを寿司/福warai
参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。
記事企画・監修:旅色編集部 やまぐち
ライター:山口菜美
旅色編集部やまぐち
大阪鮨組合の理事長には自ら立候補されたのですか。