高知県
2025/03/06
高知県の独自文化「おきゃく」をご存じですか? 大皿に山海の幸などを豪快に盛り付けた「皿鉢(さわち)料理」や酒でお客をもてなす席のことで、「献杯」に対する「返杯」といった作法にみられるように、まさに酒が潤滑油となったコミュニケーションの場のことです。
「どんだけ酒が好きなんだ」と恐ろしくなる一方で、酒好きの自分にはうらやましくもあります。どうすれば「おきゃく」を体験できるのかとさまざまな情報を漁っていると、「高知かるた プレスツアー」なるツアーを見つけました。なんでも、新たに完成した「高知かるた」を活用すれば、知る人ぞ知る高知の魅力をたっぷり味わえるのだそう。それってつまり、旅のプランはかるたに任せ、自分は酒を飲んでいればいいってこと!?
ということで早速行ってきました、高知県。そこはまさに“極上の田舎”で、贅沢な体験ばかりでした。酒のことばかり考えていた自分が情けない!
私が堪能した高知の魅力について、紹介させてください。
この記事の目次
目次を開く ▼
「高知かるた」は、2024年4月に始まった観光キャンペーン「どっぷり高知旅キャンペーン」の一環として、同年6月に始動したプロジェクトです。かるたのネタとなる「高知の魅力」や「高知あるある」を、高知県を愛する人たちから一般公募。集まった1,015件の候補の中から、計46枚の読み札が誕生したというわけです。
読み札はいずれも、観光キャンペーンのコンセプト「極上の田舎、高知。」に沿ったものを五・七・五で紹介。裏面に記載された詳細を読めば高知県への理解が深まるため、旅行の計画にも役立ちます。仲間内でかるたを楽しみながら旅程を考えるなんてこともできちゃいます。
「高知かるた」は今後、高知県内の道の駅や宿泊施設などに順次設置されていく予定です。
今回のプレスツアーで紹介する1枚目の高知かるたは、「ん」の札からスタート。
高知の皆さんのカツオ愛を侮ったことはないのですが、「なめたらいかん」とまで言われてしまえば、こちらも「見せてもらおうか」ってなもんです。
高知かるたを手に訪れたのは、中土佐町久礼(くれ)。400年以上にわたって、カツオの一本釣り漁にこだわる漁師町です。高知県の魂ともいうべきカツオを新鮮な状態で楽しむことができる久礼こそ、高知県で真っ先に訪れるべき場所というわけですね。
実際に久礼に足を踏み入れると、さまざまなカツオスポットが点在しています。久礼湾のすぐそばにある「久礼八幡宮」もそのひとつ。賽銭箱の向こうには、大きなカツオの絵馬が覗いています。
久礼八幡宮を後にし、歩くこと2分ほど。訪れたのは「久礼大正町市場」です。
ここは、久礼湾のカツオをはじめとし、地元の野菜や果物など、久礼の幸をぎゅっと集めた市場。漁師町・久礼の魅力を味わうなら絶対に外せないスポットです。
今回のツアーでは、久礼大正町市場に構える「田中鮮魚店」にお邪魔しました。
大正初期に創業したという、老舗中の老舗の鮮魚店。代表の田中隆博さんは「鰹ソムリエ」を自称する目利きの達人で、とにかく旨いカツオを振る舞ってくれます。
サービス精神旺盛で、聞き手がぐいぐいと引き込まれるような説明がとてもユニークな田中さん。久礼のカツオがとりわけ絶品なのは、「漁師たちが自分で食べるものでもあるから」と笑います。
「久礼のカツオは日戻りのカツオ。釣り上げたカツオは刺身で美味しく食べたいものだから、一度も冷凍しないんです」(田中さん)
目利きもポイント。カツオは一般的に品質を見極めるのが難しい魚といわれます。その点、田中さんは鰹ソムリエ。カツオの身の触感や色など、カツオごとの繊細な違いを見極め、本当に美味しいものだけを店頭に並べているのだそう。
引き込まれるようなトークは、美味しいものだけを出しているという自信の表れでもあります。
田中鮮魚店では鮮魚の購入はもちろん、新鮮なカツオを 味わうこともできるんです。久礼の絶品カツオを堪能するなら、外せない一軒といえます。今回はカツオの藁焼き体験もさせていただけることになりました。高知かるたの裏面を見ると、高知県内の多くの施設で藁焼き体験ができるそうですよ。
藁から立ち上る炎は大変火力が高く、1mほど離れていても、熱波が顔にじりじりと伝わってくるほど。火加減を見ながら田中さんが藁を放り込むと、「待ってました」と言わんばかりに炎が舞い上がります。
あまりの火力に、参加者のうちのひとりが「カツオ、燃えてない?」とぽつり。いやいや、このように高火力で表面を一瞬で焼き上げるのが久礼の伝統なんです。焼きあがったカツオはそのまま切り分けられて、いざ実食!
透き通るような赤色が食欲をそそります。田中さんは「(良いカツオは)赤みがきれいでないといけません。まさに目利きが必要になる」と胸を張ります。
久礼のカツオは塩やニンニクチップでいただくのが定番。塩にカツオをちょんとつけて口に運ぶと、すっきりとした切れ味で、カツオの旨みが一気に口に広がります。なんてみずみずしいのか。生魚らしい臭みは一切なくて、カツオらしい味わいだけが突き抜けていく感じ!
「さっぱりしているから、塩でぺろりと食べられるでしょう。関東で食べられるカツオは脂が乗っていて、そのぶん臭みも出やすい。久礼のカツオは軽やかな味わいだから、すぐわかるはずです」(田中さん)
カツオは足が早い魚。とはいえ田中さんによると、私たちが一般にスーパーなどで見かけるカツオは水揚げから4日前後経過しているものも多いのだそう。時間が経つほど味は落ち、ドリップ(魚からにじみ出る赤い液体のこと)も出るので、久礼のようなカツオ本来の味を堪能する機会が、そもそも貴重なのです。
塩で味わうのも納得。なるほど、味の濃い調味料ではこのカツオに申し訳ない。
いやぁ、まいりました。さすがのカツオ愛です。
町中にカツオ愛が溢れていました
田中鮮魚店
高知県の北西に位置する梼原町(ゆすはらちょう)は山の斜面に沿って広がっていて、最高で標高が1,400mにもなります。まさに「雲の上の町」です。
高知かるたの「ね」の札が誘う先は、そんな梼原町にある「雲の上の図書館」。ここは標高約400mにある本の森。一歩足を踏み入れると、図書館という言葉からは想像できないユニークなしつらえに圧倒されます。
建築家・隈研吾氏によってデザインされた図書館。高知かるたによると、梼原は隈研吾氏が木造建築に目覚めた町。心揺さぶるような自然との出合いが、この梼原にあったのでしょう。
建材にはすべて梼原町産の杉の木を使っていて、館内には木のぬくもりがあふれています。
館内は土足禁止。靴を脱いで入場すると、杉の木の柔らかな感触が靴下を超えて伝わってきます。ぽかぽかとしていて、ついまどろんでしまうのは、久礼でカツオを食べすぎたからではないはず。
中に入ってまず目に入るのは、複雑な木組みの梁です。幾重にも交錯しながら、生い茂るようにして佇む梁は、隈研吾氏のこだわり。「森の中で本をよく読んでほしい」という願いが込められています。
梁だけではありません。階段にも目を奪われました。
1階から2階へと横断的につながる階段とそれに同化した本棚の数々は、隈研吾氏が梼原の原風景である棚田から着想を得たものだといいます。
来館者は階段として利用することはもちろん、段に格納された本を手に、段に腰掛けて読書を楽しむこともできるというわけですね。
ここには確かに、梼原の森と棚田が息づいているのです。
喫茶デポーにて「わ」の札と
さまざまなスポーツで長年にわたり取りざたされる議題。それが「スター選手を集めれば最強なのか?」というものです。
歴史を見ても結果はまちまちで、人によって答えは分かれるところ。ところが朝食に関していえば、「満足度は跳ね上がる」という結論で間違いなさそうです。
ツアー2日目の朝。訪れたのは高知県民から40年近く親しまれる「喫茶デポー」の京町店。このお店に行けば、高知県民ならではのモーニング文化が堪能できるとのことです。
喫茶デポー京町店
高知かるた「わ」の札の裏にはこう書いてあります。
「高知県はモーニング文化が盛ん。しかも皿鉢料理のごとくバラエティ豊か」 ※一部抜粋
皿鉢料理とは、高知県の代表的な食文化のことで、冒頭でも書いた「おきゃく」で振る舞われるものです。何か特定の料理を指す呼称ではなくて、一枚の大皿にさまざまな料理を乗せて食べるという食文化そのものを指します。
さまざまな料理を相乗りさせるのが皿鉢料理(写真は宿泊先の「OMO7高知 by 星野リゾート」にて)
どうやら高知の人は、モーニングにもこの皿鉢料理の精神を発揮してしまうのだそう。高知かるたには、こうも書いてあります。
「お店によってはおにぎりとトーストと味噌汁とコーヒーがひとつのトレイに」
文章としては頭に入ってきますが、なかなか理解するのが難しかったです。頭にはてなを浮かべながら「喫茶デポー」へ入店し、いざモーニングが運ばれてくると、ようやく理解。なるほど、確かに全部ある!
朝食メニューのスター選手たちが、同じチームでコンビネーションを取っているじゃないですか。これがドリームチームってやつか。
「高知のモーニングPart4」750円。今日まで構成が何度か改修されたため、Part4というわけ
喫茶デポーの担当者によると、このドリームチームの前身はおむすびとパンがセットになった「和洋モーニング」だったとか。
なんでも、高知県にはもともと農家さんが多く、朝からたくさんのエネルギーが必要で、かつ朝・昼兼用でご飯を食べる方が少なくなかったため、ボリューム満点のモーニングが求められたようです。
単に大盛にするのではなく、和洋中問わず品数が増えていったのは、皿鉢料理が根付く高知らしいところですね。
すべて美味しくいただき、満足・満腹な朝食になりました。ボックス席もある店内は、奇をてらわないカフェらしい内装で、ゆったりとした時間が流れています。店内を見渡すと、やっぱり皆さん「高知のモーニングPart4」を召し上がっていらっしゃいました。これで自分も、高知県民の仲間入りかな?
仁淀川(名越屋沈下橋)にて「る」の札と
沈下橋をご存じでしょうか? 洪水などで水量が増えた際に川に沈む橋のことで、高知県では名越屋(なごや)沈下橋が有名です。
沈下橋らしく、仁淀川(によどがわ)と橋面との距離が近く、日の光を浴びて青く輝く川面を思う存分楽しむことができます。
私が名越屋沈下橋を訪れたのはこれが初めて。その絶景に、思わず息をのみました。
広い川幅にゆったりと穏やかな水が流れる一級河川・仁淀川は、正午前の白色の光を受けて輝いています。そしてそんな仁淀川を横断する名越屋沈下橋。欄干がない控えめで無骨な姿が、この光景に良く似合っています。
高知かるたが謡う「仁淀ブルー」とは、仁淀川の透き通った青色のこと。急峻で流れが速い仁淀川には不純物が少なく、水は高い透明度を誇ります。また、仁淀川周辺には薄い青緑色をした「緑色片岩」が多く堆積しているのも特徴。驚くような透明度と、緑色片岩由来の青色が、美しい仁淀ブルーを生み出しているわけですね。
高知かるたは、こう解説しています。
「太陽光の角度や季節の木々のコントラストなどで変わる青さ」(一部抜粋)
透明度が高いがゆえに、周辺の環境の変化に応じて多様な表情を見せてくれるのですね。次はどんな顔を見せてくれるだろう。気が付けば、次回の旅程を真剣に考えている自分がいました。
はがきづくり体験で作成したはがきと「る」の札
透きとおった仁淀川とその周辺の自然に癒やされたあとは、「土佐和紙工芸村くらうど」を訪れます。ここは道の駅とあって、お土産を探すのにばっちり。そして何より、土佐伝統の和紙作りが体験できる施設でもあります。
土佐で伝統的に作られてきた和紙(土佐和紙)は日本三大和紙のひとつで、その歴史は1000年以上もあるとする説が有力です。貴族の遊びに使われたり、武士の着物に使われたりと、土佐和紙は特別なものとして、貴重なシーンで利用されてきたのだそう。そうした土佐和紙の伝統は、いの町や土佐市を中心として、今日まで受け継がれています。
道の駅 土佐和紙工芸村。レストランやギャラリー、体験施設のほか宿泊施設も
土佐和紙工芸村くらうどでの紙漉き体験で制作できるのは4つ。はがき、色紙、うちわ、折り染め・しぼり染めのいずれかから自分の希望する体験を選びます。
私ははがきを選択。これでお便りを出すことで、「ずいぶんと雅な人になったんだな」と相手を驚かすことができそうです。田舎の両親も、きっと驚くに違いありません。
土佐和紙の制作は本来、楮(こうぞ)などの植物から和紙となる繊維を作るところから始まります。ここではそうした前段階はすべて済んだ状態からスタート。シンプルに紙漉き体験のみを行うことができます。おいしいところだけを体験させてくれるのだから、嬉しい限りです。
紙漉きは、木枠のような見た目の「漉き船」を使います。これで繊維をすくい、厚みが均等になるように丁寧にゆすりながら漉いていきます。指導員の方が手厚くサポートしてくださるので、難なく完了しました。
あとは飾りつけです。草や花などの素材が提供されていますので、思い思いにデザインしていきます。
正直、これが一番難しかった。草花を、頭のなかに思い浮かべたとおりに配置しているはずなのに、終えてみると「なんか違う…」の連続。周りの皆さんがきれいに飾りつけしているのを見ると、なんで自分だけこんなにうまくできないのかが不思議で、愉快ですらあります。
お父さん、お母さんごめんなさい。雅なはがきは送れそうにありません。
飾りつけが終わったら、手動の圧縮機で押しつぶしてから乾燥させて完成です。
土佐和紙工芸村くらうどの指導員さんは全員優しく、実に丁寧でした。色紙やうちわ、折り染め・しぼり染めのそれぞれの指導員さんも親切な方ばかりで、今度は夏前にうちわを作ってみたいと思いました。
道の駅土佐和紙工芸村くらうどでは、こうした紙漉き体験のほか、飲食や宿泊も可能です。
仁淀川と併せて、ぜひ足を延ばしたい観光スポットですね。
「日本植物分類学の父」と呼ばれ、2023年には朝ドラ「らんまん」のモデルにも選ばれて一層有名となった人物といえば、牧野富太郎博士です。高知かるたの裏面を見ますと、「牧野富太郎は佐川町生まれ。(略)草花の研究に生涯を捧げた彼の功績がわかる牧野植物園は高知市内にあり、約3000種類の植物を見ることができます」(一部抜粋)とあります。
開園は1958年。牧野博士の功績を称え、牧野博士逝去の翌年にオープンしました。個人の研究家の名前がついた、世界で唯一の植物園です。
「植物園を造るなら五台山(ごだいさん)がええ」とは、牧野博士の言葉。その言にならい、園は五台山に構えています。無理に山を切り開いたり土を盛ったりはせず、五台山の自然そのものと調和した造りになっています。
園内を回ってみると、正直、あまり手入れがされていないように見えるかもしれません。枯れたままになっている植物も多数あり、率直に言うと、無造作な印象を受けました。でもこれはもちろん、「牧野植物園」のコンセプト。あくまでも「植物の一生を伝える」ことを目的としているため、あえて手を入れすぎないようにしているのです。
同様に、植生の展示にもこだわっています。
私のような大雑把な人間は特に、「草」や「木々」と植物を括りがちですが、実際に自然の中にある植物たちは、それぞれが多様に織りなして植物群を形成しています。これが、植生です。
牧野植物園では、こうした植生についても詳しく教えてくれます。例えば、おおむね5m四方ほどの展示スペースに、これでもかと林立したラベルがその証拠。案内してくださったスタッフさんも、「ここまで詳細に解説するのは当園くらいでは」と胸を張ります。
仕事や趣味であちこち行き来していると、その土地ならではの自然に出合うことが少なくありません。けれども、これまで私は鮮やかな花や大きな木々といった、目に見えて分かりやすいものにばかり気を取られていた気がします。
小さくても、動いていなくても、植物にはそれぞれ名前があって、特徴があって、命がある。むやみに踏みつけていいものではないなと、痛感させられる時間でした。
園内には「牧野富太郎記念館」もあり、こちらも見ごたえ抜群。牧野博士が一生をかけて40万点集めたという植物標本をはじめ 、近年はアートとしても評価されている牧野博士自筆の植物図など、牧野博士にまつわるさまざまな展示がなされています。なかでも、牧野博士が初めて日本で学名を付けた植物「ヤマトグサ」の植物図は見ものです。
園内にはこのほか、国内外の熱帯植物を集めた温室や、 実際の植物研究の様子を見ることができる「植物研究交流センター」もあります。
牧野博士の偉大な功績を礎に、これからも植物の正しい知識を提供してくれることでしょう。小さなお子さんと一緒に訪れて、自然について楽しく考える機会とするのにもピッタリです。
いよいよ高知最終日。昨晩はここぞとばかりに「ひろめ市場」で酒におぼれ、「これで悔いなし!」と言わんばかりに酩酊した私ですが、この程度では高知の魅力はまだまだ味わいつくせてはいないみたいです。
プレスツアーの最終日は土曜日。高知に根付く街路市の文化を体感すべく、高知市にある「池公園」へと向かいます。ここでは毎週土曜日に「高知オーガニックマーケット」が開催されるとのこと。有機栽培された野菜や果物など、オーガニックな商品・サービスを提供する出店が立ち並びます。
高知かるたをめくってみれば、「高知の朝は街路市から始まります」とあります。これは現地に行くしかないでしょう。
高知で街路市・朝市といえば、「日曜市」が有名です。地元で獲れた新鮮な野菜や果物、ローカルフードなどを提供する出店が、約1㎞にわたって立ち並ぶ日曜市。なんと1690年にスタートしたそうで、300年にわたり地元で親しまれる、伝統的なイベントなのです。
池公園で開かれる土曜市のルーツも、この日曜市にあります。これまで日曜市に出店していた方が「有機農産物に特化した街路市を」ということで始められたのだとか 。池公園で定例化したのは、2010年。以来、こちらの土曜市も、地元の方々に親しまれる街路市となりました。
商品のジャンルは多種多様。文旦やゆずをはじめとする農産物から、パンやスープカレーなどの加工食品、古式マッサージやアクセサリーといったクラフト系まで、実にさまざまな商品を見ることができます。
もちろん、無造作に出店数が増えてきたわけではありません。出店するのは、すべての審査をクリアし、土曜市の理念にのっとった商品・サービスを提供する方ばかりです。
店先で店主さんから直接商品のこだわりや魅力を聞くの は、普段の買い物ではなかなか味わえない貴重な時間でした。
何せ彼らは店主兼生産者。こだわりだってひとしおです。扱っているのは無機質な大量生産品などではなく、丁寧に思いを込めた逸品ばかりだからこそ、その熱量に感動させられます。気づけば、持ちきれないくらいお土産を買い集めていました。
さて、誰に渡そうかな。
TOSACO TAP STANDにて、「せ」の札と
酒好きの街・高知県。2泊3日のプレスツアーの〆は、やっぱり酒でした。
ということで、やってきたのは「TOSACO TAP STAND」。高知の素材を使ったクラフトビール「TOSACO(とさこ)」を製造する高知カンパーニュブルワリーの直営店で、9種類のTOSACOが楽しめるビアスタンドです。
ビアサーバーから注がれた生TOSACO。カウンターから手を伸ばしても届かないので、じっと待つ
TOSACO TAP STANDで楽しめるTOSACOは、常時9種類。ラインアップはその時々で変わり、その日限定のTOSACOが登場することも。あれもこれも飲み比べたい方には、お得な飲み比べセットもあります。9種のうちから好きな3種を自由に選ぶことができるので、自分の味覚に合ったTOSACOと出合うことができるはず!
もちろん、私も楽しみましたよ、飲み比べセット。定番のTOSACOも味わったうえで、私が最も「うまい!」と唸った一杯は、「かやの森ヘイジーエール」でした。碁盤やまな板に使われる高知県産の榧(かや)の実を、ハーブとして使用したビール。これが実にフルーティーなのです。
ビールらしからぬ軽やかな苦みとフルーティーさ。それでいて独特なスパイシーさが喉を心地よく刺激します。居酒屋で飲むいつもの生ビールも最高だけど、それとは一味も二味も違った味わい。すっかり心を射抜かれました。
TOSACO飲み比べセット1,300円。手前が「かやの森ヘイジーエール」
このほか、TOSACO TAP STANDではフードメニューも提供中。「季節の野菜とディップソース」や「TOSACOパンと松原ミートのリエット」など、モルト粕(ビール製造の際に生じる、麦汁を絞ったかす)を使用したTOSACOならではのフードが味わえます。
もちろん、TOSACOを購入することもできます! 飲み比べセットなどを通じて気に入ったTOSACOを見つけたら、その場でお土産に購入し て帰りましょう。
私は定番のTOSACOをチョイスしました!
東京に戻るまでに飲みつくしてしまいましたが。
もちろん売っていますよ、TOSACO
TOSACO TAP STAND
高知竜馬空港にて
以上で、高知かるたに導かれた2泊3日は終わりを迎えました。
飛行機の中で、ツアー中に撮りまくった写真を見返していると、高知のさまざまな表情を楽しめた数日だったと痛感します。うまい酒が飲めそうなどという短絡的な思惑で参加した自分を、ひっぱたきたくなりました。
あれもこれもと高知の魅力を詰め込んだこのプレスツアーでは、まさに皿鉢料理のような贅沢な体験ができました。各スポットで出迎えてくださった皆様も大変親切で、高知県民の温もりにもほっこり。「極上の田舎」は伊達じゃない!
また来ます。
参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。
記事企画・監修:旅色編集部 おおもと
ライター: