2023/10/17
室町時代から“小野路”という名が見られるほど歴史の深い町田市小野路町にある「ヨリドコ小野路宿」は、地域の人々の交流の場として親しまれており、集会所では毎日のように魅力的なイベントが開かれています。
また、小野路は“にほんの⾥⼭100選”に唯⼀東京から選ばれた⾥⼭として評価されていて、豊かな常緑広葉樹林の中にはさまざまな動物や昆虫が暮らしており、町田市では、貴重な里山環境を守るため地域住民や企業・団体などと連携して竹林の整備など、保全に繋がる取り組みを行っているんです。
今回はそんな小野路町にある「ヨリドコ小野路宿」で定期的に開催されている“竹灯籠作り“を体験してきたので、その様子をお伝えしていきたいと思います。
この記事の目次
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小野路町内にある“まちだ丘の上病院”が運営している健康コミュニティ施設のヨリドコ小野路宿。建物内には健康をテーマにしたランチを提供している「キッチンとりまぎ」や今回竹灯籠作りを体験した会場の「集会所」、自然の中で活動のできる「竹林」、地域の暮らしを支える「訪問介護ステーション&暮らしの保健室」などがあります。運営元は病院ですが、医療現場の堅苦しい感じは一切なく、誰でも気軽に立ち寄れて、自然に人々が繋がっていく、そんな地域住民の心のよりどころとなっています。
ヨリドコ小野路宿までは新宿駅から電車とバスで1時間弱。
小田急線の鶴川駅で下車し、駅ロータリーからバスに乗り「小野神社前」停留所を目指します。
バス停を降りた先に小野路宿里山交流館、その先に今回お世話になったヨリドコ小野路宿があります。
目的地周辺は豊かな自然が広がっており、都会の喧騒を忘れさせてくれました。
まずは竹選びからはじめます。竹によって太さが微妙に違い、これが穴のあけやすさに影響していたように感じました。背面に穴が開けられているものとそうでないものが用意されており、電球を通したい方は穴の開いているものを、別売りのライトを竹の中に入れて使いたい方は穴なしのものを選ぶ、など、自分の用途に合わせて選択することができます。
ちなみに、電球とコードはワークショップ側で用意されているため、電球を通して使う方は帰宅後にすぐに灯すことができます。(コードと電球は体験料と別料金)
竹を選び終わったら次にデザインを決めます。
10通り以上のデザインが用意され、お好みのデザインをチョイスします。デザイン用紙の丸に合わせてドリルで穴を空けていくのですが、丸の間隔が広く、穴が繋がってしまう事件が起こりにくい初心者向けのデザインから、反対に丸の間隔が狭く、数も多い上級者向けのデザインまで、幅広くありました。
今回は体験者2名で、難易度低めの“はな”と、中レベルの“こい”をそれぞれ選び挑戦へ!
デザインが決まったらデザイン用紙を竹に直接テープで張り付ける作業へ。
はがれないように竹の周りにテープをグルグルとしっかり巻き付け、デザイン用紙を固定していきます。
デザイン用紙を貼り付け終わったらドリルで穴を空けていきます。
ドリルの刃はミリ単位で用意されていて、デザイン用紙にある丸の大きさによって使い分けます。
大きい刃は穴を空けた時の反動が大きく初心者では扱いづらいため、まず小さめの刃から装着して、感覚を慣らしていくのがおすすめです。
竹を台に固定し、いよいよ穴を空けていきます。
はじめに空けるのは2番目に小さい紫の丸。
ドリルの刃の中心には針状の突起がついており、その突起を丸の中心に合わせます。空ける丸を真上に向け、ドリルに上半身の重みを乗せて、片手で竹を支えながら電動ドリルを動かしていきます。
「ウィーーーーン」
と穴が空いた時の反動に気を付けながら慎重に掘り進めて行きます。
「スポッ! 」
記念すべき1つ目の穴が空きました!
削るときの振動や、穴が空く時の感覚が心地よく、癖になります。
穴が空いた後は竹に引っかからないようにドリルを止めずに引き抜きましょう。
紫の丸を空け終わったらドリルを一段階大きいものに変えて、さらに穴を空けていきます。
大きい丸のほうが穴が空いた時の反動が大きく、最初はビックリ。
削れる範囲が広いため、誤って隣の穴と繋がってしまうこともありますが、「出来上がって実際に光を灯してみるとそこまで気にならないから大丈夫」とのことで、安心です。
さて、穴あけも順調に進んでいき、次は一番大きいピンクの丸を空けていきます。
穴が空いた時の反動が一番大きく、勢いよく空けるとスポっと沈みます。
大きい刃は初心者だと扱いづらいという意味が実感できました。
すべての丸を空け終わったら、仕上げでヤスリをかける作業へ。
電動ヤスリは3段階の強さがあり、穴あけ作業で出来た木の突起や凹凸を綺麗にならしていきます。
竹の表面に電動ヤスリを数回滑らせて、突起や凹凸がとれたら完成!!
はじめのうちは反動にビビりまくりでしたが、徐々に慣れていき、結果的に事故なく綺麗に仕上がりました。
下記はレクチャーしていただいたワークショップ「Bamboo lantern workshop」の公式インスタグラムで、実際に明かりを灯した竹灯籠も見れるの覗いてみてくださいね。
Bamboo lantern workshop【公式Instagram】
竹灯籠作りの最中にはヨリドコ小野路宿にあるカフェ「キッチンとりまぎ」で日替わり店長をしていたRamita Coffeeさんのコーヒーを体験後にいただきました。雑味やエグミを取り除いたクリアな飲み心地が自慢の自家製焙煎コーヒーで、苦みが少なく、普段ブラックコーヒーを飲まない私でも美味しくいただけました。インストラクターの円城寺さんお手製のジンジャーはちみつケーキとの相性抜群!
Ramita Coffee 【公式Instagram】
竹灯籠作りを体験した後は、集会所の隣にある“シルク工房”や、裏山に生い茂る“竹林”、ヨリドコ小野路宿の隣に建つ”小野路宿里山交流館”を見学。
昨年の夏から稼働しているシルク工房では、ちょうど先週末くらいに蚕が繭をつくったということで、回転蔟(まぶし)にびっしり繭が並んでいて、小学校の理科の授業で蚕を育てた記憶が蘇り、懐かしい気持ちになりました。
ちなみに、繭は糸取りやアートの素材として活用されているようです。
ヨリドコ小野路宿の裏山は竹林となっており、竹灯籠作りに用いた竹もこの竹林から切り出しています。
ちなみに、この竹林は2020年秋にヨリドコ小野路宿がオープンするまでは放置されていましたが、竹灯籠作りをレクチャーしていただいたワークショップの円城寺さんが竹を切り整備していきました。
今では、竹林の中で篠笛を聴く“篠笛コンサート”の会場としても使われているんです。
ヨリドコ小野路宿の隣に建つ小野路宿里山交流館は、江戸時代から明治にかけて旅籠として賑わっていた歴史があります。
趣のある館内には地元産の新鮮な野菜や雑貨・工芸品などが売られていました。
里山コロッケやマスカットサイダーなど、飲食物も販売されているため、帰りのバスの待ち時間に足を運んでみてはいかがでしょうか。
今回、竹灯籠作りをレクチャーしていただいたBamboo lantern workshopの円城寺さん。
20年の末に小野路宿の理学療法士の方に出会って竹林が手つかずで放置されていたことを知り、ワークショップで使う竹の調達も兼ねて、遊びに来る感覚で毎日のように竹切りに通っていたそう。
現在では、前述した篠笛コンサートなどのイベントを開催できるほど綺麗に整備されています。
今回はヨリドコ小野路宿にて竹灯籠作りを体験してきました。
ワークショップの円城寺さんが丁寧に教えてくださるため、初心者の方でも安心して取り組めます。
手先が器用な方は、最初から難易度の高いデザインに挑戦してみてもいいかもしれません。
“強制ではなく、元気な方が自らの意思でやってきて地域の方々と繋がり、発展させていく”
そんなヨリドコ小野路宿の思いが感じられる貴重な体験でした。
都心部からも近く、思いついた時にすぐ行けるため、少しでも気になる方はぜひ足を運んでみましょう!
ヨリドコ小野路宿