【瀬戸芸2025】瀬戸内国際芸術祭2025 夏会期の見どころや日程を徹底解説
2025/06/05

2025/07/31
「瀬戸内国際芸術祭」は、瀬戸内の島々を舞台に、3年に1度開催される現代アートの祭典。国内外から約100万人が訪れる日本を代表する国際的な芸術祭です。春・夏・秋の3つのシーズンに分けて開催されるため、季節ごとに瀬戸内の魅力が体験できます。2025年は、夏会期に「志度・津田エリア」「引田エリア」、秋会期に「宇多津エリア」が新たに加わり107日間の開催。瀬戸内の自然、歴史、地域文化、生活にインスピレーションを受けた国内外のさまざまなアーティストによる作品を巡りながら、地域の人々や美しい景色に出会えるのが醍醐味です。本記事では、瀬戸内国際芸術祭2025の“秋会期”の見どころや日程を徹底解説します。
この記事の目次
目次を開く ▼
美しい自然と人間が交錯し交響してきた瀬戸内の島々に活力を取り戻し、瀬戸内海が地球上のすべての地域の「希望の海」となることを目指している瀬戸内国際芸術祭。期間中に展示される作品の多くは開催地の住民とともに制作され、地域の歴史や文化を反映した作品や地域資源を活かした作品などが展開されます。船や電車で移動しながら美しい景色を堪能したり、地域の人々と交流を深めたりとさまざまな体験を通して、新たな発見と感動を味わい、より深く芸術を楽しめる祭典となっています。
瀬戸内国際芸術祭は、2006年に香川県庁が「ベネッセアートサイト直島」プロジェクトと連携して計画が開始され、2010年7月19日に第1回が開催。香川の直島、豊島、小豆島、高松港などが会場となりました。
コロナ後初、6回目の開催となる瀬戸内国際芸術祭2025では、より多面的に瀬戸内の魅力を伝え、地域の活力につなげることを目的に、瀬戸内海の島々に新たに香川県側の沿岸部「志度・津田エリア」「引田エリア」「宇多津エリア」が加わり、全17エリアで展開。作品数は過去最大の256点、イベント数は20件、作家・団体216組で37の国と地域が参加しています。
秋会期は10月3日(金)~11月9日(日)の38日間。
【全会期】直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、高松港エリア、宇野港エリア
【秋会期】本島(ほんじま)、高見島(たかみしま)、粟島(あわしま)、伊吹島(いぶきじま)、宇多津(うたづ)エリア
全会期開催の瀬戸内海の島々9エリアに香川県側の沿岸部の5エリアが加わり、全14エリアで展開。
【アクセス】
全会期エリアの各島へは、高松港を拠点に船でアクセスするのがおすすめ。
秋会期エリアの各島へは四国側の港から、それに加えて本島へは岡山側からも船が出ています。
また、本島、高見島、粟島をつなぐ船も出ていますので、こちらを利用するのも良いでしょう。
秋会期エリアは香川県の西側にまとまっているので、併せて訪れるのがおすすめです。
【料金】
作品ごとに鑑賞料を支払うこともできますが、「作品鑑賞パスポート(1シーズンパスポート4,500円)」を利用するのがおすすめです。
瀬戸大橋の西側に位置する塩飽諸島(しわくしょとう)の中心で、丸亀市に属する本島は、かつて塩飽水軍の本拠地として栄えました。腕利きの船乗りたちは造船技術を活かし、のちに宮大工や家大工へ転身。塩飽大工として名を馳せ、現在も漆喰塗りの白壁やなまこ壁、千本格子の窓をあしらった町並みから、伝統的な技術を体感できます。
笠島集落は香川県で唯一、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、重要文化財が多く残されています。本島を含む瀬戸内備讃諸島の花崗岩と石切り技術は、日本の建築文化を長く支えてきました。石切り場が多く存在し、古くは大坂城築城の際、この島から切り取られた石を船で運んでいたと伝えられています。
<アクセス>
高松駅から丸亀駅までJRで約40分、丸亀駅から丸亀港まで徒歩約6分、丸亀港から本島へはフェリーで約35分または旅客船で約20分。
岡山駅から児島駅までJRで約25分、児島駅から児島観光港まで徒歩約5分、児島観光港旅客船で約30分。
展示は泊(とまり)・甲生(こうしょう)エリアと笠島(かさしま)エリアに分かれており、両エリア間の移動にはバスまたはレンタサイクルが便利。笠島地区の歴史的な町並みを散策する際は、徒歩がおすすめです。
本島では屋外作品3点、屋内作品10点の展示、2件のイベントが予定されています。
屋内展示の開館時間は9時30分~16時30分。
石井章「Vertrek「出航」」
往年の航海を思わせる鋼の彫刻。日本で初めて太平洋を往復した咸臨丸には、塩飽諸島出身の船員が多く乗船していたという。これにちなみ、帆を上げ宙に浮く咸臨丸の彫刻を設置した。
村尾かずこ「漆喰・鏝絵かんばんプロジェクト」
往年の航海を思わせる鋼の彫刻。日本で初めて太平洋を往復した咸臨丸には、塩飽諸島出身の船員が多く乗船していたという。これにちなみ、帆を上げ宙に浮く咸臨丸の彫刻を設置した。
眞壁陸二「咸臨の家」
様々な絵画の文化を超えてつくる家。咸臨丸の水夫だった横井松太郎氏の生家が会場。江戸時代の杉戸絵やモスクのタイル画、教会のモザイク画などを発想の原点にした多様で色彩豊かな空間を制作。
ジャッガイ・シリブート「ディスパッチ」
瀬戸内海の島々を訪問するなかで「喪失と再生」というテーマにたどりついた作家は、幟のような大きなタペストリーを制作し古民家に設置。素材となった衣服や小物は、本島をはじめとする地域住民から集めたもので、「後世に何を残したいか」「いちばん大切な記憶は」という作家からの問いに対する住民のメッセージが、作家の手刺繍によって施されている。季節、生命の循環やその儚さを反映するとともに、個人史を繰り返し語り、次世代に伝える。
ツェ・スーメイ「Moony Tunes」
かつて産地だった石をモチーフに旧家に直径2m超の円形大理石と赤い糸で吊った火山岩を設置。「石と月」「海と宇宙」の関係を暗示。
アリシア・クヴァーデ「レボリューション/ワールドラインズ」
伝統建築の中の特異な空間と宇宙。塩飽大工の建てた建物の中で柱や梁、畳や建具のもつ均整を利用し、残された備品も使用して、実像と虚像が織りなして展開されるインスタレーション。また大阪城築城で石を供出したこともある本島の石を使い、ステンレスのリングとともに惑星の軌道をイメージさせる作品を発表。欧州出身の作家の空間、時間、科学そして哲学の概念が、日本の伝統的な建物の中で展開される。
アレクサンドル・ポノマリョフ「水の下の空」
風で揺れる、砂をまとった船。作家は島で漁師の重労働や造船技術を知り、また文化をかたちづくった時の流れを感じたことで、和船を思わせる立体作品を制作。船底には古い網やロープがもつれ合い、幻想的な町のようなレリーフに。
藤原史江「無二の視点から」
「路傍(ろぼう)の石」も地球の長い歴史を体現する証人。石切り場にあった石を用いて、石の視点から見た風景を描く。石たちが文字どおり身を粉にして、自らの色と硬さで描いた瀬戸内の現在が黒いサンドペーパーの上に現れる。描画によって擦り減った石も同時に展示され、瀬戸内で産出される多様な石の個性も楽しむことができる。
川島大幸「SETOUCHI STONE LAB」
デジタルと伝統、二つの技術を用いた石彫作品。備讃瀬戸(びさんせと)に特徴的な石切り場の遺構やこの地域で育まれた石切りの技術、そこから派生した産業や生活文化から着想を得て、デジタル技術と伝統的な石彫技術を用いて複数点の作品を制作し、笠島のまち並保存地区内にある旧家に設置する。
コタケマン「うみのえまつり」
今回は、海、島、土地、人、祭り、伝統についてリサーチし、島の人々を巻き込みながら、場所と行為に色をつける。海を感じられる場所で自然にもまれながら大きな絵を描く。
エカテリーナ・ムロムツェワ「House of Shadows(影の家)」
空き家全体を使ったインスタレーション。木彫りの彫刻、人形、絵が描かれたプラスチックシートなど、部屋ごとに異なるオブジェが回転し、布や紙の上に影をつくり出す。またその影と連動して、島民から集めた子守唄や島で録音した鳥のさえずりなどの夢想的なサウンドが響く。離島という地域性を持つ本島や、島を訪れる人々が思い描く夢のような風景との狭間に生まれる、集合的な明晰夢(lucid dreaming)としての空間をつくり出す。
筧康明「Echoes as Air Flows」
志度・津田に呼応した作品に呼応。鑑賞者の行為やその時の自然現象がテクノロジーと組み合わされ、遠隔地へ届き、体験できるネットワークインスタレーション。
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
丸亀市ゆかりの画家・猪熊弦一郎の作品を所蔵する美術館。
「大竹伸朗展 ニューニュー」以来同館では12 年ぶりとなる、大竹の大規模個展を8月から11月に開催。「網膜」シリーズの新作や未公開作を中心に、作家の現在地と今後の展開を世界に向けて発信する。
「平家物語 REMASTER」
開催日:2025年11月2日(日)15時~
料金:前売り2,000円/当日2,500円(パスポート提示で2,300円)/小高生1,000円
開催場所:木烏神社・千歳座
木ノ下歌舞伎主宰の木ノ下裕一と、サラダボール主宰・四国学院大学准教授・演出家の西村和宏による演劇作品。能や歌舞伎で上演されてきた平家物語を、現代にも通じる群像劇として描き出す。
切腹ピストルズ「瀬戸内神出鬼没」
開催日:2025年11月1日(土)~3日(月)、11月8日(土)・9日(日)
料金:無料
開催場所:宇多津、本島、粟島、 伊吹島、観音寺市街、 四国村ミウゼアムほか
島の港や古い町並みに現れ、練り歩きを行う。11月8、9日には四国村ミウゼアムの古民家の中で、隊員による下駄の鼻緒の挿げ替えワークショップや人相書きなどの商店を展開する。
高見島は、多度津町の北西の沖合約7.5kmに浮かぶ円錐形の島。数十人が暮らしています。平地が少なく、険しい斜面に家々が階段状に建ち並び、石垣が自然石の乱れ積みでできているなど、島独特の佇まいが残っています。これらの多くは江戸時代に建築されており、塩飽大工として活躍した島民の技術を物語るものとなっています。また、かつては除虫菊の生産で栄え、1960年代に作付面積のピークを迎えましたが、現在はほとんど生産されていません。
<アクセス>
多度津駅から多度津港まで徒歩で約15分、多度津港から高見島へはフェリーで約25分(大人500円)。
※岡山(真鍋島)から佐柳島を経由して高見島に入る航路もあります(毎週土曜に1便のみ)。
島内は自転車や車の乗り入れができないため、移動手段は徒歩のみ。急な坂道が多いので、歩きやすい靴がおすすめです。また、島内には食料品店や自動販売機がありません。
屋外作品1点、屋内作品14点 の展示を予定。
屋内作品の開館時間は10時10分~16時30分。
中島伽耶子「時のふる家」
カットしたアクリル板を通して光が古家の内部に鋭く入り、室内を照らす。刻々と変化する光は家を暴力的に貫通することで、時代の流れに翻弄される島の姿を浮かび上がらせる。
村田のぞみ「まなうらの景色2022」
古民家の中で、痕跡から家の記憶を思い出すように細いステンレス線を無数につなぎ合わせて制作されたインスタレーション作品。まぶたの裏を意味する「まなうら」という言葉には、かつてこの家が見た姿や景色、そして未来について想像するための空間になればという作家の願いが込められている。島を取り囲む荒々しい海と静寂な海という対照的な存在がテーマになっている。
藤野裕美子「過日の同居」
高見島で廃村となった板持地区への取材・リサーチを繰り返しながら、2019 年から継続的に制作している作品。今回は民家の1階部分に新展開を予定。作家は制作当初より島と向きあい続けており、2022年から3年経った今、新たな視点・感覚と世の中でとめどなく起こる変化を落とし込んだ制作を行う。
小枝繁昭「はなのこえ・こころのいろ2025/除虫菊の家」
高見島で出会った花々をテーマに、写真、襖絵、陶製オブジェとしてカラフルに表現。「見ること」と「感じること」を行き来しながら制作する作家が、写真とペインティングを組み合わせた独自の制作手法によって、花を見る瞬間の眼差しについて問いかける。今回は、3部構成の新展開で高見島の花き栽培の豊かな歴史を見せる。
EAT&ART TARO「エイリアンフード 島の外来種」
食をテーマにしている作家は、芸術祭などで人口の少ない過疎地に多くの人が集まり食事をする状況に違和感を覚えてきた。地域を活性化させる一方で、バッタの大群が来たときのような不均衡を生む暴力的な面を感じることがある。今回は高見島に飲食スペースを設け、島でとれた外来植物などでお茶やカレーを提供し、食べてもらうことで、島のことや食料バランスについて来場者に考えてもらう。また会場には島の植物分布や採集量、島の人口、食事事情についてのリサーチも展示する。
西山美なコ「~ melting dream ~/高見島パフェ 名もなき女性(ひと)達にささぐ...」
屋根裏部屋に現れた、時間と共に変容してゆくインスタレーション作品。島の廃屋でみつけたグラスや持ち込んだ家具に、砂糖で制作した350個あまりの薔薇の彫刻がパフェのように盛られ、時間とともに融けて朽ちていく。砂糖の薔薇は甘い夢がとろけるようなイメージと同時に、時が強要する抗い難い現実をも表現している。作家は、この島でかつて生活して男性を支えていたであろう女性の時間にも焦点を当てた。
内田晴之「Merry Gates」
高見港に設置した、高さ約3m、横幅7mの屋外彫刻作品。あちらとこちらをつなぐ境界として、磁力を内蔵した三角の土台に乗ったパーツは、風とともに上下に揺れて来訪者を迎える。「いつもの見慣れた景色から一歩門をくぐれば“違う場所”、幸運な方向に人々が向かうための一歩になるように」という作家の願いがこめられている。
保良雄「タイトル未定」
大室佑介「タイトル未定」
淺井裕介「タイトル未定」
BankART1929 + PH STUDIO「タイトル未定」
中谷ミチコ「タイトル未定」
谷本真理「タイトル未定」
橋本雅也「タイトル未定」
泉桐子「タイトル未定」
粟島は、瀬戸内海のほぼ中央、香川県西部に位置する荘内半島の沖合に浮かぶ島。潮の流れにより、3つの島がスクリュー型に砂州でつながった特徴的な形をしています。
江戸時代には北前船の寄港地としても栄え、1897年(明治30年)には、日本初の国立海員学校が設立され、多くの船乗りを輩出してきました。
白砂の砂浜の夕日が美しく、幻想的な青い光を放つ「海ほたる」も見どころのひとつ。観察シーズンは5月頃から始まり、特に秋口が見ごろです。
<アクセス>
高松駅から詫間駅(たくまえき)へJR特急で約40分、詫間駅から須田港までバスで約20分、須田港から粟島港まで旅客船で約15分(大人330円)。
展示は粟島中心部にまとまっているので、徒歩で巡れます。
屋外作品1点、屋内作品7点に、1件のイベント開催が予定されています。
屋内作品の開館時間は10時~16時30分。
日比野克彦「瀬戸内海底探査船美術館プロジェクト ソコソコ想像所」
陸とつながる海底を想像して地球を想う。プロジェクトの拠点《ソコソコ想像所》では、海底から引き揚げられたものを見て、海の中に思いを巡らせることができる。
日比野克彦「瀬戸内海底探査船美術館プロジェクト Re-ing-A」
粟島沖の海底に沈んだ船から引き揚げたレンガで制作した象の彫刻≪Re-ing-A≫を、今回は陸上に展開する。
エステル・ストッカー「思考の輪郭」
未来的な空間が子供たちの遊び場に。旧粟島幼稚園でのインスタレーション。中庭へのトンネルを白く塗り、うねりのある黒線で空間を構成。楽しむ子供たちの姿はかつての幼稚園のにぎわいを想起させる。
柏木崇吾「粟島の記憶を染める」
自然環境、漂流物、生活や歴史を紡ぎ直し、島を「生きたキャンバス」として再解釈する。“粟島の「痕跡」としての素材” 、“時間の流れの可視化”、“島と人々の関係性を結び直す”という3つのテーマで展開。
タオリグ・サリナ「航海する記憶の船 ―ノマドギャラリー in 粟島」
粟島の元海員たちが語る航海の体験や見聞を、蓄音機を通じて再現するインスタレーション。蓄音機から流れる元海員たちのエピソードや当時の流行音楽を聴きながら、航海を追体験できる。
青野文昭「瀬戸内粟島漂流古家脳海図像・2025(仮題)」
「なおす」という営みへの興味から「修復」をコンセプトに破損物、廃棄物を使い、その欠損部分や使われた痕跡を手掛かりに作品制作する作家が、島内の空き家と使わなくなった家具や日用品、乗り物の残骸などで島の記憶をたどる作品を展開する。本作では特に、島の生活の歴史において重要であり続けた「船」の断片を使うことで粟島に向きあう。
トゥアン・マミ「《ボーダレス》ベトナム移民の庭(No.11)」
アートを、環境・プラットフォーム・状況としてとらえる「パフォーマティブ・インスタレーション」として展開する作家。今回は、島の歴史や物語を聞き集めたり、市内で生活するベトナムの人々についてフィールドワークを行い、人々が集うことができるスペースを構想する。
グエン・チン・ティ「Awashima, Fall」
島に住む元船員たちから聞いた当時の交信手段や島の生活音から着想を得た作家は、築100年を超える旧郵便局を、様々な楽器が音を響かせる小劇場として再生する。島民や訪れた人たちから募ったメッセージをモールス信号に変え、それを自動演奏することで、楽器が郵便局員さながらに人々をつなぐことを構想する。
切腹ピストルズ「瀬戸内神出鬼没」
開催日:2025年11月1日(土)~3日(月)、11月8日(土)・9日(日)
料金:無料
開催場所:宇多津、本島、粟島、 伊吹島、観音寺市街、 四国村ミウゼアムほか
島の港や古い町並みに現れ、練り歩きを行う。11月8、9日には四国村ミウゼアムの古民家の中で、隊員による下駄の鼻緒の挿げ替えワークショップや人相書きなどの商店を展開する。
「粟島」周辺の観光情報 「三豊地域」
伊吹島は、観音寺港の西方約10kmに位置する島。台状の島で、周囲は急傾斜の崖となっており、台地には平地が開けています。パッチ網漁により、収穫生産された良質な煮干し「伊吹いりこ」は、漁獲から30分以内に島の加工場に送られ、すぐに煮沸し機械乾燥にかけられます。そして翌日に出荷されるため、鮮度の高さが特徴です。また、日本で唯一、平安時代の京言葉のアクセントを残すなど、独特の文化が受け継がれています。
<アクセス>
高松駅から観音寺駅まで特急で約45分、観音寺駅から観音寺港までバスで約6分、
観音寺港から伊吹島真浦港まで高速船で約25分(大人600円)。
海上タクシーとチャーター船も利用可能です。
島内は自転車や車の乗り入れができないはため、移動手段は徒歩のみ。急な坂道が多いので、歩きやすい靴がおすすめです。展示は島中心部にまとまっています。
屋外作品3点、屋内作品4点、3件のイベント開催が予定されています。
屋内作品の開館時間は9時~16時30分。
みかんぐみ+明治大学学生「イリコ庵」
2013 年に《伊吹しまづくりラボ》を手がけたみかんぐみが、2016 年に建設した「島の小さな集会所」。建築素材に、イリコの乾燥に使われていたせいろなどを使用している。鑑賞者の休憩所としても利用できる。
栗林隆「伊吹の樹」
伊吹島にはかつて「出部屋」という出産前後の女性たちが集団生活し、養生する場所があった。命の誕生の場であったその跡地に、作家は生命の樹を制作。子宮に見立てた大樹の中を覗くと、一面の鏡が万華鏡のように島の景色を映し出す。母体からこの世界に生まれたことを暗示させる。
アレクサンドラ・コヴァレヴァ&佐藤敬/KASA「ものがみる夢」
伊吹島の暮らしを支えていた民具を収集し、島の風景《海の庭》ほを現した作品。作家は漁業が盛んな伊吹島の漁網を幾層にも重ねて海に見立てた。漁網の海は窓の外の瀬戸内海の景色へと続き、網のほつれや縫った跡が、波のように陽を浴びて煌めく。
ブンポール・ポーティザン「最後の避難所」
地域は人口流出による後継者不足で、文化や伝統が失われる危機に瀕している。竹と金属でできた神輿のようにも見えるオブジェは、大都市へ移住した新世代の島民に着想を得たもの。竹は団結と協力の精神を反映し、金属は「家」や漁師の道具を象徴する。金属の網は堅固でありながら透けて見え、存在しながらも忘れ去られつつある文化を示唆する。本作は、人口減少と移住による文化の喪失という緊急課題について鑑賞者に考えさせ、地域社会が持つユニークで豊かな伝統を、消え去る前に大切にし継承することの重要性を呼びかけている。
ジョンペット・クスウィダナント「反響」
児童がいなくなった学校で、かつて子供たちが使用していた衣装を再利用し、当時の活気を感じさせるマーチングバンドを再現。まるで幽霊のマーチングバンドが演奏しているかのような空間を生み出す。地元のお年寄りの記憶と減少する若者たちがつながることを目指す。
岡村桂三郎「西冥の魚」
伊吹島の調査から着想を得た作品。屏風状のパネルには巨大な魚や大量の小さな魚たちが波間の魚群となって描かれる。厚く塗られた下地に線を彫り込み、ぶちまけられた岩絵の具は鱗模様を生み出し、ダイナミックな力強い刻線によって豊穣な生命力が鮮やかに表現される。
オラフ・ホルツアプフェル「野生の獲物」
ドイツ童話『漁師とその妻』をモチーフに、染め・編み・大工という、日本とドイツの3つの職人技術の要素を持つ舞台装置から構成されるインスタレーション。会場となる古民家や伊吹島の歴史と相まって、ひとつの空間をつくり出す。
Come and Go in 伊吹島
開催日:2025年10月18日(土)①14時~ ②16時~、19日(日)14時~
料金:前売り500円/当日1,000円(パスポート提示で800円)/小中高生500円
開催場所:伊吹島中心部
潮の満ち引きのように繰り返される出逢いと別れ。変化、変転をとめない海のイメージから、宇宙へと広がるダンスパフォーマンスの舞台を瀬戸内国際芸術祭2025秋会期10月、伊吹島につくります。
海のイメージを通して海藻、魚や巨大クラゲに乙姫さまといったユニークなひびのこづえ氏の衣装を纏い、ダンスパフォーマー、俳優、振付家、ふんどしダンサーとしても活躍する五十嵐ゆうや氏がユーモラスに振付、演出。音楽は海を深く強く表現するみずみずしい才能の小野龍一氏が担当。そして、踊るのはオーディションで集まったダンサーたち。瀬戸内海の秋空の下、予測不可能なドラマが生まれます。
よるしるべ2025
開催日:2025年10月31日(金)~11月3日(月)18:00~21:00
料金:無料
開催場所:観音寺市内中心部
観音寺の街や人々の魅力にスポットを当てながら、プロジェクションマッピングなどを用いて街の日常風景に新たな価値を見出す実験的アートイベント。
切腹ピストルズ「瀬戸内神出鬼没」
開催日:2025年11月1日(土)~3日(月)、11月8日(土)・9日(日)
料金:無料
開催場所:宇多津、本島、粟島、 伊吹島、観音寺市街、 四国村ミウゼアムほか
島の港や古い町並みに現れ、練り歩きを行う。11月8、9日には四国村ミウゼアムの古民家の中で、隊員による下駄の鼻緒の挿げ替えワークショップや人相書きなどの商店を展開する。
「伊吹島エリア」周辺の観光情報 「観音寺地域」
宇多津町は、瀬戸内海に面した香川県のほぼ中央にあり、県内で最も小さな町です。一方、人口は約18,000人と人口密度が県内で一番高い町でもあります。瀬戸大橋の開通を契機に再整備された「新しい町並み」と、神社仏閣や町家など、歴史や伝統を感じられる「古い町並み」が、総面積約8.10平方キロメートルのなかで、コンパクトに融合しています。
また、宇多津町は約300年前から受け継がれる伝統の手法「入浜式」の塩づくりにより、かつて日本有数の「塩のまち」として栄えました。現在は入浜式塩田(いりはましきえんでん)を復元し、昔ながらの塩づくりを継続しています。
<アクセス>
高松駅から宇多津駅までJRで約20分。
宇多津エリア内は芸術祭シャトルバス、レンタサイクル、徒歩で移動できます。秋会期中は、JR宇多津駅、宇多津町役場、臨海公園を周回する芸術祭シャトルバス(無料)が毎日運行。平日は約30分に1本、土日祝は約15分に1本の間隔で走っています。
そのほか、宇多津町コミュニティバス(大人200円)も利用できます。
屋外作品1点、屋内作品3点に2件のイベント開催が予定されています。
屋内作品の開館時間は10時~20時です。
西澤利高「色のない翼の彼方」
水族館の水槽などで使われる、約幅210×高さ130×奥行き80cmのアクリル板2枚を、作家は手作業で削り有機的なかたちにし、磨いて透明に仕上げた。コンセプトは「水平線への記憶と距離」。遠くだと思う使者はすぐそばにいる。その使者は遠くの者に近さを運ぶ。そんなイメージを無色のアクリルと、はるかに広がるこの場の風景で表現する。
ゼン・テー「The Imperative Landscape(2025)」
作家は日本とシンガポールにおける塩の精神的重要性について探求する。フィールドワーク、インタビュー、地元のコミュニティとのワークショップを通じて、日常的な儀式や宗教的実践、神聖な儀式における塩の役割と分析する。
これらの神社は、仏教や神道の伝統において中心的な役割を果たし、神聖な物を納める場所であり、より大規模な寺院とつながっている。
今回のインスタレーションでは、神社の内部から周囲へと塩で縁取られた空間を広げることで、住民や訪問者が没入的で内省的な空間を通じてその神聖さを体験できるよう招いている。インスタレーション内の瞑想席は個人の内省を促し、開放的なデザインによって神社をより身近 なものとし、その文化的意義を復活させる。
※「伊勢之宮神社」「八幡神社」「旧鈴木理容店」の3カ所で作品を展開。
山本基「時を紡ぐ」(ときをつむぐ)
「時を紡ぐ」と題した本作は、塩で描かれた無数の泡のような形が連なるインスタレーション。これらの形状は、浜辺に打ち寄せる波、漁網、潮の流れを想起させるとともに、日々の暮らしや記憶が交差するささやかな瞬間を浮かび上がらせる。一つひとつの泡のようなセルには、大切な人との時間や日常の思い出が込められ、それらが繋がり合うことで、時間の流れや記憶が響き合う光景を生み出す。
またこの作品は、宇多津という港町が持つ製塩業の 歴史や「網の浦」としての文化的背景を映し出している。
昭和初期に建てられた旧堺邸の和室と茶室という異なる空間に展開され、全体を俯瞰することで一つの網のように繋がる構成が浮かび上がる。鑑賞者は、網に包まれるような感覚を通じて、宇多津の歴史、自らの記憶、そして時間との新たな関係性を体験する場となるでしょう。
シガリット・ランダウ「Capacity」
瀬戸内海に面する美しい宇多津の町の米倉の中で、作家の出身国・イスラエルに接する死海の塩で結晶化された漁網を展示する。
天井から吊るされた漁のネットは、イスラエル混住都市のひとつ、ヤッファの漁師たちから廃棄された漁網を購入し、死海で結晶化させたもの。それは地中海から瀬戸内海までの長く曲がりくねった線を描く。作家にとって、生命が存在しない死海の塩湖はまるで月への訪問のようであり、普遍的な(非)場所、ユートピアあるいはディストピアのようでもある。
※「こめっせ宇多津」「旧三好商店」の2カ所で作品を展開。
塩サミット
開催日:2025年10月5日(日)※詳細は公式HPを要確認
開催場所:ユープラザうたづ(香川県宇多津町)
塩にえんのある人々が集まり、塩について語り尽くす大集会です。塩の研究者をはじめ、塩業関係者、さらに塩が名前につく人々や、塩尻、塩竈のように塩がつく地名の人々を招き、あらゆる角度から「塩」について語り尽くす、世界初の試みです。
切腹ピストルズ「瀬戸内神出鬼没」
開催日:2025年11月1日(土)~3日(月)、11月8日(土)・9日(日)
料金:無料
開催場所:宇多津、本島、粟島、 伊吹島、観音寺市街、 四国村ミウゼアムほか
島の港や古い町並みに現れ、練り歩きを行う。11月8、9日には四国村ミウゼアムの古民家の中で、隊員による下駄の鼻緒の挿げ替えワークショップや人相書きなどの商店を展開する。
瀬戸内国際芸術祭2025の秋会期の見どころや日程を徹底解説しました。秋会期は香川県の西側にまとまっているので、あわせて訪れるのがおすすめ。公式サイトや公式アプリで、船やシャトルバスなどの運行時間や便数を確認し、時間に余裕をもってスケジュールを立てることが大切です。混雑情報や運行状況などをリアルタイムで確認できるので、上手に活用しましょう。
地域の歴史や文化、風土にインスピレーションを受けて制作された作品を通して、瀬戸内の魅力を知ることができます。また、実際に地域の人々と接し、自然に触れることで、さらに作品への理解が深まるでしょう。秋ならではの自然、秋会期エリアならではの瀬戸内の魅力を五感で楽しんでください。
[参照] 「瀬戸内国際芸術祭2025」公式サイト
参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。
記事企画・監修:旅色編集部 なかやま
ライター:kukies