
2025/12/11
どこかへ旅行に行く際、計画してからいくのも良いのですが、思い立ったときに“心癒やせる場所”にふと行きたくなることはないですか? そんなとき、私がおすすめしたい旅行先が「静岡市」です。
東京から新幹線を使えば、わずか1時間。「富士山、綺麗だなー!」と思っていたらすぐに着いてしまうほどアクセスが良いのに、ここは、都会の喧騒とは無縁の穏やかな場所なんです。
そんな静岡市の魅力を体感するプレスツアーに、先日参加してきました。
この記事の目次
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お茶の木
皆さん、静岡市といえば何を思いつきますか?
静岡って東西に長くて、新幹線の駅はたくさんあるけど、何が有名なんだっけ? 恐らくそんな方が多いのではないでしょうか?
しかし、実は静岡市は、驚くほど魅力がいっぱい詰まった土地なのです。
その中でも、お茶をフックにしたツアー「お茶と静岡グルメに満たされる癒やしの旅」をご紹介します。
今の静岡観光、本当に「穴場」かもしれません。
11月1日が「お茶の日」ということを私は初めて知りました。静岡茶の祖といわれる聖一国師(しょういちこくし)の生誕にちなんだ日だそうです(11月11日が「ポッキーの日」なので、11月1日は茶柱をイメージすると覚えやすいかもしれません)。今回は、そんなお茶に縁があり、お茶のまちと呼ばれる静岡市で、ほかにはないお茶のスポットを体験していきたいと思います。

煎茶
お茶ができるまでには、茶農家さんが作ったお茶を茶市場で買い手である茶商さんが取引し、仕上げて販売店に卸します。
静岡市は茶農家さんが851軒と全国2位。茶商さんの数は約100軒と、全国有数を誇り、静岡市はお茶が集まる場所といえます。また緑茶の支出金額、購入数量ともにほぼ1位を毎年獲得していて、まさにお茶のまちなのです。
(参考・出展:農林水産省 2020年農林業センサス、家計調査)

公衆電話のプラモニュメント
旅のスタートはJR静岡駅。新幹線のホームに降り立つと、どこか空気がゆったりしているのを感じました。駅構内には、公衆電話と一体化したユニークなプラモニュメントがあります。実は静岡市のプラモデルの出荷額は全国シェア80%! 「タミヤ」や「バンダイホビーセンター」など、誰もが一度は聞いたことのあるメーカーの工場もこの地にあるのです。街のあちこちに、こうしたモニュメントが点在しているそうなので、探しながら歩くのもこの旅行の楽しみのひとつですね。
駅前でまず目に飛び込んできたのは、徳川家康公と今川義元公の銅像です。幼少期を人質として過ごした地にも関わらず、家康公は晩年もここ静岡市で暮らしていました。静岡市がいかに魅力的な場所だったのか、想像が膨らみます。
駅から歩いて向かったのは、徳川家康公が晩年を過ごした駿府城の跡地に広がる「駿府城公園」。その一角にある「紅葉山庭園」が最初の目的地です。名前の通り、訪れた11月は木々が赤や黄色に色づき始め、緑とのコントラストが美しかったです。
紅葉山庭園茶室では、美しい景色を眺めながら自分で抹茶を点てられる、お茶の体験プログラムがあります。「お茶を習ったことがないから…」なんて心配はご無用。スタッフの方が丁寧に教えてくれるので、誰でも気軽に挑戦できます。
私が案内されたのは「雲海」というお部屋。正座が苦手な方でも安心な椅子席が用意されていて、リラックスした気持ちで楽しめます。自分でシャカシャカと点てた抹茶は、格別な味で、季節の美しい和菓子と一緒にいただくと、心の中からすーっと癒やされていくような感覚になります。
体験後、奥にある本格的な茶室「静月庵」も見せていただきました。四畳半の空間は、静寂に包まれ、まさに「わびさび」の世界。日本の伝統的なおもてなしの心を感じられる、凛とした空気が漂っています。建築物フェチの私は、障子の細やかな組み方や計算された比率の空間にうっとり……。秘密の場所のような感覚でとても居心地が良かったです。
紅葉山庭園 立礼席
お茶で心が満たされたら、次はお腹を満たす番! 静岡グルメといえば、やっぱり「桜えび」は外せません。そこで、桜えび漁で有名な由比へ向かいました。
桜えびは、日本では駿河湾でしか商業漁獲されていない、とても貴重な海の幸なのです。資源を守るため、春(3月下旬~6月上旬)と秋(10月下旬~12月下旬)の年2回しか漁が行われません。そんな貴重な桜えびを、心ゆくまで味わえるお店があるんです。

ライダーにも人気の井筒屋外観
やってきたのは、由比川のほとりに佇む大正5年創業の老舗「井筒屋」さん。平日の昼時だからお客さんも少ないだろう、なんて甘い考えはすぐに打ち砕かれました。お店の前にはすでに行列が! 待つのが苦手な方は、事前に予約をしてから行くのがおすすめです。
席についてすぐに運ばれてきたのは、桜えびづくしの「駿河定食」。
運ばれてきたかき揚げを見て、まずその厚みにびっくり! お店の方に「箸で割らずに、ぜひそのままかぶりついてみてください」と教えられ、大きな口を開けて思い切ってガブリ。
サクッ! ふわ~
揚げ物が口の中に刺さるような硬さは一切なく、衣の軽やかな食感のあとに、桜えび特有の香ばしさとふんわりとした甘みが口いっぱいに広がります。
今まで食べてきたかき揚げの概念が、良い意味で覆されました。こんなに美味しいかき揚げ、食べたことはありません。

まぐろと倉沢の根付きアジのお刺身
定食には、もうひとつの絶品「倉沢の根付きアジ」のお刺身があります。
本来は回遊魚であるアジが、栄養豊富な桜えびを食べるために由比の倉沢沖に「根付いて」しまったことから、この名で呼ばれるそう。回遊しないため脂がのり、身が厚くなるのだとか。捌くとお腹から桜えびが出てくることもあるという、なんとも贅沢なアジなのです。
旬は6月頃から8月頃までとのことでしたが、この時期でも口に入れた瞬間にわかる旨味と上品な脂の甘みは絶品でした。帰り際、カウンターでアジのお寿司を追加注文している方を見かけ、思わず「私も!」と叫びそうになったほどです。
井筒屋
美味しい海の幸に後ろ髪を引かれつつ、次はこの旅のメインテーマである「お茶」をさらに深く知るため、静岡市の西部、「奥静岡(オクシズ)」の入り口にあたる本山(ほんやま)地区へ。ここは、静岡のお茶が始まった場所ともいわれる、歴史ある本山茶の産地です。

お子さんが書いた志田島園看板
今回お邪魔したのは、江戸時代から続くという茶農家の「志田島園」さん。いただいたパンフレットには7代目とありましたが、詳しく伺うと、なんと16代目とか! 800年もの間、この地でお茶栽培を営んできたという歴史の重みに、ただただ圧倒されます。
家の裏手にある急な斜面を登ると、目の前には見渡す限りの茶畑が広がっていました。この美しい景観が、長い年月をかけて守られてきたのだと思うと、なんだか胸がじーんとします。

茶畑
さらに少し登った先には、茶畑を見下ろすウッドデッキのテラスがあります。ここでは、お茶の飲み比べをさせていただけるとのこと。この時間帯は、ちょうど夕日が山に沈みかけ、あたりはオレンジ色の光に包まれます。それは、言葉を失うほどの美しさでした。
そんな絶景の中でいただくお茶は、まさに至福の一言です。
• 浅蒸し茶: 旨みがしっかりと感じられる味わい。
• ほうじ茶: 香ばしい香りが心を落ち着かせる。
• 和紅茶: 優しい甘みの中にもしっかりと渋みを感じられるのが特徴。
夕日を眺めながら美味しいお茶とお茶菓子をいただいていると、時間が経つのも忘れ、ずっとここにいたいという気持ちになりました。

志田島園・お茶テラス

左から浅蒸し茶・ほうじ茶・和紅茶
飲み比べをしながら、志田島園のご主人から興味深いお話も伺いました。
「実は緑茶も紅茶も、元は同じお茶の葉からできているんですよ」
発酵させずにすぐに加工するのが「緑茶」、完全に酸化させたのが「紅茶」、その中間が「ウーロン茶」なのだそう。知っているようで知らなかったお茶の知識に、思わず「へぇ!」と声が出ました。産地で直接聞くお話は、何倍も心に響きます。

お茶飲み比べ体験
お茶の奥深さに触れたあとは、お待ちかねのスイーツタイムです! 向かったのは、なんとお茶の専門店「雅正庵」が運営するカフェ。ここでは、静岡のお茶とスイーツのペアリングを楽しむアフタヌーンティー、その名も「するがヌーン茶(ティー)」が楽しめるんです。
私がいただいたのは、抹茶をふんだんに使ったプレミアムなセットで、その内容が、もう本当にすごいんです!
抹茶づくしのアフタヌーンティー内容
• 抹茶ティラミス
• 苺ブリュレ
• 抹茶わらび餅
• 鞠福 濃い抹茶
• 抹茶ソフトクリーム
• 抹茶モンブラン
• 抹茶だんご&もなか
• 抹茶パウンドケーキ
• 抹茶のポタージュ
• 抹茶パスタ ボロネーゼ
• 抹茶のガーリックトースト
これだけのボリュームとクオリティで、1セット5,000円(2名分)。一人あたり2,500円という価格設定に、「本当にこの値段で大丈夫ですか!?」と心配になってしまうほどでした。これもまた静岡の魅力のひとつなのかもしれません。

雅正庵・アフタヌーンティー プレミアム雅
スイーツはもちろん、セイボリー(塩気のある軽食)まで抹茶づくしなのには驚きました。抹茶の生パスタは、ほろ苦さがクリームソースと絶妙にマッチ。ポタージュもガーリックトーストも、お茶の風味がアクセントになっていて、どれもこれも絶品です。
私が特に感動したのは、抹茶ソフトクリームとクレームブリュレ。抹茶ソフトクリームは、濃厚な抹茶の風味の中に、しっかりとしたミルクのコクが感じられるソフトクリーム。そして、パリパリのカラメルを割っていただく、とろりとなめらかなクレームブリュレ。甘くなった口の中を、セットのセイボリーと美味しいお茶がすっきりとさせてくれて、まさに無限ループ! 至福の時間でした。
雅正庵 千代田本店
日が暮れて、旅の締めくくりに訪れたのは、静岡の夜を楽しめるお店「お抹茶 こんどうの食堂」です。あれだけアフタヌーンティーでお腹いっぱいになったはずなのに、美味しいものの前では底なしの胃袋。自分でも驚きました。
静岡の冬の風物詩といえば、やっぱり「静岡おでん」です。真っ黒な出汁で煮込まれた具材に、青のりとだし粉をかけていただくのが静岡流。味がしっかり染みた大根や牛すじは、冷えた体に染み渡る美味しさですよ。
そして、絶対に外せないのが「黒はんぺん」。焼津名物の黒はんぺんをフライにした「黒はんぺんフライ」は、外はサクサク、中はふんわり。魚の旨味が凝縮されていて、お酒のお供に最高です。

黒はんぺんフライ
お酒好きの私が度肝を抜かれたのが、アルコールメニュー2つ。
ひとつ目は、一杯目に頼んだ「ほうじ茶ショット」。ビールにほうじ茶のショットを注ぐスタイルです。「お抹茶ショット」という抹茶を注ぐメニューもあります。よくある抹茶系ビールとは違い、泡の下にほうじ茶や抹茶が沈んで美しい三層に! 飲むのがもったいないくらい綺麗なのです。
お抹茶ショットは最初に抹茶の風味がくるのに対し、ほうじ茶ショットは後からほうじ茶の香りがほのかに薫る新感覚の美味しさでした。
ふたつ目はお茶割。なんとお茶割りのメニューがたくさんあるんです。浅蒸し、深蒸し、ほうじ茶…と、お茶の種類がずらり。こんなにお茶割りで真剣に悩んだのは初めてです。悩んだ末に「浅蒸し茶割」をチョイス。驚くほどすっきりとした味わいで、美味しいお茶で割っているからか、お酒を飲んでいる罪悪感がどこかへ消えてしまそうでした。いくらでも飲めてしまいそうでこれは危険ですね!
東京からわずか1時間。今回の旅行で出会った静岡は、混雑とは無縁で、自分のペースでゆったりと過ごせる、まさに「穴場」の観光地でした。
お茶のルーツを体験し、その奥深さを知り、ここでしか味わえない桜えびやアジといった海の幸に舌鼓を打つ。そして、想像を超える抹茶スイーツのアフタヌーンティーに心を奪われ、美味しい静岡おでんとお茶割りで夜を締めくくる。
オーバーツーリズムが話題になる今だからこそ、静岡のような場所の価値が際立つのかもしれません。心も体も満たされる、美味しい静岡グルメだらけの癒やし旅。次の週末、ふらっと静岡へ出かけてみませんか?きっと、素敵な時間を過ごせるはずです。
参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。
記事企画・監修:旅色編集部 こうの
ライター:こうの