2024/11/20
最近、メディアでも少しずつその名を聞く機会が増えた「おりん」。実は私自身、その名称と物が一致していませんでした。ふと興味をもち、WEBで検索をしてみると、そのほとんどの製造が富山県・高岡市だということを知り、今回「おりん」を知る旅に出てみることにしました。いざ現地に行って話を聞いてみると想像以上に「おりん」が世に広がっていると知れたので、皆さんにもご紹介したいと思います。
この記事の目次
目次を開く ▼
「旅に出て、癒されたい!」ってよく聞いたり言ったりします。しかし、その一方で、駅や空港で旅行帰りと思われる人を見ると、両手に大きな荷物やお土産を持ち、いかにも「疲れた」って表情を見かけることがあります。少ない日数で詰込み型の旅行をしてしまうのが日本人の旅の傾向ですよね。皆さんもそんな経験はないでしょうか。今回はそんな経験をした皆さんに癒され“風”旅ではなく、自信をもっておすすめできる癒し旅をご紹介します。
「おりん」とは、仏壇やお寺で見かける仏具のことです。
「見たことはあるが、名前は知らなかった」という人も多いのではないでしょうか。実は私もそんな一人でしたが、何気なく利用している「おりん」が、さまざまなシーンで活用されているいることを知り、興味を持ち始めたのが今回の旅のきっかけでした。
「おりん」の音色って心地よいですよね? そう感じるのは私だけでなく、共感していただける方も多いのではないでしょうか。その音色は広がりや余韻もあり、思わず聞き入ってしまいます。それを「ゆらぎ」というそうです。また、そのゆらぎの中にはいくつかパターンが存在します。(これ以上は長くなるので、説明はしません)1/fゆらぎには規則性と不規則性などがちょうど良く入り混じっていて、人が耳にすると心地よさや落ち着きを感じるといわれています。
音色はこちらから、ぜひ聞いてみてください。
そんな心地よい音色を高岡では至る場所で聞くことができます。新幹線の新高岡駅やJR高岡駅などでは発車音として観光客を迎えてくれ、市内小中学校では学校のチャイムに採用されています。
今回の旅では「おりん」を製造している2つの施設に訪れました。1件目は金物仏具の国内シェア9割を占める国の伝統的工芸品「高岡銅器」のひとつである「九乗おりん」です。
楽器や、ドア鈴、風鈴など「おりん」をもっと身近に感じられるようなアイテムを豊富にそろえているのが特徴です。高岡駅の発車音も九乗おりんの演奏が利用されています。
ご自身用はもちろんですが、 とてもセンスの良いお土産、贈答品として最近人気を集めており、都内の百貨店でも取り扱いが増加しているそうです。
近年では仏様用だけでなく、ヨガやヒーリングなどでも利用が増加していると聞き、とても驚きました。「おりん」の音色は、リラックス効果や落ち着きを与えてくれるので、体験時により集中した環境作りをサポートしてくれるといわれています。その広がりは国内にとどまらず、世界からも注目を集めているようで、海外での展示会出展も続いているそうです。
もう1つの施設は創業114年の歴史がある「シマタニ昇龍工房」です。特徴としては、より大きな「おりん」の製造を得意としており、工房のインスタグラムでは製造場面を垣間見ることができます。
シマタニ昇龍工房の更新アカウントはこちら
旅色編集部ふかい
実際に見せていただきましたが、大きい「おりん」は豪快な印象を受けますが、とても繊細な作業の連続!
美しい音色と響きを調整する調音作業は職人の勘が頼りで、習得するまでに10年以上の時間を要するそうです。
「すずがみ」とは、金・銀に次ぐ高価な金属である錫(すず)でできた、紙のように薄い金属なのですが、これがとても興味深かったです。
旅色編集部ふかい
金槌で叩くことで模様をつけていくのですが、これが実際にやってみると難しい……。
錫は曲げたり折ったりが自在にできるので、お菓子や食材を置いたり、アクセサリーを置いたりなど用途に合わせて形を変えることができます。サイズも4種類から選べて、体験をしながらお土産にもなる優れものです。きっと夢中になり、あっという間に時間が過ぎてしまうはず。
いかがでしたか? 今回の旅のテーマは「癒し」でした。高岡で受け継がれる職人技術に触れることで、心身ともにリラックスできるスポットを紹介しました。「旅の目的を明確にさせ、それを楽しみに行くんだ!」と、テーマを決めると旅に軸ができ、あれもこれも行こう!が減り、結果的により楽しい旅になるはずです。そんなことを意識して次回の旅の計画を立ててみてください。
参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。
記事企画・監修:旅色編集部 ふかい
ライター:ふかい
旅色編集部ふかい
道の駅「雨晴」や、高岡駅にも「おりん」があり、旅の音として聞くことができます。