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2025/08/18
福井県は約1億3千万年前の白亜紀前期の地層が広く露出しており、フクイサウルスやフクイラプトルなど新属新種を含む恐竜化石が次々と報告されています。国内恐竜化石の8割近くが福井産という統計もあり、世界の古生物学者が注目する一大フィールドです。こうした学術的宝庫を舞台に、親子で“遊びながら学べる”体験型プログラムが急速に充実しています。本記事では、そんな福井で注目のHOROSSに行って体験してきましたので、紹介します。
福井県と言えば恐竜化石の産地として国内外から熱視線を浴びる地域ですが、その理由は単なる“発見数の多さ”にとどまりません。
まず、勝山市から大野市にかけて広がる白亜紀の地層は、肉食・草食の多種多様な恐竜遺骸を高い保存性で残しており、 日本国内で確認されている恐竜化石の実に8割近くがこのエリアから報告されています。例えばフクイサウルスやフクイラプトルなど地元名を冠した新属新種が続々と命名され、福井産の標本が世界的な比較研究の基準(ホロタイプ)になるケースも珍しくありません。
HOROSSAをはじめとする体験施設で子どもたちが見つけた標本が、県立恐竜博物館の研究員により即座にスキャン・解析され、論文データベースに登録される仕組みが確立されています。これにより“観光”と“学術”が相互にフィードバックし、発掘体験がアップデートされ続ける好循環が生まれています。
化石は“偶然”ではなく、いくつもの条件がそろって初めて生まれる地質学の奇跡です。
まず、動物の死骸や植物などが泥や砂の中に埋まります。その後、泥や砂の上に新しい泥や砂が積もり、長い年月をかけて、泥や砂は岩になります。動物の死骸や植物を含んだ岩は大地の変動により、地層として地表に現れ、化石として発見されます。
HOROSSAの発掘エリアでは、子どもたちが“宝探し”感覚で多彩な化石を手にできます。
・シダ植物
・海底にいた生き物の這い跡
・二枚貝 ボシトラ
・ハチノスサンゴ
持ち帰ることができないものもあります。
・脊椎動物の歯、骨、鱗
・形がしっかり残ったアンモナイト
・特定のアンモナイト(欠片含めすべて)
・べレムナイト
・イノセラムスなどの特定の貝
・特定の植物
これらのような研究が必要な化石は持ち帰ることができません。一方でこういった化石を見つけることができるかもしれないと思うとワクワクしますね。
親子が同じ作業台を囲み、太古の生き物の痕跡を自分の手で掘り当てる。そんな胸躍る時間がHOROSSAでは日常的に生まれています。
HOROSSAは、福井県大野市和泉地区に位置する化石発掘体験センターで、4歳から大人までが同じ石を割りながら学べる“体験+学習”型の観光拠点です。中部縦貫自動車道のトンネル掘削で出た約1億3千万年前の岩石を再利用した発掘ゾーンを備え、年間を通じて屋内型の快適な環境で化石探しができます。発掘で見つかった植物や二枚貝の化石は、一人2点まで持ち帰り可能というルールも魅力で、成果を自宅学習や自由研究にそのまま活かせる設計になっています。
“発掘→照合→持ち帰り”までをワンストップで完結させる導線が、HOROSSAを単なる観光施設から“市民・観光参加型研究拠点”へ引き上げています。
HOROSSAの発掘エリアは全天候型の大型シェルターで覆われており、年間降水日数が約160日に達する福井県でも安心。
こうした環境は、 旅行日程を天気予報に左右されにくいというファミリー層にとって大きなメリットにつながり、リピート率向上の主要因になっています。
発掘ゾーンは約2,200平方メートルあり、学校遠足や企業研修など団体利用を含め200名が同時に作業しても十分な間隔を保てるレイアウトというから驚き!
団体受け入れ時は、予約段階で人数を入力すると自動でブース番号が割り振られる定員管理フローを導入。
受付を済ませると、発掘用ハンマー、タガネ、保護メガネ、軍手が人数分セットで渡されます。
ハンマーは年齢や体格に合わせて重量を選択でき、持ち替えも自由。これにより、力の弱い低学年でも怪我なく作業に集中できます。
まず、タガネの先端を石の割れ目に対して少し角度をつけて、手首を固定したままハンマーを振り下ろします。
ゴーグルと手袋は必須装備です。なるべくタガネの下のほうを握るとブレにくいとアドバイスをいただきました。
石がパキンと割れた瞬間はとても心地よい感覚です。ハンマーが岩を打つ乾いた音、微細な粉塵の匂い、手に伝わる振動。五感すべてが刺激されることで、子どもはもちろん大人も“夢中モード”に引き込まれます。
HOROSSAのスタッフは地質学・古生物学を専攻した学芸員資格保持者、または大学院修了者などで構成されているそうです。体験前に丁寧に体験内容と大野市の化石について説明をしてくれます。
“見つけて終わり”ではなく“家で調べて深める”サイクルを生み出し、自由研究や授業につなげやすくなっています。
ハンマーを安全に振るい、利用するためにHOROSSAでは体験対象年齢を4歳以上に設定しています。
保護者1名につき子ども2名までを同じブースで指導できるようにし、ハンマーを持つ際は必ず保護者が手首の角度を確認するルールが徹底されています。
道路建設という現代のインフラ工事が、遠い地質時代の岩石を私たちの目の前に運んでくれたというわけです。
工事で発生した岩石は年間数万トン規模ですが、単なる廃棄物にせず教育・観光資源として再利用することで、処分コストを抑えつつ地域経済を活性化させています。
HOROSSAは体験施設として知られていますが、裏側では研究データの宝庫としても機能しています。発掘を楽しむ人のすぐ横で、専門家が顕微鏡や測定器を扱う姿を見ることも少なくありません。こうして蓄積された数万点規模のデジタルデータは、地質・古生物学のオープンデータとして国内外の研究者に共有されています。観光施設でありながら“市民科学”の最前線でもある点が、HOROSSAの隠れた魅力といえるでしょう。
トンネル掘削工事のその隙間から4億年前のアンモナイトが顔を出す。人間の時間スケールで数秒の出来事が、地球史では数億年の扉を開く合図になるわけですから、胸が高鳴らないはずがありません。
トンネル工事により掘り起こされた岩は、これまで人間が手に触れることができなかった地層です。それが工事によって実現でき、新たな研究対象となる。研究者からするとまさに未開の地。こうした“現代の技術が太古の記憶を掘り起こす”現場のロマンは、HOROSSAに石が運ばれたあとも続きます。訪れる人がハンマーで石を割るたびに、小さなタイムカプセルが開かれ、地球の長い物語が語り継がれていくのです。まさにロマンですよね!
発掘で心地よく汗をかいたあとは、同じ大野市内で歴史や食文化にも触れられるのが魅力です。化石が眠る地層と城下町の石垣を同じ日に見比べることで、太古と近世を一続きのストーリーとして体感できます。
化石を手に取る瞬間は、教室では得がたいリアルな時間旅行であり、お子さんたちの探究心を一気に引き上げる絶好の教材になります。
発掘現場ではまず岩石の色や粒の細かさを観察し、次にハンマーで割った断面に現れる層理を確認します。こういった体験をしていると、「どうして海の生き物が山の中から出るの?」という次の疑問が生まれます。こういった疑問を通して、親子でのコミュニケーションや夏休みの自由研究などの題材にしてみてはいかがでしょうか。
HOROSSAをはじめとする各発掘施設は、科学教育・観光経済・二つの視点をうまく噛み合わせ、子どもが主体的に動き、大人も知的好奇心を満たせる仕組みを整えています。発掘作業そのものが教材となるため、教室では得にくい“手を動かして理解する経験”が自然に積み重ねられます。ぜひ、この夏に訪れてみてはいかがでしょうか。
最後に、季節や交通状況など最新情報を確認しつつ、家族一人ひとりの関心に合わせたオリジナルの旅程を組んでみてください。きっとプラン制作の段階から楽しい家族の時間となるはず。
斜面崩壊の影響で岐阜県との往来ができなくなっていた、福井県大野市の国道158号で、迂回路となる仮設道路が完成し、2025年7月18日に通行止めが解除となりました。通行止めとなった2025年3月中旬以降、福井県の奥越地域(大野市・勝山市)は観光客が落ち込んでいましたが、夏休み期間に合わせた解除で、観光誘客の回復が期待されます。
大野市化石発掘体験センター「HOROSSA!」
参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。
記事企画・監修:旅色編集部 ふかい
ライター:ふかい