
2025/12/17
高知県幡多郡黒潮町の美しい海岸線で、太陽と風の力だけで作られる完全天日塩「土佐の塩丸」。この記事では、この「土佐の塩丸」が生まれる特別な場所で、五感を使った塩づくりを体験するほか、塩を使った究極の塩エステで心身をリフレッシュする旅をお届けします。黒潮町の豊かな自然に抱かれながら、こだわりが詰まった塩の世界を体験し“深い癒しと気づき”が得られる旅へ出発しましょう。
この記事の目次
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高知県幡多郡黒潮町の美しい海から生まれた「土佐の塩丸」は、火力を使わずに太陽と風の力だけで結晶させた、「完全天日塩」。この塩は、清浄な海水のみを原料とし、職人の手間ひまかけた手仕事によって、海が持つ本来のミネラルを豊富に含んだまろやかな味わいです。口に含むと、じんわりと広がるうま味は、素材の味を最大限に引き立て、いつもの料理を格上げしてくれます。
採かんタワー内部
「土佐の塩丸」の製法は、満潮時の海水を汲み上げるところから始まり、木と寒冷紗で組んだ「採かんタワー」で海水を循環させてゆっくりと濃度を高め、最後はビニールハウス内の結晶箱で職人が塩の“ご機嫌”を伺いながら丁寧に結晶化させます。この過程で一切の火を使わないため、海水が持つ貴重なミネラルバランスが損なわれることなく、そのまま塩に閉じ込められるのです。夏場は約1カ月、冬場は2カ月以上もの時間をかけて、じっくりと自然の恵みを凝縮させて作られます。「土佐の塩丸」の結晶は、ピラミッド型やフレーク状など、そのときどきの自然条件によってさまざまな美しい形を見せてくれます。
その繊細な見た目と、口にした時に感じる奥深い味わいは、まさに自然が織りなすアートのようです。この希少性と、製造にかかる手間と時間のゆえに、「土佐の塩丸」は単なる調味料ではなく、食卓を豊かにする特別な存在として、料理人や食通から高い評価を受けています。
「土佐の塩丸」吉田さん
「土佐の塩丸」の作り手である吉田さんは、自らを「塩職人」ではなく、「塩守り」と呼びます。この言葉には、塩づくりに対する深い哲学と、自然への畏敬の念が込められており、「自分が塩を作るのではなく、塩が結晶になるのを自然の力に委ね、その手助けをするだけ」と考えているそうです。あくまで主役は海であり、太陽であり、風であるという、自然との共存を大切にする姿勢の表れから、「塩守り」という素敵な言葉が生まれたとお聞きし、この後の体験がより楽しみになりました。ここからは、実際に体験した内容を5つの行程にわけてご紹介していきます。
まずは塩や塩づくりについての説明を受けるのですが、その前に!
かっこいい前掛けを着用します。 これはワクワクしますね!
前掛けで気分が上がったところで、吉田さんによる丁寧なレクチャーが始まり、世の中には「天日塩」「岩塩」「湖塩」などさまざまな塩がありますが、「土佐の塩丸」がいかにユニークで希少な存在であるかを知ることができます。
日本の気候は多雨多湿であり、塩づくり、特に天日塩の生産にはあまり適していないそうです。年間を通して雨が多く、湿度が高いため、海外の乾燥地帯のように広大な塩田で海水を自然乾燥させるのが難しいためです。また、日本では海外のように岩塩(がんえん)は採取できません。だからこそ、とても非効率な方法の中で塩を作っているとのことでした。
海水浴を楽しむ中で、海水を口に入れてしまった。という経験はありませんか? その時、すごくしょっぱかったという印象があるかと思います。
ですが、写真くらいの量だけ口に含んでみると、そんなに塩気を感じることもなく、むしろちょうど良くおいしいとすら感じます。
この海水は施設のすぐ目の前から汲んできたものだそうです。「この一帯の海水が特別おいしいわけではなく、実は海水の塩分濃度は3%しかなく、少量だけ口にしたら、とてもおいしいと感じる程度なんです。」と、教えてくれました。
こういったように言葉だけでなく、口にしたり、実物を用いて説明してくれるので、とても分かりやすい内容です。きっとお子さんでも楽しんでいただけるはず。
レクチャーのあとは、塩づくりの心臓部ともいえる「採かんタワー」の見学です。
このタワーは、満潮時に汲み上げられた海水を上から滴らせ、風と太陽の力で水分を効率的に蒸発させるためのもので、日本の多雨多湿な気候の中で天日塩を作るための工夫が凝らされています。
タワーに近づくと、サラサラと水が流れ落ちる音が心地よく響き渡り、潮の香りが一層強く感じられます。
無数の竹の枝を海水が伝い落ちていく様子は、まさに自然の力を最大限に活用した芸術的ともいえる光景でした。
このタワーの上から海水を滴らせ、太陽の熱と海からの風の力で水分をゆっくりと蒸発させていきます。竹枝の表面を伝う海水は、何日もかけて循環するうちに少しずつ濃度が高まっていきます。この工程を経ることで、海水の持つミネラルがぎゅっと凝縮され、濃厚なかん水(塩分濃度の高い海水)ができあがります。
この採かんタワーで海水の濃度を高めることで、次の工程である結晶ハウスでの塩づくりを効率的に行えるようになるそうです。
このタワーの迫力と、自然の力だけで海水を濃縮していく仕組みを間近で見ることで、「土佐の塩丸」がいかに手間と時間をかけて作られているかを実感しました。
体験のハイライトともいえるのが、ビニールハウス内の結晶箱での「攪拌(かくはん)」作業です。ハウスの中に入ると、外とは異なる、ほんのりと温かく湿度の高い空気に包まれます。
目の前には、濃い塩水が張られた大きな結晶箱が並んでいました。
この塩水は、採かんタワーで濃縮された海水がさらに濃度を高めたもので、表面にはすでに小さな塩の結晶がキラキラと輝いています。
へらを優しく使って作業していきます
体験者の私たちはへらを受け取り、職人さんの指導のもと、塩水を優しくかき混ぜる「攪拌」作業に挑戦しました。ただかき混ぜるだけではなく、塩の結晶が均一に育つように、箱の隅々まで丁寧に塩水を動かしていくのです。この作業は「塩を育てる」という表現がぴったりの、とても繊細な手仕事でした。
単純な作業ではありますが、塩水とへらが触れ合う音、結晶の感触に集中していると、いつの間にか時間が経つのを忘れてしまいます。
この手作業こそが、「土佐の塩丸」のまろやかで複雑な味わいを生み出す秘訣なのだと肌で感じた瞬間でした。
私たちは数分の体験ですが、吉田さんたちは毎日、塩の“ご機嫌”を伺いながら、へらで優しく攪拌(かくはん)を繰り返します。太陽の光と風の加減を見極めながら、塩の結晶がゆっくりと育っていくのを手助けするのです。
一切の火を使わずに自然の力だけで結晶させることで、海水本来のミネラルバランスが保たれ、まろやかで深みのある「土佐の塩丸」が完成します。この繊細な手作業と自然との対話こそが、ほかにはない「土佐の塩丸」の品質を支えているのです。
ただし、このハウスは冬でもとても気温が高く、夏場は60℃を超えることもあるそうです。ですので、夏はこんなにゆったり作業はできないのです。また、冬でも調整しやすい恰好でいくことをおすすめします。
集めた塩の結晶はどうしても作業工程上、小さな不純物を混ざってしまうことがあるそうです。最後の作業は人間の目で選別していくのだとか。
その選別作業の中で目を凝らして塩をよく見てみると結晶の形はさまざまで、中にはピラミッド型やフレーク状の美しい結晶も見られました。これらは、海水のミネラルバランスや攪拌の加減、そして職人さんの細やかな手入れによって生まれる、まさに自然の芸術作品です。
小さいスプーンを使い、不純物のチェックをしていくのですが、これが難しい。行程の中で選別されていることもあり、この時点で残っているのはほんとに小さいもの。初めて作業する体験の皆さんでは見つけるのは苦労するかもしれません。
そんななか、吉田さんがチェックするとすぐに発見。やはりプロは違いますね。
体験の最後の工程は、自分で収穫・選別した塩を瓶詰めすることです。キラキラと輝く塩を小さな瓶に詰めていくと、達成感と喜びで胸がいっぱいになりました。自分の手で一から作り上げた「マイソルト」は、まさに世界にひとつだけの特別な宝物です。
ラベルを貼って完成したマイソルトを手に取ると、黒潮町の美しい海と、塩づくりの職人さんの温かい想いがぎゅっと詰まっているように感じられました。
これは単なるお土産ではなく、旅の思い出と感動が形になった、唯一無二の記念品です。
このマイソルトがあれば、家に帰ってからも、料理をするたびに、この黒潮町での体験が鮮やかに蘇ることでしょう。
次にご紹介するのは、その「土佐の塩丸」を贅沢に使った簡単な「塩エステ」です。自然の恵みから生まれた塩を、今度はご自身の肌で感じ、心身のリフレッシュに繋げるという、一貫した体験の価値をここではご提案します。
この体験には皆さん、ほんとに驚いていました。洗い流した直後からはっきりとわかるスベスベ感。
商品化できないか冗談半分で考え始める人もいらっしゃるくらいです。天然のものしか使用していないことを、ここまでの体験で感じているからこそ、皆さん感動していました。
体験で作った自分だけの「マイソルト」とは別に、プロの「塩守り」が手間暇かけて仕上げた多種多様な塩丸製品を購入するのもおすすめです。
「道の駅 ビオスおおがた」でも販売されています
「土佐の塩丸」を代表する商品として、 「白丸」と「青丸」の2種類があります。
「白丸」は、粗めの粒が特徴で、味の決め手、最後の振り塩として使うのがおすすめだそうです。高知に訪れたら鰹をお土産に購入される方も多いかと思いますが、その場合は白丸がおすすめです。
一方「青丸」は、「白丸」よりもやや細かめの万能タイプ。おにぎりや焼き魚など下味に使用するのがおすすめだそうです。
最寄りの「道の駅 ビオスおおがた」でも土佐の塩丸さんのコーナーがあり、そこでも購入できます。
体験の所要時間:90分
体験料は2,200円/1人(小学生未満無料)
※変動する可能性がありますので、必ずホームページなどをご確認ください。
対応人数:1〜30名/事前予約要(3日前まで)
人気の体験ですので、特に土・日・祝日や連休期間は早めの予約をおすすめします。予約は電話、または公式ウェブサイトの予約フォームから受け付けており、体験希望日の3日前までのご連絡をお願いしています。
・塩や海水が服に付着する可能性があるため、汚れても良い動きやすい服装でお越しください。
・夏場は日差しが強いため、帽子やサングラス、日焼け止めなどの日除け対策を忘れずに行いましょう。
・雨天の場合でも、採かんタワーの見学や結晶ハウスでの作業は屋内で行うため、基本的には体験可能です。万が一、悪天候などで体験が中止となる場合は、事前に連絡が入ります。
・小さなお子さんでもご参加いただけますが、保護者の方の同伴をお願いしております。
高知県幡多郡黒潮町で体験した「土佐の塩丸」の塩づくりは、単なるアクティビティにとどまらない、心と体を深く癒やす特別な時間でした。満潮時の海水を汲み上げ、太陽と風の力だけでゆっくりと結晶化させる完全天日塩の製法は、自然への畏敬の念と、職人の「塩守り」としての情熱に満ちています。
「土佐の塩丸」を巡る旅は、自然の恵みと手仕事の温かさに触れ、日々の疲れをリセットし、心身を整える最高の機会です。ぜひこの特別な休日を、黒潮町で過ごしてみてはいかがでしょうか。この体験が、あなたの日常に新たな彩りを与え、豊かな時間をもたらしてくれるはずです。
土佐の塩丸
参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。
記事企画・監修:旅色編集部 ふかい
ライター:ふかい