2025/11/12
石川・能登エリアのグルメを、地元の生産者らと言葉を交わしながら買い物できる「のともっとMARCHE」(のともっとマルシェ)が、「のともっとMARCHE OSAKA」として、大阪駅そばの複合商業施設「KITTE大阪」で開催されました。さらに、2025年秋には東京での開催も決定しています。今回は、その模様をレポートします!
KITTE大阪(のともっとMARCHE OSAKA)
この記事の目次
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能登エリア・石川県内で育まれた幸に、多くの買い物客が押し寄せました
2025年8月6日、大阪駅すぐそばの「KITTE大阪」2階で「のともっとMARCHE OSAKA」が開催されました。昨年度に続き、2度目。2025年秋には東京で、翌2026年春には石川県でも開催されます。
石川・能登エリアは、2024年に能登半島地震と奥能登豪雨の2つの災害に見舞われ、いまなお復旧・復興が続く地域です。珠洲市で暮らす知人を持つ僕としては、応援の意味も込めて、このマルシェには何としても足を運ばなければなりません!
財布を握りしめ、エスカレーターを上がると、会場にはなんと馳浩・石川県知事が! 知事自ら、KITTE大阪の買い物客に応援を呼びかけたり、現地のいまを伝えるパネル展があったりと、会場はただの買い物の場所ではなく、能登の復興にまつわるさまざまな想いが行き交う温かな空間でした。
※東京・石川会場での開催場所・日時は未定
※本稿は「のともっとMARCHE OSAKA」のもので、内容は東京・石川開催時には変更になる場合があります
【イベント概要】のともっとMARCHE OSAKA
50名を超す来場者に向け、馳 浩・石川県知事自ら応援を呼びかけました
イベント開催に先立ち、会場には特別なブースが設置されました。当日は整理券が配布され、場内には50名ほどが集まる盛況ぶり! 何やら先着順にプレゼントがあるそうで、僕もそそくさと整理券をいただきました。
いや、「買い物を通して応援できればいい!」というピュアな気持ちではありますよ、もちろん。
けど、それはそれ。
何かもらえるなら、もらいたいじゃないですか!
この日、司会・進行を務めていらっしゃったのは、石川県出身でいしかわ観光特使でもある的場絢香さん(写真2枚目中央)。金沢市の観光親善大使である「ミス百万石」・中源小尋(なかげんこひろ)さん(写真2枚目右)もKITTE大阪に駆け付け、会場を一層盛り上げていましたよ。
能登で生業を営む漁師や米・ブルーベリー農家、畜産農家らが、想いを語りました
イベントが始まると、司会・的場さんの声かけとともに、まずは3分程度の映像が上映されました。映像では、能登エリアで漁業や農業などを営む生産者の皆さんが、2024年の被災から今日までの道のりを振り返ります。
いうまでもなく、2024年は石川県にとって特に厳しい1年でした。1月1日には最大震度7を記録した能登半島地震が発生し、とりわけ輪島市・珠洲市・能登町・穴水町から成る奥能登地域の被害は甚大でした。2022年6月の最大震度6弱、2023年5月の最大震度6強から続く震災であり、二重被災となった方が多かった震災です。津波も発生しました。
約8カ月後となる2024年9月21日から9月23日にかけては、奥能登地域を中心に記録的な大雨(奥能登豪雨)が発生。輪島市では1時間に121.0mmという、同市で観測史上最大となる豪雨に見舞われ、輪島市と珠洲市の合計1900カ所でがけ崩れや土石流などが発生したそうです(国立研究開発法人・防災科学技術研究所)。
能登半島地震では同様の被害が2,200カ所だったことから、あれだけの規模の震災に相当する豪雨だったといえます。

2024年8月、珠洲市で暮らす知人を訪ねたときに撮った写真。倒壊した建物がずらりと並ぶ街並みに、言葉が出ませんでした。このひと月後、同市は能登半島豪雨に見舞われることに
立て続けに大規模な地震と豪雨に見舞われ、まさに立ち上がるそばから膝を折られるような状況が続く能登地方。それでも、地元・能登で暮らす人々がまだたくさんいます。映像に登場したブルーベリー農家の女性も、そのうちの一人。映像内で、「(商品を)待ってくださっているお客様のおかげで続けられる。たくさんのブルーベリーを届けたい」とおっしゃっていました。
また、同じく奥能登で漁業を営む男性も映像に登場し、次のように語ります。
「能登ってすごい元気で頑張ってるんだよ、みんなで一所懸命食材を獲って、支えあって盛り上げてるんだよっていうことを、みんなが共有してくれればうれしい」
地元を諦めず、懸命に明日を見つめている生産者の姿に、胸が熱くなりました。
僕も、できることから、しないといけないなぁ。
馳 浩・石川県知事
放映後は、イベント特製の法被を着こんだ知事や生産者代表ら3者が登壇し、石川県への一層の応援を呼びかけました。
馳 浩・石川県知事「復興が思うように進まずとも、生産者は懸命。ぜひ石川へ」
「ぜひ、皆さんに助けていただきたいという一心。政府はじめ1兆2000億円ほどの支援をいただいたが、入札不調などが続き、足元では思うように復興が進んでいません。被災前の状態に戻るまでは10年かかるだろうという見通しの中で、生産者が懸命に取り組んでいるのが実情です」
「農地は作付面積の6割程度しか復興していない状況の中で、生産者が懸命にこさえた品々をお持ちしました。石川県生まれの高級ブドウ『ルビーロマン』も。初競りでひと房100万円だった代物。一粒が直径30ミリメートル以上であること・糖度が18度以上であること・色が美しいルビーであることという厳しい要件をすべて満たした逸品だけが、『ルビーロマン』と名乗ることが認められる。石川県の農業試験場で、14年かけて開発しました」
「ぜひ石川県の産品の味わいを楽しんでほしいです。それとともに、ぜひ石川県にもお越しいただきたい」
作田実喜秋(みきあき)・JA全農 石川県本部 運営委員会 副会長「新米のあとは梨も。石川県の農畜産物に期待を」
作田実喜秋・全国農業協同組合連合会(JA全農) 石川県本部 運営委員会 副会長
「石川県の生産者を代表して、非常に多くの応援・支援をいただいたことに、厚く御礼申し上げます。丹精込めて仕立てた農畜産物や加工品を、直接ご紹介できる機会をいただけたことにも感謝いたします」
「農作物に関しては、作付面積で6割程度の復興にとどまっている状況。まさしく、道半ばです。石川県は新米の季節に入りました。早生(わせ)品種『ゆめみづほ』の収穫が間近。『こしひかり』や、石川県のブランド米『ひゃくまん穀(ごく)』など、順次新米のお便りをお届けいたします。ご期待ください」
「果物も大変美味しい時期に差しかかっています。石川県内では金沢すいか・能登すいかが、競うように盛んに生産されています。馳知事からご紹介があった高級ブドウ『ルビーロマン』も、出荷の最盛期です。それが過ぎれば、梨。ブランド梨『加賀しずく』を、ぜひとも味わっていただきたいと思います。今後とも、石川県の農畜産物を、ぜひとも応援いただけますようお願い申し上げます」
橋本勝寿・石川県漁業協同組合 理事「石川の魚を通じて、ぜひ能登へ。五感で楽しんで」
橋本勝寿・石川県漁業協同組合 理事 兼 おいしかわ県PR 協議会会長
「さる能登半島地震・奥能登豪雨に際し、全国の皆様にご支援いただいたこと、お礼申し上げます。地震では特に輪島市・珠洲市はじめ奥能登地域の被害が大きく、輪島市では4メートルも地面が隆起した場所も。水位が下がり、港では船が出航できなくなりました。2024年11月の加能ガニ(石川県で水揚げされたズワイガニのオス)解禁に間に合うよう、国や自治体が協力して復旧工事を進め、何とか11月に加能ガニが獲れました。皆様の応援のおかげで、能登の港も、一歩一歩、復旧に向けて頑張っているところ。本日は輪島市で獲れた岩もずく、スルメイカの加工品等もお出ししているので、ぜひ味わっていただければ」
「9月に底引き網漁が解禁されれば、甘エビやサワラ、香箱ガニ(石川県で水揚げされたズワイガニのメス)、寒ブリが出回ります。今回のイベントを通じて石川県の魚の美味しさを知っていただけたら、ぜひ能登までお越しいただきたい。能登の魅力を五感で体感し、能登を応援していただけたらありがたく思います」
イベントの最後には、なんと石川県産の高級ブドウ「ルビーロマン」が、先着50名に配布される催しが! 整理券は、これのことだったのか!!
14年かけて石川県が育んできた「ルビーロマン」は、一般的な巨峰の約2倍にもなる粒の大きさや、美しい赤色、たっぷりの果汁とともにあふれる芳醇な甘みといったように、まさにロマンが詰まったブドウ。
「(初競りでは)1房100万円だったので、30粒ついているとすれば、1粒あたり3万3000円ですよ!」と、馳知事が胸を張るのも納得の、石川県の新たな名産品なのです。
「ルビーロマン」は馳知事・作田氏・橋本氏から直接手渡し。3人は「ルビーロマン」とともに、応援への感謝やますますの支援のお願いなどを伝えていました。能登を応援する気持ちを直接伝えるイベント参加者もおり、能登を巡る想いが交錯するひと時でしたよ。
大阪では見慣れない石川・能登エリアの逸品に、買い物客らは釘付けに
馳知事による挨拶などのイベントが終了すると、いよいよ自由に買い物ができるように。
この日、KITTE大阪には石川・能登エリアから21者の事業者が出展し、買い物客と言葉を交わしていました。
僕もたくさん買い物をしたので、一部を紹介させてください!
※内容は「のともっとMARCHE OSAKA」のもの。東京・石川での開催時には内容や価格が変更になる場合もございます
輪島市の海女さんが手摘みした岩もずくのほか、水揚げとほぼ同時に冷凍するイカの丸干しなど
石川・能登エリアといえば、やっぱり海鮮は外せません! 石川県漁業協同組合は、能登で獲れたイカや、輪島産のふぐなどの加工食品を販売しました。
大阪ではなかなかお目にかかれない希少な品がならぶなか、とりわけ多くの来場者の目を引いたのが、「海女手摘み輪島岩もずく」です。
奥能登・輪島市の天然のもずくといえば、伝統的に海女さんが素潜りで手摘みする名産品。能登半島地震の影響で、もずくの自生に適した岩を泥が覆ってしまったことで、今後の操業が危ぶまれる事態になっていました。
そんな中、今年になってようやく本格的に操業が再開。本格再開後の初ものが、のともっとマルシェに登場したというわけなのです!
操業再開の経緯を語ってくれた漁業協同組合の方の熱量に、またしても胸が熱くなりました。
農産物だって負けていません。馳知事が手ずからPRした「ルビーロマン」は、この日ひと房9,000円で販売されていました(1粒300円)。石川県金沢市にて「ルビーロマン」を1万円で買ったばかりだという馳知事は、「こんな安くていいの!?」と目を丸くしていました。イベントならではの価格というわけですね!
粒のサイズや見た目、糖度といった厳しい条件をすべてクリアできた「ルビーロマン」は、育成されたうちの50%程度しかないのだそう。惜しくも基準をクリアできなかったブドウは、「ルビーロマングミ」をはじめとした商品に加工されます。この日も、「ルビーロマングミ」が170円で販売されていました!
「金沢ちはらファーム」からは、収穫後の追熟をしない「樹上完熟ブルーベリー」が出品! 試食させていただいたところ、驚愕の甘さでした。生のブルーベリーといえば酸味がある味わいをイメージしていましたが、そんな先入観を吹き飛ばす味・甘みに、思わず笑みがこぼれます。
ジャムやノンアルコールビールなどの加工品が目白押しでしたが、結局、そのままの「樹上完熟ブルーベリー」を買って帰りましたよ! 混じりけのない、ブルーベリーという果実が本来持つ味わいを、自宅でとことん楽しみました!
石川・能登エリアといえばやっぱり「能登牛(のとうし)」だよな、と思いながらウロウロしていると、見慣れないお肉が。「合同会社のとしし団」が加工し、販売するイノシシ肉です。担当者の方によると、能登では、近年イノシシによる獣害が増えているのだそう。狩猟したイノシシの命を美味しくいただくために、日々取り組まれていると話してくださいました。
「イノシシ肉の脂は、牛や豚、鳥と比べて融点が低く、溶けやすいといわれます。脂がしつこくないから、食べやすいんですね」(担当者)
この日はイノシシ肉のスライスが販売されていましたが、悩んだすえ、僕は「加熱用猪肉ミンチ」を購入。スライス肉は以前に食べたことがありますが、粗めに挽かれていて、美味しそうだったことが最大の理由です。
帰宅後は、併せていただいた「いしかわジビエ料理レシピ集」を参考にして「肉味噌グラタン」を作りましたよ! 優しい甘みのある脂と、心なしか引き締まっていて噛むほど旨みがあふれるイノシシ肉は、味噌との相性が抜群! ピザ用チーズをかけて食べると、スプーンが止まらない一品になりました!

立派なレシピだけでなく、オリジナルのコースターもいただきました!
もちろん、「能登牛」もありましたよ! 「株式会社サニーサイド 野々市ミート事業部」からは、コロッケや生ハムなど、能登牛を使った加工品がいくつも出品されていました。
「数少ない能登の生産者たちが、受け継がれてきた育成方法を守りながら生産しています。オレイン酸の含有量が多くて固まりにくい脂が、絶品」(担当者)
生ハムは商品によってサシの入り具合も様々で、自分の好みに合う生ハムを探す楽しさも。そのまま食べるのか、料理に使うならどう調理するのか――食べている自分を想像しながら生ハムとにらめっこする、食いしん坊にはたまらないひと時でした。
今回の「のともっとMARCHE OSAKA」では、地元の酒蔵が、石川県のオリジナル酒米品種「百万石乃白」を磨いてつくり出した逸品が集結していました。
寒冷な気候や豊かで上質な水源を有し、全国有数の酒どころである石川・能登エリアには、多数の酒蔵があります。そのほとんどが、2024年の能登半島地震や奥能登豪雨の被害を受けています。
例えば、能登町に構えていた「松波酒造」は酒蔵が倒壊し、現在も復旧のめどが立っていません。「のともっとMARCHE OSAKA」に登場した日本酒「大江山GO 純米大吟醸」は、被災後に回収できた酒米を使って、松波酒造が酒蔵「加越」(石川県小松市)と協力醸造した一品なのです。
日本酒以外では、ワインも並びました。金沢市に構えるワイナリー「Vin de la bocchi (ヴァン・ド・ラ・ボッチ)」は、「No.1」、「No.2」のように、ナンバリングがされているユニークなラベルが目を引くワインを手がけます。ナンバリングを大きくあしらったラベルのわけは、障がい者でも作業がしやすいよう、視覚的に判別しやすくするためだと、担当者の方が教えてくださいました。
「代表・本田路代の次男で、自閉症をもつ本田響さんをはじめ、障がいを持つ方々が働ける場所を作りたいという想いで創業しました」(担当者)
数字の横で存在感を放つラベルイラストは、本田響さんの作品なのだそうですよ。ゆらゆらと情緒豊かに揺れる線、独創的な色づかいに温もりを感じる、素敵なイラストです。
ワインは一部試飲も可能。調子に乗ってがぶがぶ飲みすぎないように!
会場では、実際に試飲もできました! すべて飲ませていただいたなかで、特に気に入ったのは「"No.19"Chardonnay 2023」。スッキリとしつつ、しっかりとした重みもある味わいで、後味にはユニークな塩味(えんみ)が感じられます。こんな白ワインは初めて!
なんでも、金沢市にある戸室山(とむろやま)の土壌で育ったため、ミネラルが豊富なんだそう。ペアリングなら「野菜のコンソメスープ」や「タラの寄せ鍋」がおすすめとのこと。確かに、このほのかな塩っけは、野菜や魚の素朴な味わいによく合いそう!
石川・能登エリアの伝統・文化にまつわる写真や、震災の影響がうかがえる写真などが展示されました
2024年の8月、珠洲市の知人を訪ねました。
和倉温泉駅から穴水駅まで、復旧したばかりの「のと鉄道」を乗り継いで、そこからはバス。車窓から眺めるのどかな自然の景色の中で、屋根からぺしゃんとつぶれてしまった家屋や、道路に刻まれた稲妻のような亀裂が、震災の影響をむごたらしく伝えていました。
知人の子どもが通う学校は、ずいぶん生徒数が減ったそうです。金沢へ避難した家族たちが戻ってこないのです。2022年から3年連続で震度6以上の地震に見舞われた地元には、もう帰れないという決断をした方が、少なからずいます。
それでも、知人は珠洲を離れないそうです。
「美しい能登が大好き。能登に残っている子どもや、これから生まれる子どもたちが、能登で生きたい・能登で暮らしたいと思ってくれるように、いま僕らが頑張らないと」
疲れた顔で笑った彼が仮設住宅に帰っていく姿が、いまも忘れられません。
「のともっとMARCHE」は東京でも開催予定。買い物が応援になる素敵なイベントです。ただの買い物として訪れるだけでも楽しいですから、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
もちろん、買い物をしなければ応援にならないかといわれれば、そうでもないと思います。
「のともっとMARCHE OSAKA」の会場には、「“食べる”の向こう側展」として、石川・能登エリアにまつわる様々な写真が展示されていました。写真や特産品を通じて、能登に思いを傾けてみる時間も、また応援だと思います。
「のともっとMARCHE TOKYO」が、楽しみです!
参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。
記事企画・監修:旅色編集部 おおもと
ライター:おおもと