旅色プラス
せっかくの旅行には、お気に入りのカメラを持って出かけたい。でも「カメラってなにを基準に選んだらいいのかわからない」というのが本音ではないでしょうか。そこで今回は、ご近所フォトを提唱している写真家のこばやしかをるさんに、〝旅に持って行く〟のにぴったりな3種のカメラの解説と、その選び方を教えてもらいました。
Text&Photo:こばやしかをる(写真家)
一番身近なスマホカメラ。最新の機種ではシャッタースピードやフォーカス、ホワイトバランスまで細かく設定して撮影できるものもあり高機能になってきています。
スマホカメラは〝パンフォーカス〟といわれる、全体にピントの合った風景写真、集合写真の撮りやすさが特徴です。
【メリット】
・撮った写真を簡単に編集でき、SNSなどですぐにシェアできる
・撮影後の画像調整、フィルター加工の種類も豊富
・操作に大きな違いがないので、誰かに撮ってもらう場合も気軽で安心
【デメリット】
・センサーサイズが小さいため光量が少ない夜の撮影は苦手
・ズームのしすぎは画質が劣化
・動くものも苦手
左:スマホカメラ/右:コンパクトデジカメ
スマホカメラは夜空や暗部にノイズ(ざらつき)が目立ちます。
左:単焦点レンズ/右:ズームレンズのコンパクトデジカメ
コンパクトデジカメ(以下:コンデジ)を選ぶなら、いわゆる〝高級コンデジ〟といわれるランクを選ぶのがポイント。最近のコンデジは一眼カメラに負けない写真を残すことができます。
スマホカメラのズームは「画像の一部拡大」になりますが、カメラの光学ズームはレンズを動かして拡大しているので画質を劣化させずにズームできます。
ズームはしないけれど、高画質で美しいボケの表現ができる単焦点レンズのコンデジも。単焦点レンズの場合はズームしないので、自分が被写体に近寄るのが撮影のコツ。
マクロモードを使えば接写も可能。チルト液晶で自撮りができる機種も。レンズ交換ができない分、こうした機能が充実しています。
左:スマホカメラ/右:コンデジのマクロモード
アウトドアで思い切り楽しみたい方には、防水・防塵・耐衝撃に優れたコンデジがおすすめ。お子さんに持たせても安心です。
【メリット】
・スマホのカメラより高画質で、マクロ撮影なども可能
・広い画角は観光地や風景、狭い室内などで活躍
・ポケットに入れておき、サッと取り出せるのでより多くのシャッターチャンスを逃さない
【デメリット】
・レンズ交換ができない
・ズームレンズの場合は、高倍率ズームで撮影すると画像が劣化しやすい
・安価なコンデジを選んでしまうとスマホカメラの画質以下になるものも
左:ファインダーなし/右:ファインダーありのミラーレスカメラ
旅だけでなく、これから趣味でどんどん写真を撮りたい!と思っているなら小型のミラーレスカメラ。スマホカメラやコンデジとは違って、レンズを交換することにより表現の幅が広がるのが大きな特徴です。
旅に限定して持って行くならカメラを購入する際にセットになっている標準ズーム(キットレンズ)でOK。風景からテーブルフォト、ポートレートまで対応できる画角に作られているので使い勝手が良いものです。
左:スマホカメラ/右:ミラーレスカメラ
【メリット】
・撮影シーンや、被写体に合わせてレンズが換えられる
・一眼レフよりも小さく、「写真撮ってます!」という威圧感がないので
撮られる人も構えすぎず、旅先などでコミュニケーションを重視する場合にもピッタリ
【デメリット】
・小さなサイズでもレンズを含めると、ある程度のスペースや重量があるのでそれなりの荷物に
・ファインダーがない機種は晴天下でモニターが見づらく、ピントが合わせにくいことがあります。
さて、カメラの種類がわかったところで、旅の相棒にするカメラの選び方を解説します。
■撮像素子(イメージセンサー)の大きさ
青い囲みの部分がイメージセンサー(コンデジやスマホはレンズ交換ができないので見えません。)
イメージセンサーが大きいほど光を多く取り込むことができ、夜間の撮影やボケの表現に適しています。
「カメラのボディは小さくて、高画質で撮りたい!」なら、マイクロフォーサーズやAPS-Cと言われるイメージセンサーのサイズを基準に選びましょう。
■モニター画面
スマホ感覚同様のタッチパネルで撮影できるカメラも。モニターの動くチルト液晶ならアングルや角度の工夫もでき、自撮りもOK。
■操作ダイヤルやボタン
実際の重量感、構えたときのホールディング、ボタンやダイヤルの位置、シャッターの押した感覚などフィーリングはかなり重要。長く使いたいものだからこそ重視してみて。
■Wi-Fi機能
最近のデジカメはWi-Fi機能も搭載されているのでスマホとカメラ専用アプリで連動させてSNSでキレイな画像をシェア!もカンタンです。
■手ぶれ防止
小さいサイズのカメラだからこそ気を付けたいのが手ぶれ。カメラに標準装備されているか確認しましょう。ミラーレスの場合はレンズ側に手ぶれ補正機能が搭載されている場合もあります。
■電池の持ち時間
旅では重視したいところ。撮りたい時にまさかの電池切れ!がないように予備電池も購入しておきます。
■購入基準価格は5~10万円前後
この価格以下の金額で購入できるカメラ(特にコンデジ)はスマホ同様の画質になってしまうことも。また、現行品ではない以前のモデルを購入する場合はメーカーサポートを受けられるか?などもチェックしておく必要があります。
きれいに残したい旅の思い出。なんといっても「いつでも気軽に持ち歩ける」が大事なポイント!
高機能・高画質にこだわりすぎずに普段使う自分のカバンに入るサイズ、使うシチュエーションを考えて選びましょう。
日常の写真はスマホで十分ですが、せっかく旅先に持っていくならば、目的や被写体によって使い分けてみるのがおすすめです。自分にぴったりなカメラを見つけてみてくださいね。
◆こばやし かをる
「写真を撮る・教える」写真家。フォトアドバイス、制作・企画、執筆、プロデュース・ディレクションまでをフィールドとするクリエイターとしても活躍。「毎日が楽しくなる ご近所フォトのススメ」(日本カメラ社)を共著にて発刊。エンジョイフォトルーム主宰。
旬な旅行・グルメ・旅ファッション情報や連載コラムを毎日配信する、女性向けニュースメディア。
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