【関東】美術館の企画展・イベント15選! 2023年版

【関東】美術館の企画展・イベント15選! 2023年版

アート

2023/06/29更新

美術館は常設展以外にも、魅力的な企画展やイベントを行っています。普段は見られない作品を観覧できるのが企画展のメリットです。都市部である関東では、地方では珍しい展示品を見られることも。これまで美術館にあまり行ったことのない方でも、企画展では興味のある展示品を見つけやすいでしょう。歴史的な作品から現代の作品まで、多様な芸術に触れることで、感性を磨けるかもしれませんね。

美術館の中には歴史ある建物もあり、展示品だけでなく空間全体を楽しめる企画展もあります。また企画展の内容に合わせて庭園を整えている美術館も! さらに、人気カフェとコラボレーションしたグッズ販売を行っている企画展もあり、展示を見たあともたっぷりと楽しめます。ひとりはもちろん、デートで訪れるのも良いでしょう。今回は2023年春に関東で開催が予定されている企画展・イベントを紹介していきます。

【東京】国立西洋美術館|憧憬の地 ブルターニュ ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷

日仏の近代画家たちがとらえた「ブルターニュ」を紹介する初めての展覧会

フランス北西部のブルターニュ地方は、独特な文化を築き、フランスの中でも異郷のような土地。19世紀には、独自の文化に惹かれた多くの芸術家が訪れました。明治・大正時代には黒田清輝や藤田嗣治など日本の画家もブルターニュを訪れ、作品を描いています。企画展では19世紀後半から20世紀初頭に描かれた作品や関連資料が集結。フランスだけでなく、日本の画家の作品もあわせて展示するのは初の試みです!クロード・モネ、ポール・シニャック、アルフォンス・ミュシャなど50人以上の画家たちが描いたブルターニュを見られる貴重な機会となっています。

【東京】三菱一号館美術館|芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル

東直輝さんの原画も展示!(写真撮影可)

明治末期に活躍した浮世絵師、落合芳幾と月岡芳年の作品を紹介する企画展です。歌川国芳を師匠に持つ二人は、それぞれの作風を極めています。なかでも注目は歌舞伎で表現される凄惨なシーンを共同で描いた「血みどろ絵」です。迫力ある描写に思わず目を覆いたくなるかもしれません。企画展では雑誌「モーニング」で連載中の漫画『警視庁草紙 ―風太郎明治劇場―』とのコラボも実現。漫画の展示スペースでは写真撮影もできるため、漫画ファンにもたまらない企画展になっています。

【東京】東京都庭園美術館|建物公開2023 邸宅の記憶

アール・デコの粋を集めた旧朝香宮邸

東京都庭園美術館の本館は1933年に朝香宮邸として竣工された建物で、アール・デコ様式の直線的なデザインが特徴的です。戦火を免れ、今なお美しい状態で残る邸宅は、重要文化財に指定され、1983年に美術館として開館しました。朝香宮家は久邇宮朝彦(くにのみやあさひこ)親王の王子・鳩彦(やすひこ)王によって1906年に創立された宮家です。今回の企画展では、朝香宮家が暮らしていた頃の家具や調度品を用いた邸宅空間の再現、写真や映像資料から宮家の生活を紹介しています。意匠がこらされた工芸品やアール・デコ様式の建築が好きな方におすすめの企画展です。

【東京都】東京都現代美術館|クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ

ディオールと日本との真摯かつ貴重な絆を称える特別な展覧会

パリ、ロンドン、ニューヨークと世界中で注目を集めるクリスチャン・ディオールの企画展が日本にもついに上陸! クリスチャン・ディオールが感銘を受けた芸術、コレクションなどが観覧できます。浮世絵や日本庭園などの日本文化からイメージしたドレスも展示され、日本ならではの企画展となっています。「バー」スーツやアクセサリーなど流行をけん引してきたアイテムも集結し、鮮やかさに目を奪われるでしょう。ディオールの豊かな創意工夫から、あなたもインスピレーションが得られるかもしれませんよ。

【東京】国立新美術館|ルーヴル美術館展 愛を描く

コラボ展開が盛りだくさん!

「愛」をテーマに、ルーヴル美術館から選りすぐりのコレクション73点が集結。王女プシュケにキューピッドが口づける様子を描いたフランソワ・ジェラールの「アモルとプシュケ」、ベッドルームの男女を描くジャン=オノレ・フラゴナール作「かんぬき」など、西洋絵画で描かれる「愛」をひもとく18世紀のフランス絵画が鑑賞できます。企画展の開催を受けて、飲食・喫茶ブランドとコラボした限定商品も見逃せません。絵画から着想を得たアップルパイやドリップバッグコーヒーなど、おしゃれなデザインに目を引かれるでしょう。芸術鑑賞はもちろん、アート関連のグッズが好きな方にぴったりの企画展ですね。

【東京】すみだ北斎美術館|北斎バードパーク

葛飾北斎「杜鵑」すみだ北斎美術館蔵(前期) 画像提供:すみだ北斎美術館

葛飾北斎が世に多く残した鳥の作品

江戸時代後期に活躍した浮世絵師・葛飾北斎は、数々の鳥を描いた作品を残しています。企画展では墨の濃淡を活かして描いたホトトギスの浮世絵を同館初公開。羽毛の柔らかな質感をたくみに表現する北斎の筆遣いが見られます。また現実にいる鳥だけでなく、想像上の鳥「比翼鳥」を描いた作品も登場。さらには紙の上に鳥を歩かせ、その足跡で紅葉が流れる竜田川を表現したユニークな浮世絵も展示されています! 作品を鑑賞するうちに、江戸時代でバードウォッチングをしている気分が味わえるでしょう。

【東京】根津美術館|特別展 国宝・燕子花図屏風-光琳の生きた時代 1658~1716

国宝 燕子花図屏風 尾形光琳筆  日本・江戸時代 18 世紀 根津美術館蔵

元禄文化の立役者

尾形光琳(1658~1716)といえば、町人が担い手となって花開いた元禄(1688~1704)文化の立役者のひとりである画家。代表作となる国宝『燕子花図屛風』は、総金地に高品質な絵具をふんだんに使って燕子花(かきつばた)の群生を描いた作品です。特別展では光琳の作品を中心に、光琳が生きた時代に制作された狩野探幽の『両帝図屏風』、土佐光起の『源氏物語図』などの作品が鑑賞できます。会期中の4月下旬から5月上旬にかけて美術館の庭園で見頃をむかえるカキツバタとともに初夏のひとときを楽しんではいかがでしょうか。

【埼玉】埼玉県立近代美術館|戸谷成雄 彫刻

戸谷成雄《POMPEII‥79 Part1》1974/1987 年 撮影:山本糾 ©Shigeo Toya Courtesy of ShugoArts

彫刻家・戸谷成雄の代表作を網羅

戸谷成雄は「彫刻とは何か」を問い続け、戦後の日本美術における彫刻表現を牽引してきた彫刻家です。1975年に愛知県立芸術大学大学院彫刻専攻を修了し、国際展にも出品。2009年に紫綬褒章(内閣府が審査し、天皇から授与される)を受章した経歴もある実力派の作家です。埼玉県秩父は作者がアトリエを構える場所。今回の個展は都道府県立の公立美術館では実に20年ぶりの開催! 作者の出身地である長野県の長野県立美術館と共同開催となり、埼玉会場では愛知県立芸術大学の卒業制作作品である人体彫刻を観覧できます。日本を代表する彫刻家の作品を観覧できる貴重な機会をお見逃しなく!

【千葉】ホキ美術館|「絵の中を旅しよう! 展」

どこかにお出かけしたくなる展示会

新型コロナウイルスが流行し、外出が難しくなった昨今。そこで「作品を通して旅に出よう」と企画されたのが今回の展示会です。中西優多朗が描いた「夜の鴨川」、大畑稔浩が描く「仰光 −霞ヶ浦」などの作品が集まります。また南仏プロバンスの農村を表現した青木敏郎の「プロバンスの農家」など、絵画を通してフランスに旅することも。作家が見た風景をたくみに描く写実絵画は、芸術の基礎知識がなくても気軽に楽しめるのが魅力。作者の感性を活かして描かれた作品は、見たことのある風景を描いていてもどこか違って見えるでしょう。

【千葉】DIC川村記念美術館|芸術家たちの南仏

アンリ・マティス《ミモザ》1949年 切り紙絵(コラージュ)151.3×93 cm  池田20世紀美術館

19世紀末から芸術の制作地として注目を集めた南仏

マルセイユやヴァンス、ニースなどに滞在した芸術家たちは、南仏の豊かな自然にインスピレーションを受け、さまざまな作品を生み出しています。会場入口では南仏で撮影した映画「ラ・シオタ駅への列車の到着」を上映。(1895年)映画に続いて第一室では、キスリングの「風景、パリーニース間の汽車」(1926年)が展示され、南仏へと誘われます。企画展の中へ進んでいくと、アンリ・マティス、マルク・シャガール、ポール・セザンヌなどの人気作家たちの作品が勢ぞろい。毎日14時からガイドスタッフによるツアーも開催されているので、解説を聞けばより深く作品を楽しめるでしょう。

【群馬】群馬県立館林美術館|山中現展 描かれた詩

山中現《星空IV》1987年 群馬県立館林美術館蔵

東京藝術大学大学院美術研究科版画専攻を修了し、現在も画家・版画家として活躍する山中現。企画展のポスターにもなっている「星夜Ⅳ」のように、モノトーンを基調とした作品が多いのが特徴です。宇宙や夜を背景に、有機体を描くシリーズを数多く発表しています。企画展では作者の コレクション約240点が集結。木版画や油絵、水彩、ガラス絵など幅広いジャンルの作品が観覧できます。素朴な色遣いから詩的な情景を思い浮かべ、寂しさやあたたかさを感じるでしょう。

【群馬】太田市美術館・図書館|なむはむだはむ展『かいき!はいせつとし』

なむはむだはむ展「かいき!はいせつとし』」

豪華な顔ぶれによる企画展

作家の岩井秀人、俳優の森山未來、シンガーソングライターの前野健太によるプロジェクトが「なむはむだはむ」です。「子供たちのアイデアを大人たち(プロのアーティスト)がなんとか作品にする」をコンセプトに、舞台作品や映像作品などを仕上げています。今回の企画展では、美術家・彫刻家の金氏徹平も参加し、館内各所に作品を展開。2023年4月22日には創作の様子をオープンにし、翌日23日にはパフォーマンス上演を行います(23日は要申込)。子どものアイデアが元となる企画展なので、お子さんと一緒に訪れてみると良いですね。

【神奈川】横浜美術館|New Artist Picks: Wall Project 浦川大志|掲示:智能手机ヨリ横浜仮囲之図

「仮囲い」 2022年 パネルに綿布、ジェッソ、アクリル 75×322cm 撮影:山中慎太

「窓と壁」 2022年 パネルに綿布、ジェッソ、アクリル 75×322cm 撮影:山中慎太郎

「中華風」 2022年 パネルに綿布、ジェッソ、アクリル 75×322cm 撮影:山中慎太郎

新たな風を感じる作品

改修工事のため休館中の横浜美術館では、美術館正面の公園に面した工事用の仮囲いで展示を実施。全長52mにわたり、全5点のプリント作品が仮囲いに掲出されています。「智能手机」とは中国語でスマートフォンの意味。パネルにはQRコードが描かれており、スマートフォンをかざす仕掛けがあります。作者は1994年生まれの浦川大志。ミレニアル世代ならではの感性で作られた創作に、作者と年代の近い20~30代の方は共感しやすいかもしれません。

【神奈川】横須賀美術館|没後40年 朝井閑右衛門展

「薔薇 (法華壺) 」 (1981年)油彩・カンヴァス、神奈川県立近代美術館蔵

戦後横須賀市にアトリエを構えた画家

朝井閑右衛門(あさいかんえもん)は約20年の間に数々のユニークな作品を生み出した洋画家です。「丘の上」は1936年に文部省美術展覧会で「文部大臣賞」を受賞しました。戦争中は中国で水墨画や風景画を制作。企画展では作者の代表作となる油彩や水墨画をはじめ、作者の収集品や自筆の手帳など約200点が紹介されます。作品の色鮮やかな色彩表現に目を奪われるでしょう。

【茨城】水戸芸術館現代美術ギャラリー|ケアリング/マザーフッド:「母」から「他者」のケアを考える現代美術

本間メイ「Bodies in Overlooked Pain(見過ごされた痛みにある体)」2020年

15組のアーティストによる現代美術作品

ケアに関する行為をテーマの企画展です。妊娠・出産時の痛みに注目した「Bodies in Overlooked Pain(見過ごされた痛みにある体)」、亡き母の遺品を撮影した「motherʼs」など、繊細な心の機微を描いた作品が集まっています。会期中は託児付きのアーティストトーク(要予約)や、「子育てアーティストの声をきく」など関連イベントも開催。子育てに関するテーマもあり、 ママやパパにおすすめの企画展です。

関東の美術館の企画展は魅力がいっぱい!

企画展では、普段あまり美術館に行かない方も親しみやすい展示や、作家の魅力を再発見できる内容が考えられています。常設展とは違い、期間限定の企画展は希少価値も高く、関東の美術館でしか見られないものもあるでしょう。好きな作者や作風、時代など気になるところにフォーカスした企画展に足を運んでみるのも良いですね。より深く作品を鑑賞したいときは、解説イベントに参加してみるのもおすすめです。

旅色編集部 なかやま

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記事企画・監修:旅色編集部 なかやま

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