瀬戸内国際芸術祭2025 夏会期の見どころや日程を徹底解説

2025/06/05

瀬戸内国際芸術祭2025 夏会期の見どころや日程を徹底解説

「瀬戸内国際芸術祭」は、瀬戸内の島々を舞台に、3年に1度開催される現代アートの祭典。国内外から約100万人が訪れる日本を代表する国際的な芸術祭で、春・夏・秋の3つのシーズンに分けて開催されるため、季節ごとに瀬戸内の魅力が体験できます。2025年は、夏会期に「志度・津田エリア」「引田エリア」、秋会期に「宇多津エリア」が新たに加わり107日間の開催。瀬戸内の自然、歴史、地域文化、生活にインスピレーションを受けた国内外のさまざまなアーティストによる作品を巡りながら、地域の人々や美しい景色に出会えるのが醍醐味です。本記事では、瀬戸内国際芸術祭2025の“夏会期”の見どころや日程を徹底解説します。

瀬戸内国際芸術祭とは?

美しい自然と人間が交錯し交響してきた瀬戸内の島々に活力を取り戻し、瀬戸内海が地球上のすべての地域の「希望の海」となることを目指している瀬戸内国際芸術祭。期間中に展示される作品の多くは開催地の住民とともに制作され、地域の歴史や文化を反映した作品や地域資源を活かした作品などが展開されます。船や電車で移動しながら美しい景色を堪能したり、地域の人々と交流を深めたりとさまざまな体験を通して、新たな発見と感動を味わい、より深く芸術を楽しめる祭典となっています。

瀬戸内国際芸術祭2025

瀬戸内国際芸術祭は、2006年に香川県庁が「ベネッセアートサイト直島」プロジェクトと連携して計画が開始され、2010年7月19日に第1回が開催。香川の直島、豊島、小豆島、高松港などが会場となりました。
コロナ後初、6回目の開催となる瀬戸内国際芸術祭2025では、より多面的に瀬戸内の魅力を伝え地域の活力につなげるため、瀬戸内海の島々に香川県側の沿岸部「志度・津田エリア」「引田エリア」「宇多津エリア」が新たに加わり、全17エリアで展開作品数は過去最大の256点、イベント数は20件、作家・団体216組で37の国と地域が参加しています。

※画像はイメージです

夏会期について

夏会期は8月1日(金)から8月31日(日)の31日間
【全会期】直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、高松港エリア、宇野港エリア
【夏会期】志度(しど)・津田エリア、引田(ひけた)エリア
全会期開催の瀬戸内海の島々9エリアに香川県側の沿岸部の2エリアが加わり、全11エリアで展開。2エリアは初開催となるため、作品すべてが新作となっています。

【料金】

「作品鑑賞パスポート」の利用が可能ですが、無料で鑑賞できる屋外作品もあり、2エリアのみ巡る場合は作品ごとに鑑賞料を払うのが良いでしょう。夏会期中に全会期エリアを訪れる場合は、「作品鑑賞パスポート(1シーズンパスポート4,500円)」を利用するのがおすすめです。

【鑑賞時間】(志度・津田エリア、引田エリア)

鑑賞時間は10時~21時(一部屋外作品は常時鑑賞可)となっているので、島巡りのあと、涼しい夜の時間帯でも作品を楽しめます。

【アクセス】

各島へは高松港を拠点に船でアクセスするのがおすすめ。志度・津田エリア、引田エリアへは高松駅から電車で行くことが可能で、エリアをつなぐシャトルバスの利用も便利です。詳しくは公式HPをご確認ください。

志度・津田エリア(香川県さぬき市)

志度・津田エリアは2025年から初めての会場となるため、5作品はすべて新作。志度エリア、津田エリアともに駅から徒歩圏内に作品が展開されています。
JR高松駅からJR志度駅までは約30分、JR讃岐津田駅までは約1時間。志度・津田エリアを巡回する無料の芸術祭シャトルバスが運行されており、さぬき市コミュニティバス「寒川・津田・志度線」も利用可能です。レンタサイクルも用意されています。

※画像はイメージです

四国遍路の上がり3カ寺と白砂青松の「津田の松原」を有する、歴史と文化のまち

志度・津田エリアのある「さぬき市」は、香川県東部に位置する人口約4万7,000人の都市。志度エリアは、四国遍路第86番札所・志度寺の門前町であり、江戸時代には香川県東部地域の農産物集散地として栄え、商業の町としても発展しました。また、平賀源内の生誕地であり、記念館にはエレキテルの復元、本草学の著書、戯作・浄瑠璃、西洋画や源内焼など幅広い分野で活躍した源内の業績を紹介しています。
津田エリアには、広大な白砂青松の景勝地「津田の松原」があり、白砂の浜と黒松林のコントラストが美しく、樹齢600年を超える老松をはじめとする松林が約1km続いています。また、かつての漁師町の姿を垣間見ることができ、どこか懐かしい雰囲気を感じられるでしょう。

※画像はイメージです

志度エリアの作品紹介

志度エリアでは、JR志度駅・琴電志度駅から徒歩圏内の「平賀源内記念館・旧邸」「志度寺」を拠点とする門前通り(源内通り)に4つの屋内・屋外作品が設置されています。

リーロイ・ニュー「メブヤンのバランガイ(メブヤンの船または聖域)」

フィリピンの神話や植民地時代前の船、志度に伝わる海女の伝説を組み合わせ、航海民族であるフィリピンの伝統、環境問題、そこから未来をどのように切り開いていくかという思考を込めた作品。

ニール・メンドーザ「注がれる魂」

「レンズ」を通して、徳利に宿る様々な付喪(つくも)神の姿が現れる。道具に宿る空想上の精霊をAIが想像し、様々なかたちを成す。この付喪神には今日の使い捨て文化と鋭い対比をなす信仰があり、人とモノの関係性を鑑賞者に問う。

やんツー「タイトル未定」

「平賀源内記念館」が会場。“発電”と“修復”をキーワードに、平賀源内の領域横断的で縦横無尽な創造性にヒントを得ながら、ありえたかもしれないテクノロジーについて考察するインスタレーションを館内に展開する。

筧康明(かけひ やすあき)「Echoes as Air Flows」

「平賀源内旧邸」が会場。先進的なテクノロジーと物理素材や自然現象を組み合わせる、アーティストで研究者の筧康明が、発明家などとして知られる平賀源内ゆかりの地で制作・展示する。

津田エリア作品紹介

津田エリアでは、JR讃岐津田駅から徒歩で行ける「津田の松原」に屋外作品が1点展示されるほか、アジアの文化芸術を楽しめるワークショップ「雲門舞集と踊ってみよう!」も予定されています。

ケイトリン・RC・ブラウン&ウェイン・ギャレット「時間との対話」

「津田の松原」から着想した作品。クロマツが力強く立ち並ぶ海岸の木立のなかには、600年前の老木や根が露出した根上りの松があり、松原を歩けば森の時間を体験できる。作家はメガネレンズを使ったインスタレーションで、海や森の時間と人々の時間を融合させる。

ワークショップ「雲門舞集(うんもんぶしゅう)と踊ってみよう!」

開催日:2025年8月24日(日)
開催時間:16時~17時
開催場所:津田の松原
料金:500円(パスポート提示で300円)/高校生以下無料
国際的に活動する台湾のダンスカンパニーによるワークショップを特別開催。ダンス未経験でも気軽に楽しめるので、ぜひ参加してみましょう。

高松港エリアの公演-2025年8月23日(土)19時~20時 四国村ミウゼアム
代表作「Sounding Light」を農村歌舞伎舞台に合わせた特別バージョンで上演。

引田エリア(香川県東かがわ市)

引田エリアも2025年から初めての会場となるため、6作品すべてが新作。JR引田駅から徒歩約10分で行ける場所に作品が展示され、エリア内は徒歩で巡ることができます。また、レンタサイクルも用意されています。
JR高松駅からJR引田駅までは約1時間半。引田エリアと津田エリアを往復するシャトルバスの利用も便利です。

※画像はイメージです

“風待ちの港”として栄えた古い町並みと、日本一の手袋産業のまち

かつて城下町として栄えた香川県東かがわ市・引田は、瀬戸内海に面した穏やかな港町。古くから「和三盆」などの讃岐の白色の特産品「讃岐三白」をはじめとする荷を運ぶ陸上・海上交通の拠点として栄え、“風待ちの港”として知られています。国内生産90%の占有率を誇る世界でも類を見ない一大産地・東かがわ市の手袋産業に注目し、かつての栄華をしのばせる商家や町家が残る引田の古い町並みで作品を展開します。

※画像はイメージです

引田エリアの作品紹介

ラックス・メディア・コレクティブ「KASAYAソーシャル/パフォーマンス・スペース+アートワーク」

もとは酒蔵だった「笠屋邸」を会場とし、周辺に立ち並ぶ手袋工場や醤油工場から着想して制作。かつては日本酒を醸造していた酒蔵の桶と、醤油工場の醤油を貯蔵する桶に宿る記憶を手掛かりに、桶、光、時間の助けを借り、作品を通して発酵における暗黙のプロセスを明示する。

マリーナ・モスクヴィナ「てぶくろの童話」

レオニート・チシコフ「みんなの手 月まで届く手袋を編もう!」

会場となる「東かがわ手袋ギャラリー」は、棚次辰吉(たなつぐ たつきち)が明治時代、この地にもたらした手袋産業を伝える場所。今回、古い大きな木造の建物内にある空間を改修し、レオニート・チシコフとマリーナ・モスクヴィナの2作家が、インスタレーションを展開します。モスクヴィナが物語を書き、チシコフが絵画や立体作品を制作。いずれも手袋の生をめぐる数編の物語で、そのひとつ「みんなの手 月まで届く手袋を編もう!」は、地域の人たちが古着の布地で編んだ作品。古着は人々の人生や思い出を表していると作家は語る。
チシコフによる本作のフォルムは、ロシアでは未来やより良い社会への希望を象徴する。厳しい状況下にあるロシアにおいて、この作品は「悲痛な時代にもユートピアを夢見よう」というメッセージを持ち、タイトルには「みんなの手がひとつの大きな手をつくる」という意味が込められている。
内装設計は宮崎晃吉(みやざき みつよし)+顧彬彬(コ・ピンピン)が参画。歴史と斬新さを併せ持つ空間展示で手袋の魅力を伝える。

沼田侑香(ぬまた ゆか)「積層される情報」

高齢化や人口減による港町の変化と、通信手段の変化とともに役割や文化を失っている大漁旗を重ねあわせ、アイロンビーズやプラスチックゴミなど現代の素材で大漁旗を制作し、時代の変化を可視化する。

桒原寿行(くわばら としゆき)「奉納和船の出航-「あまりものたち」の物神を、 海に奉納する。」

用途を失った様々な「あまりものたち」(廃物)を奉納和船(かつて神仏に奉納されていた精巧な船舶模型)として再構築し、本来は海に出ない奉納和船を出航させることで、「あまりものたち」を海に奉納する。

新居俊浩(にい としひろ)「引田市井分解図」

引田の普段の暮らしに焦点を当てる。住民や地域に関わりのある人々へインタビューを行い、彼らの営みを記録し、図解化してみようという試み。作品を通じて引田の市井の雰囲気を感じてほしい。

「志度・津田エリア、引田エリア」周辺の観光情報

「志度・津田エリア、引田エリア」のおすすめレジャー施設

「志度・津田エリア、引田エリア」のおすすめ飲食店

「志度・津田エリア、引田エリア」のおすすめ宿泊施設

まとめ

瀬戸内国際芸術祭2025の夏会期の見どころや日程を徹底解説しました。夏会期の2エリアはシャトルバスを利用し、併せて訪れるのがおすすめ。公式サイトや公式アプリで、船やシャトルバスなどの運行時間や便数を確認し、時間に余裕をもってスケジュールを立てることが大切です。混雑情報や運行状況などをリアルタイムで確認できるので、上手に活用しましょう。
地域の歴史や文化、風土にインスピレーションを受けて制作された作品を通して、瀬戸内の魅力を知ることができます。また、実際に地域の人々と接し、自然に触れることで、さらに作品への理解が深まるでしょう。夏ならではの自然、夏会期ならではの瀬戸内の魅力を五感で楽しんでください。

[参照]
「瀬戸内国際芸術祭2025」公式サイト

旅色編集部 なかやま

参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。

記事企画・監修:旅色編集部 なかやま

掲載情報の一部の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright MAPPLE, Inc.
Copyright indepth, Inc.
※掲載情報は取材時のものであり、変更が生じている場合がございます。詳細は各施設にご確認下さい。