更新日:2024/10/11
建築家・隈研吾が手がけた建築と出合う旅へ!おしゃれなカフェや美術館を巡る旅行プラン9選
新国立競技場や高輪ゲートウェイ駅のデザインで知られる建築家・隈研吾(くまけんご)。旅をしていると、意外なところで隈研吾の建築物に出合えます。今回は、「美しい風景が見たい」「美味しいグルメを味わいたい」といった旅行の目的に視点をプラス。9つの旅先で出合う隈研吾の建築の特徴や、見どころをご紹介します。旅行しながら、隈建築のデザインに触れてみてください。
この記事の目次
- ①【大分県・COMICO ART MUSEUM YUFUIN】由布院を体現した現代美術館
- ②【茨城県・道の駅さかい(茶蔵内) SHED】銘茶を体感する町のシンボル
- ③【福岡県・スターバックスコーヒー 太宰府天満宮表参道店】伝統×現代の空間
- ④【埼玉県・角川武蔵野ミュージアム】想像力を掻き立てる文化複合施設
- ⑤【静岡県・日本平夢テラス】富士山を望む1周200mの八角形デッキ
- ⑥【静岡県・COEDA HOUSE】オーシャンビューの絶景カフェ
- ⑦【東京都・オカカフェ】緑豊かな公園の中にあるベーカリーカフェ
- ⑧【東京都・根津美術館】都内一等地に立つ日本庭園が融合した美術館
- ⑨【富山県・TOYAMAキラリ】キラキラと輝くアートと文化の館
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隈研吾という建築家と建築の魅力
日本の建築家・隈研吾は、国内だけでなく50を超える世界の国々で活動しており、受賞歴も多数。1990年に隈研吾建築都市設計事務所を設立し、国内外で彼の建築を見ることができます。近年話題となった建築には、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で使われた「国立競技場」(通称・新国立競技場)などがあります。隈健吾のデザインに共通しているのは、高いデザイン性を兼ね備えつつ環境に溶け込む建築であるということ。建築の周りの土地や文化にあえて“負ける建築”と表現されることもあります。木材を巧みに使って和テイストを自然に取り入れつつ、モダンな印象も感じさせる「和モダン」を得意とするため“和の大家”とも呼ばれています。観光スポットとして隈研吾の建築物を巡る魅力は、特にカフェや美術館を例にとるとわかりやすいでしょう。カフェなら、ティータイムを過ごしながら建築の中に滞在して空間ごと楽しめます。美術館なら、所蔵作品や企画展示の鑑賞に加えて建築を美術作品として見ることもできるでしょう。それぞれのお店や美術館のコンセプトなどに、隈研吾がどう寄り添っているのかといった視点で見るのも面白いかもしれません。
①【大分県・COMICO ART MUSEUM YUFUIN】由布院を体現した現代美術館
2泊3日で大分を満喫しながらアートも巡れるプランがこちら。2日目に訪れる「COMICO ART MUSEUM YUFUIN」は、2017年に隈研吾デザインのもと開館した美術館です。2022年には展示エリアが増設され、より魅力的に。草間彌生をはじめとする現代アーティストたちの作品を鑑賞しながら、隈研吾が由布院という小さな町に築いた建築が見られます。美術館は「ムラ」を意識して設計され、外観は小さな屋根が連なるようなデザインに。遠目には黒一色に塗られているように見える壁は、じつは焼杉。近づくと木の質感や温かさを感じられます。内観はシンプルで各アーティストの作品が映える空間に。同じ現代作品でも表現方法が異なりひとつにはくくりきれない難しいポイントを、隈研吾は環境に馴染むデザインで調和させています。屋外に展示された存在感ある各作品も、彼の建築と見事に融合しているので忘れずチェックしてくださいね。入館料は大人1,700円、由布院駅より徒歩約15分というアクセスです。
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②【茨城県・道の駅さかい(茶蔵内) SHED】銘茶を体感する町のシンボル
ひとり気ままに隈研吾の建築の世界に浸りたい方には、こちらのプランがおすすめです。彼がデザインした美術館や飲食店が6棟も点在する茨城県境町を巡る日帰り旅で、なかでも注目は「道の駅さかい(茶蔵内) SHED」。この地から初めて海外にお茶を輸出したことにちなみ、茶をテーマに2019年にオープンした道の駅です。圏央道・堺古河ICより約10分のアクセス。県産材の杉で作られた角度のあるプランター風の外観デザインが目を引きます。内観にもこだわりが随所に見られ、町の銘茶・さしま茶の古い茶箱がカウンターや壁に使われたり、さしま茶で染めた布を吊るしたりと隈研吾の芸の細かさが見逃せません。このプランでは、隈建築で最も小さい建築のひとつといわれるサンドイッチ専門店「さかいサンド」、画家・粛粲寶(しゅくさんぽう)の作品を所蔵する「S-Gallery 粛粲寶美術館」も訪れます。さしま茶が味わえる「モンテネグロ会館」内の「茶cafe&shop chabaco」は2024年10月現在、休業中。間もなくリニューアルオープンするそうですよ。
③【福岡県・スターバックスコーヒー 太宰府天満宮表参道店】伝統×現代の空間
こちらは、女子旅で福岡の人気スポットを巡るのにピッタリのプラン。スポットとして取り上げてはいませんが、実は道中で隈健吾の建築に出合えます。場所は太宰府駅より徒歩すぐの「太宰府天満宮参道」。伝統的な木組み構造が特徴的な外観の「スターバックスコーヒー 太宰府天満宮表参道店」でひと休みしてみてはいかがでしょうか? 2011年に約2,000本のヒノキを使って造られており、入り口から店内まで続く木組みは圧巻。店舗の奥庭には太宰府天満宮のシンボル・梅の木も植えられています。
④【埼玉県・角川武蔵野ミュージアム】想像力を掻き立てる文化複合施設
友人とグルメを楽しみながら隈研吾の建築に触れるならこちらのプラン。東所沢駅から徒歩約10分の、フォトジェニックな外観をもつ「角川武蔵野ミュージアム」を訪れます。2020年に建てられ、図書館・美術館・博物館など多くの要素を持った世界でもめずらしい文化複合施設です。同年に音楽ユニット・YOASOBIが館内の「本棚劇場」でパフォーマンスを披露したことでも話題に。外観には2万枚もの花崗岩(かこうがん)が用いられており、ミュージアムの立つ武蔵野台地の隆起をイメージさせます。内観の見どころは、やはり「本棚劇場」。互い違いに複雑に入り組む“違い棚”が天井まで続き、さまざまなジャンルの本やオブジェを立体的につないでいます。チケットの種類はいろいろありますが、おすすめは本棚劇場が見学できる「KCMスタンダードチケット」。大人1,400円となっています。
⑤【静岡県・日本平夢テラス】富士山を望む1周200mの八角形デッキ
自然や歴史を感じる大人デートで訪れたいのがこちらのプラン。展望スポットとして立ち寄る「日本平夢テラス」は、隈研吾建築都市設計事務所が手がけたものです。2018年に法隆寺の夢殿から着想を得てデザインされました。空中回廊を持つ八角形の外観が特徴的で、3階の展望フロアから望む360度の大パノラマが見どころですが、地元産のヒノキが複雑に交差した森のような内観も要チェック。2階の「茶房夢テラス」では、静岡県産のお茶や季節のお菓子を味わいながら景色が楽しめます。電車で訪れるなら清水駅よりタクシーで約20分、車なら東名高速道路・静岡ICまたは清水ICより約30分のアクセスです。
⑥【静岡県・COEDA HOUSE】オーシャンビューの絶景カフェ
首都圏に在住のカップルやご夫婦におすすめの、オーシャンビューのグランピングで非日常を味わう旅。「熱海サンビーチ」や「小室山リッジウォーク MISORA」など、グランピング以外でも海をとことん満喫できるプランとなっています。1日目に訪れるローズガーデン「ACAO FOREST」内にある絶景カフェ「COEDA HOUSE」の設計は隈研吾によるもので、2017年に建てられました。1本の大樹のような建築で、外周部の柱をなくして景色を余すところなく見渡せる全面ガラス張りが特徴。内観は、店名の由来にもなっている小枝を集めて作られたような柱が存在感を放っています。海の景色に癒やされながら、季節の食材を使ったスイーツやドリンクを味わってみませんか? 車でのアクセスは東名高速道路・沼津ICより約1時間。また熱海駅から無料送迎バスが出ているので、電車旅もおすすめです。
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⑦【東京都・オカカフェ】緑豊かな公園の中にあるベーカリーカフェ
広い公園の自然を満喫しながら、おしゃれなカフェタイムを過ごしたいカップルにおすすめのプラン。西立川駅からすぐの「国営昭和記念公園」を訪れます。こちらの公園は都内でも有数の広さを誇り、「日本の都市公園100選」にも選ばれているスポット。春は桜やチューリップ、夏は紫陽花やひまわり、秋はコスモスや紅葉など、季節の花々が楽しめます。芝生に座ってのんびり過ごすのも良いですが、園内にある2022年12月にオープンしたベーカリーカフェ「オカカフェ」で過ごしてみては? 隈研吾デザインの木組み構造の建屋が印象的で、遠くから見てもすぐ分かります。組木には多摩産の木材が使用され、存在感を出しながらも、もとからそこにあったかのような一体感を生み出しています。
内観はシンプルな造りになっており、ガラス窓が大きいことで目の前の原っぱ全体を見渡せ、カフェの中にいながらも開放感を得られます。また、存在感のある大きなシェードは、コーヒー豆を入れる麻袋を使ったもの。ナチュラルな素材を使ったおしゃれな内装に囲まれて、心地良く過ごせそうです。西立川駅から園内に入り、池の右側の道を直進して「みんなの原っぱ」を左手に見ながら進み、徒歩約10分。公園の景色に癒やされながら、美味しいパンやコーヒーを堪能しましょう。
⑧【東京都・根津美術館】都内一等地に立つ日本庭園が融合した美術館
こちらのプランは、しっとりとした大人デートにおすすめ。青山・表参道を歩きながら自然やグルメを親しむ1日を過ごします。デートで訪れるのは、実業家・根津嘉一郎(ねづかいちろう)のコレクションを保存・展示する「根津美術館」。1941年に開館したのち、2006年から隈研吾が同館の新創工事に携わり、2009年に現在の姿に生まれ変わりました。彼の代表作のひとつに挙げられる建築で、都内の一等地にあるとは思えないほどの広大な日本庭園が特徴。庭園とつながる大開口のガラス張りで、建築と庭、そしてアートが融合されています。竹が並ぶアプローチから来館者の心を躍らせるのも、彼のなせる業(わざ)。敷地に足を踏み入れた瞬間から鑑賞をお楽しみください。表参道駅より徒歩約8分という都心の洗練されたエリアに位置するので、ショッピングやグルメが楽しめるのも魅力。料金は展示内容によって異なり、大人1,300~1,500円となっています。
⑨【富山県・TOYAMAキラリ】キラキラと輝くアートと文化の館
富山県のグルメも観光も堪能したいカップル・ご夫婦へ。新鮮な海の幸を味わったり美しい風景やショーに出合ったりする日帰り旅はいかがでしょうか? このプランで訪れる隈研吾の建築は富山市中心部に佇む「TOYAMAキラリ」。美術館・図書館・銀行の入る複合ビルとして2015年に建てられました。立山連峰やガラスアートが盛んな富山をイメージさせる外観が特徴で、ガラスやアルミ、御影石が光を反射してキラキラと輝くのが印象的です。まずは「富山市ガラス美術館」で現代グラスアートの作品を、大人200円という魅力的な観覧料で堪能しましょう。館内は地元産の杉をふんだんに使った温かい雰囲気に包まれ、反射した光がやわらかく空間を満たし、ガラス作品を照らし出しています。美術館でグラスアートの世界に浸ったあとは、併設の「富山市立図書館」にも訪れます。美しい光が差し込む図書館で、すてきな読書タイムをお過ごしください。市電「西町」または環状線(セントラム)「グランドプラザ前」から徒歩すぐという好アクセスも、嬉しいポイントです。
隈研吾の世界を巡って新しい旅の魅力を感じよう
隈研吾の建築は、カフェや美術館、道の駅や多機能な複合施設などさまざまです。どれも過ごす時間や目的は異なるなかで、木を巧みに使った和モダンな雰囲気、環境に溶け込むといった彼の建築の特徴が随所に見られます。ただ訪れる場所ではなく“見る対象”とすることで、彼の建築のデザイン性や設計技術の高さがより感じられるはず。ご当地グルメや観光スポットを目的に旅行するのも良いですが、ハコである“建築”に目を向けてみると新しい旅の楽しさが見つかるでしょう。普段の生活でも少し意識していると、身近な場所でも隈建築に出合えるかもしれませんよ。
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記事企画・監修:旅色編集部 みつい
ライター:peekaboo