日本ならではの四季を感じる見た目や食材で、もてなしの品として根付いてきた和菓子。それぞれの由来を紐解くと、古くから季節の催事と関連する和菓子が多くあることが分かります。創業1000年を超える老舗から、趣向を凝らした最新の和菓子を創作するお店まで、ぜひ目で見て、舌で味わって、日本の四季を感じる和菓子を探しに出かけましょう。

季折々の風情が漂う定番和菓子と季節の行事

  • 桜餅
    ピンクの見た目が春らしい 桜餅~桃の節句~

    雛菓子として知られる春の和菓子。大きく分けて2タイプあり、関東は小麦粉で作った焼き皮で餡を筒状に巻くか二つ折りで挟んだ「長命寺(ちょうめいじ)餅」、関西はもち米を蒸して乾燥させて粗挽きした道明寺粉で作った皮で餡を包む「道明寺(どうみょうじ)餅」が主流です。塩漬けの桜の葉を食べるかは好みではありますが、推奨している食べ方が店ごとに異なるので購入する際に聞いておきましょう。

  • 水無月
    初夏の訪れを感じさせる 水無月~夏越の祓~

    白いういろうの上に甘く煮た小豆を乗せた、夏に欠かせない和菓子。京都では、旧暦6月30日に行われる神事・夏越の祓(なごしのはらえ)に、その年の残り半年の無病息災を祈念して食べる風習があります。氷室から氷を切り出して暑気払いをする室町時代の宮中の習わしに由来し、三角はその氷をかたどり、小豆には魔除け・厄除けの意味があるそう。氷に似た涼やかなお菓子で夏を乗り切る先人の知恵ですね。

  • 栗名月
    秋の和菓子の定番 栗きんとん~栗名月~

    中秋の名月・十五夜の約1ヶ月後の十三夜は「栗名月」と言われ、栗を供え、食べる風習があります。この時季に和菓子店に並ぶ栗きんとんは、おせちの栗金団とは別物。漢字では「栗金饅」と書き、裏ごしした栗を茶巾絞りにすることから「栗茶巾」という呼び名も。栗きんとん発祥の地・岐阜県中津川には、毎年発売を心待ちにするファンが全国にいる名店が多数。ほっくり素朴な味わいを、名月とともに楽しんでみては。

  • 花びら餅
    新年を祝う縁起物 花びら餅~正月~

    花びらを模した正月のお菓子で、裏千家の初釜菓子としても有名。そのはじまりは、平安時代の長寿を願う新年の宮中行事「歯固めの儀」の食事が簡略された、江戸時代の「汁のない包み雑煮」と言われています。求肥で白味噌餡と甘煮ゴボウ、甘煮ニンジンを包むのが定番。ほんのり透けて見える薄紅色の正体は、菱餅や羊羹など店ごとに異なります。由緒ある華やかな縁起菓子をいただいて、新年をお祝いしましょう。

以外と知らない!?和菓子のマナ

知っておくと何かと重宝「懐紙(かいし)」

着物の懐に入れておく二つ折りの和紙で、茶席では器からお菓子を取る際の受け皿になります。店で出るお菓子の下に敷いてあることも多いです。食後に口元や手を拭ったり、残した菓子を包んだりと何かと重宝するので、マイ懐紙をバッグに入れておくのもおすすめ。持参して使用した懐紙は持ち帰るのがマナーです。

切って食べる御菓子は「黒文字(くろもじ)」を使って

和菓子用の楊枝のこと。添えられている場合は、それが切って食べるお菓子であることを示します。だいたい3~4口で食べ切れるように計算しながら、切って、食べを繰り返しましょう。その際、お菓子の見た目を損なわないようにしながらいただくのもマナーです。添えられていない場合は手づかみで大丈夫。

もてなすときはお茶が右、お菓子は左が基本

和菓子をお客様に出す場合は、お茶が右、お菓子が左が基本。左から出す場合は、お茶を置いてからお菓子を、右からの場合は逆になります。お菓子を買う際に、黒文字を使うものか手で食べるものかを、お店で質問しておくと安心です。懐紙を器に使う場合は折り目が手前、黒文字はお菓子の手前に添えましょう。

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