ルーツを知り、山に入り、味わい尽くす。野沢温泉村の「食と文化」を丸ごと”あるを尽くす”体験
ふかいふかい

長野県

職場・同僚 / 40代 / 訪れた時期:6月

2026/06/26

ルーツを知り、山に入り、味わい尽くす。野沢温泉村の「食と文化」を丸ごと”あるを尽くす”体験

長野県・野沢温泉村のグルメといえば、何を思い浮かべますか? 郷土色豊かなお蕎麦や、お土産の定番である野沢菜漬けなど、美味しいものがたくさんありますよね。しかし、野沢温泉の食の魅力は「ただ美味しい」だけではありません。
その食材がどうやって生まれ、どのように人々の生活に根付いてきたのか──。今回は、歴史と文化に触れながら、自ら収穫して味わい尽くす、知的好奇心とお腹を満たすディープな食の体験旅レポートをお届けします。

今回はわたくし、深井が体験してきました。野沢温泉村には何度か訪れたことがありますが、いずれもスノーボードが目的で訪れたため、グリーンシーズンに訪れたのは今回が初めて! 景色も含めてまったく違う野沢温泉村を見れたのでその模様をご紹介します。

  • ふかい

    ふかい旅色編集部

    旅色のチーフコンシェルジュ。旅色内はもちろん、テレビ番組などでも旅の情報を発信中! 最近は毎週のように全国各地を飛び回り、旅しながら仕事をしています。旅先で感じた素直な感想を紹介します。

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1. すべてはここから始まった。創業百余年の老舗で触れる「野沢菜」のルーツ

まず向かったのは、野沢温泉村で大正時代から続く、創業百余年の伝統あるお漬物屋さん「とみき漬物」です。

とみき漬物

とみき漬物

とみき漬物さんは、「本物の野沢菜漬け」に強いこだわりを持つお店。木樽を使った昔ながらの伝統製法を守り、お漬物の原料となる野沢菜も自社農園で大切に栽培されています。そんな村の歴史を知り尽くした老舗で、非常に珍しい野沢菜の「種」の収穫体験をさせていただきました。

驚きがいっぱい!野沢菜の「種」収穫

野沢菜の菜葉は春にきれいな黄色の花を咲かせます。そして菜の花が散ったのち、6月下旬から7月上旬にかけて種の収穫が始まります。種を人力で採取していく手法は手間がかかるので、今はほとんど行われていないそうですが、とみき漬物さんは現在でもそれを継続されている数少ない業者です。

たくさん集めていきます

たくさん集めていきます

まずは鞘に種がついたままのものをブルーシートの上に集めていきます。

踏み踏みタイム

踏み踏みタイム

ある程度集まったら、あとはそこからひたすら踏み踏み。

こんな感じで鞘が

こんな感じで鞘が

この鞘の中に種が詰まっています。

踏み終えたら、不要な葉と種が混ざってしまっているので、ザルに入れて選別していきます。

種が割合が多くなるとザルが重くなります

種が割合が多くなるとザルが重くなります

あともうちょい!

黒い部分が種です

黒い部分が種です

ザルでの作業ではこの辺が限界ですので、

最後は機械の力も借りて、完了です。たくさんの種が収穫できました。
私たちが普段目にする青々とした野沢菜からは想像もつかない、カラカラに乾燥した実。「ここからあの瑞々しい野沢菜が育ち、村の食文化が始まっていくんだ」と思うと、一粒一粒がとても愛おしく思えます。

知っておきたい、野沢菜のプチ歴史

体験中、とみき漬物さんに野沢菜の興味深い歴史を教えていただきました。

ルーツは京都のカブ!?

江戸時代、野沢温泉にある「健命寺」の住職が、京都からカブ(天王寺蕪)の種を持ち帰って境内に植えたそうです。しかし、標高が高く寒冷な野沢温泉の気候によって、なぜかカブは大きくならず、代わりに葉と茎が大きく育つように変化していきました。これが、現在の「野沢菜」の誕生ストーリーと言われているそうです。

このあと、健命寺にも立ち寄りましたが、すぐ横の畑では今もなお原種を大事に毎年育てています。約250年前から現代に大切につないでいる光景を目の当たりにすることができます。

命をつなぐ保存食

日本有数の豪雪地帯である野沢温泉において、野沢菜漬けは単なるお惣菜ではありませんでした。雪に閉ざされる厳しい冬を越すための、なくてはならない貴重な「保存食」として、古くから村人たちの命をつなぎ、生活に密着してきた背景があります。
ただ食べるだけでは分からない、歴史の重みと先人の生きる知恵を感じられる、とても貴重なひとときとなりました。

2. いざ、山の恵みの宝庫へ!初夏の風物詩「根曲がり竹」のタケノコ狩り体験

野沢菜の歴史を学んで食へのリスペクトが高まった後は、実際に村の「旬の味覚」を求めて山へ入ります。お目当ては、初夏に地元の人々が熱狂する山の幸「根曲がり竹(ネマガリダケ)」です。

野沢温泉が誇る至高の山菜「根曲がり竹」とは?

一般的なたけのこと違うので、最初はびっくり!

一般的なたけのこと違うので、最初はびっくり!

一般的な大ぶりのタケノコとは違い、千島笹(チシマザサ)という細い笹の若芽のこと。アクやエグみがほとんどなく、サクサクとした心地良い歯ごたえと、口いっぱいに広がる強い甘みが特徴です。

藪の中へダイブ!本気のタケノコ狩り

根曲がり竹の説明を終えたところで、体験に戻ります。
今回はマイクロバスで参加者の皆さんと山の斜面の目の前まで連れていっていただきました。なかなか勾配がきつい斜面での収穫だなと思っていると、勾配どころの話ではありませんでした。

この開けた斜面ではなく、お目当てはその両側の藪の中でした。

マジか⁉ と佇む後ろ姿

マジか⁉ と佇む後ろ姿

促され、やっと進みます

促され、やっと進みます

マジか⁉ と佇む後ろ姿

マジか⁉ と佇む後ろ姿

促され、やっと進みます

促され、やっと進みます

今回の旅の相棒は藪を目の前にしてご覧の通り躊躇しています。決心するまでに約1分。ようやく意を決して進んでいきました。

まさに藪!

まさに藪!

進む先はこのような感じ。当然、道なんてありませんので、草木をかき分けて進みます。

あった!!

あった!!

少し進むとさっそく案内していただいた方が、「ありましたよ!」 と声をかけてくれました。
実際に体験してみないとわからないことですが、素人にはこれだけ生い茂った藪の中で、この小さなお宝を見つけるのは非常に困難! 特に最初は進んでいくことに精一杯で探す余裕すらない状態でした。

あなたはこの中に根曲がり竹を見つけることができますか?

再度見返しても、実はなかなか見つからなかったです

再度見返しても、実はなかなか見つからなかったです

正解は記事の最後に紹介します。

一見するとただの笹林ですが、目を凝らすと地面からニョキッと顔を出す根曲がり竹を発見! 足元に注意しながら、見つけたタケノコを根元から「ポキッ」と折る瞬間は、まるで宝探しのようなワクワク感。心地良い汗をかきながら、自然の恵みをダイレクトに収穫する贅沢を味わいました。

【体験者からのアドバイス】タケノコ狩りは「ガチアクティビティ」!

根曲がり竹狩りは、タフな本格アウトドアです。背丈ほどある鋭い笹藪をかき分けて進むため、「長袖・長ズボン、軍手」は絶対に必須。また、山のマナーとして、「熊よけの鈴」を必ず身につけ、必ず知識のある地元の方の案内の下で安全に体験しましょう。しっかり準備をしていけば、最高の冒険になります! また、勝手に入って収穫することも禁止されていますので、ご注意ください。

3. 【文化】天然の巨大クッキングヒーター。村の台所「麻釜(おがま)」の日常

麻釜(おがま)

麻釜(おがま)

野沢温泉独自の「調理と保存の文化」の心臓部とも言えるスポット、「麻釜(おがま)」に立ち寄りました。
麻釜は、100度近い熱湯がこんこんと湧き出る奇跡の湧泉で、国の天然記念物にも指定されています。

温泉と生きる、究極のエコライフ

驚くべきは、ここが単なる観光名所ではなく、今も現役の「村の台所」として住民の生活に溶け込んでいる点です。

地元の方々が集まり、先ほどご紹介した野沢菜を大きな湯だまりで洗ったり(菜洗い)、山で採ってきた根曲がり竹を豪快に茹でたりしています。
※注意:安全と衛生管理のため、麻釜の立ち入り禁止エリアには観光客は入れません。しかし、少し離れた場所からでも、地元の方々が世間話をしながら手際よく食材を茹でる姿が見られ、温泉の熱を生活に賢く利用する「生き生きとした日常の知恵」を肌で感じることができます。

おもしろいのは場所によっても温度が異なるので、私の家はこの場所で27秒。うちはこの温度が高いところで11秒といったように、温泉卵ひとつとってもその家庭の設定が代々引き継がれているそうです。
温泉の成分と熱で茹でられた野菜は、色鮮やかで格段に美味しくなる。これぞ、この土地ならではの最高の調理法です。

4. 収穫した恵みを大自然の中で!絶景「スタカ湖キャンプ場」でご褒美バーベキュー

この建物は新たに建てられたばかり

この建物は新たに建てられたばかり

ルーツを知り、山で汗を流し、村の文化を学んだら、いよいよ旅のクライマックス! 収穫した食材を持って、標高1,300mに位置する上ノ平高原の「スタカ湖キャンプ場」へ向かいます。

白樺の森と湖に囲まれた、秘密のロケーション

温泉街から車を走らせると、そこは静寂に包まれた別世界。美しい白樺の原生林と神秘的な湖畔が広がる、絶好のアウトドアスポットです。

巣鷹湖

巣鷹湖

さわやかな高原の風を感じながら、いよいよバーベキューのスタート!

採れたての根曲がり竹を「丸焼き」で食す贅沢

一番のお楽しみは、自分で収穫した根曲がり竹の炭火焼きです。

BBQだからこそダイナミックにまずは焼きから

BBQだからこそダイナミックにまずは焼きから

個人的にはこれが1番シンプルにおいしさを味わえて好みでした

個人的にはこれが1番シンプルにおいしさを味わえて好みでした

BBQだからこそダイナミックにまずは焼きから

BBQだからこそダイナミックにまずは焼きから

個人的にはこれが1番シンプルにおいしさを味わえて好みでした

個人的にはこれが1番シンプルにおいしさを味わえて好みでした

皮がついたまま網の上でじっくりと焼き上げ、焦げた皮を剥くと、中から湯気とともに甘い香りが立ち上ります。アツアツのタケノコに味噌やマヨネーズを少しつけて一口かじれば、サクッとした食感の後にジューシーな旨味があふれ出します。
個人的にはこの食べ方が一番おすすめです! ご自宅でいただく場合はオーブントースターでもOKだそうです!
ほかにも、タケノコや野沢菜を使ったピザなど地元の食材をふんだんに使用した料理が並びます。

たけのこのピザ

たけのこのピザ

野沢菜を使用したピザ

野沢菜を使用したピザ

たけのこのピザ

たけのこのピザ

野沢菜を使用したピザ

野沢菜を使用したピザ

驚きの旨さ!ソウルフード「サバ缶入りのタケノコ汁」

さらに今回は、バーベキューのスープとして地元の特別なメニューを作りました。それが、「サバ缶を使ったタケノコ汁」です。

意外な組み合わせに驚くかもしれませんが、この地域では根曲がり竹のシーズンになると、どこの家庭でも作られる定番の味噌汁です。 根曲がり竹と、サバの缶詰(水煮)を汁ごと贅沢にお鍋へ投入。サバの濃厚なダシと脂が、タケノコの優しい甘みと絶妙にマッチして、コクがあるのに後味がさっぱりとした絶品スープに仕上がります。
信州産のお肉や地元の新鮮な野菜と一緒に味わう、自分で採って、背景を知って食べる料理の味は、高級レストランにも勝る最高の贅沢でした。

5. まとめ:背景を知れば、味わいはもっと深くなる

とみき漬物さんで触れた野沢菜の小さな種と歴史、泥だらけになって見つけた根曲がり竹、麻釜で見かけた村の日常、サバ缶を使ったタケノコ汁、そしてスタカ湖での最高のバーベキュー。
今回の旅で実感したのは、「野沢温泉の食は、厳しい自然環境と、それに寄り添う人々の歴史・文化そのもの」だということです

長野県の方言に「あるを尽くす」という言葉があります

出されたものを残さず食べるという意味合いですが、ただ名物を消費するだけでなく、その背景にある物語を知ることで、旅の思い出も、食材の味わいも、何倍も深く濃いものになります。お腹だけでなく、知的好奇心まで満たされる野沢温泉の「美味しい体験旅」。ぜひ皆さんも、その深みに触れに出かけてみませんか?

途中、問題を出していた答えがこちらです! 見つけられましたか?

実はこの中に3つあって、実際に収穫したはずなのですが、あとで見返すと見つからず。もし見つかったら教えてください。

答え合わせ

答え合わせ

旅色編集部 ふかい

参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。

記事企画・監修:旅色編集部 ふかい

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