手打ちうどん まごころ
香川県 坂出・丸亀・塩飽諸島
うどん巡り1杯目に最適な本格讃岐うどん
タベサキ
うどんの生産量、消費量ともに日本一を誇る香川。たわわに育った小麦の収穫を迎える初夏、風になびく穂麦の音色に耳を傾けながら讃岐の国に出掛けてみましょう。
Text:岡井祥子(P.M.Aトライアングル)
四国の北東部に位置する香川は四国山地と中国山地に挟まれ、雨雲が入りづらく、降水量の少ない地域です。そんな香川では昔から、乾いた気候でもよく育つ小麦の栽培が盛んでした。現在、小麦は国内自給率が低いため、うどん作りには輸入小麦が多く使用されていますが、香川県では小麦の品種改良によりうどんに適したうどん用のオリジナル小麦「さぬきの夢」が開発され、多くのうどん店で使用されるようになっています。
うどんの原料として、もうひとつ欠かせないのが塩。讃岐うどん独特のコシを生み出すのに必要な塩も、坂出市や宇多津町の地域では、遠浅で潮の干満の差が大きな瀬戸内海の砂浜を利用した「入浜式」と呼ばれる伝統的な塩作りが受け継がれ、まろやかでコクのある塩が作られてきました。
ほかにも、ダシの素材となるいりこ(煮干し)の原料、カタクチイワシは伊吹島周辺の燧灘(ひうちなだ)を中心に瀬戸内海で豊富にとれ、小豆島では香川の塩を使って伝統の「木桶仕込」によるしょうゆづくりが盛ん。香川の風土が育てた良質な素材が集まり、いまでは県内に600以上のうどん店が軒を連ねるほど、讃岐うどんの文化が根付いたのです。今回は、そんな香川のうどん文化を紐解き、伝統的な塩作り体験ができる「うたづ海ホタル」や讃岐うどんの名店、さらには旅の余韻と一緒に持ち帰りたい、土産物としてのうどんの数々も紹介。噛めば噛むほど味わい深い、讃岐の国を訪ねます。
小麦はもちろん、讃岐うどんを作るうえで欠かせないのが塩です。讃岐地方では昔から「土三寒六常五杯(どさんかんろくじょうごはい)」という、うどんを作る際の四季の温度変化に対する塩加減を伝承する言葉があります。土用の頃は塩1に対して水3、寒の頃には水6、春と秋は水5の割合で塩水を作って小麦粉に混ぜていました。徹底した塩加減に加え、ゴザで包んだ生地を踏む、伝統的な足踏み作業があってこそ、讃岐うどんの強いコシが生まれるのです。
讃岐うどんのコシを決める塩も、瀬戸内海に面した香川県のほぼ中央に位置する坂出市や宇多津町では、1年を通して雨が少なく海も遠浅であることから、最盛期には全国の3分の1の塩を生産するほど塩作りが盛んでした。江戸時代後期には久米栄左衛門通賢(みちかた)により入浜式塩田が普及し、讃岐の特産物にもなりました。入浜式とは、潮の干潮差を利用した塩作りで、江戸時代から昭和30年台まで続いた伝統的な製法です。現在では、1971年の塩田廃止に伴い塩作りは工場生産になっていますが、宇多津町ではそんな伝統的な入浜式の塩作りを体験できる場所があります。
0877-49-0860 ※要予約(1週間前まで)
うたづ海ホタル:9:00~21:00、塩づくり体験時間13:30~15:00(約90分)
月曜定休(祝日の場合は翌日休)、年末年始
電車:JR宇多津駅より徒歩約20分、車:瀬戸中央自動車道坂出ICより約15分
P/駐車場(54台):金・土・日曜・祝日・祝前日休前日は22:00~翌7:00時まで出入り不可
県内に600店以上あるといわれるうどん店。讃岐うどんの店には3つのタイプがあるのをご存知でしょうか? 通常の飲食店と同様に、着席したらスタッフが注文をとりにくる「一般店」。入店後、カウンターですぐに注文し、トレーにサイドメニューなど好きなトッピングをのせ、そのまま精算までレール形式で流れる「セルフ店」。またうどんの麺を生産している工場に併設し、できたてのうどんが味わえる「製麺所」の3タイプです。ビギナーはまず「一般店」から入店してみましょう。
丸亀市にある「麦香」は、北海道産小麦と、香川県産の「さぬきの夢2009」という讃岐うどんのために改良生産された小麦をブレンドした国産小麦100%が自慢の店。茹で置きせず、出来たてを提供することにこだわり、「一般店」タイプで営業している店のひとつです。一番人気の「かけちく」は、うどんの麺のコシと小麦の風味を堪能できるのはもちろん、いとより鯛を原料とした、香り、食感ともにワンランク上のちくわの天ぷらが、揚げたてアツアツで味わえます。うどんダシとの相性も考え尽くされたサイドメニューやトッピングは地産地消にこだわり、農家から直接仕入れる野菜や地鶏を多く使用。香川の“おいしい”が詰まった一杯が楽しめます。
0877-86-2910
10:00~15:00
水曜休
38席
280円~
アクセス/電車:琴平電鉄(ことでん)琴平線岡田駅より徒歩約8分
本場の讃岐うどんを、味はもちろん店の雰囲気も一緒に楽しむなら「製麺所」タイプの店にも訪れてみましょう。麺の卸しが本業の製麺所は、基本的に工場の一角を店にして開放しているため、客席数が少なく行列ができている店も少なくありません。また、その日に用意できる麺の数にも限りがあり、営業時間も比較的短い店が多いため、早めに訪れるのがおすすめです。
塩作りの街・坂出市にある「日の出製麺所」は香川県産小麦を使ったうどんの麺を中心に、いりこだしや坂出の塩なども販売している、卸しと販売がメインの製麺所です。こちらでは隣接する食事スペースを使って、昼の1時間だけうどん店として営業しています。注文は「ぬるい麺」「冷たい麺」「熱い麺」「かま玉」の4種類からまず選び、つゆとネギやしょうがなどの薬味はセルフサービスで、そのほか机上に並ぶ天ぷらなどのトッピングも自分で好きなものを取っていただきます。慣れていないと戸惑ってしまうようなルールですが、常連客に混じって本場ならではの味わい方を楽しむのも、旅の醍醐味ではないでしょうか。
0877-46-3882
食事:11:30~12:30、販売:9:00~17:00、土・日曜・祝日9:00~16:00
不定休
16席
食事:小1玉100円~
電車:JR坂出駅より徒歩約10分、車:瀬戸中央自動車道坂出ICより約3分
28台(土・日曜・祝日は58台)
うどんはもちろん、観光名所も楽しみたいという人におすすめなのが、JR高松駅発着の観光バス「うどんバス」。県内に600以上あるうどん店のなかから、よりすぐりをピックアップした讃岐うどんの名店のほか、さまざまな観光名所も一緒に巡る旅を提案。半日コースと1日コースの2コースがあり、手軽に楽しめる半日コースでは、午前と午後の2プランを用意。曜日によって異なるうどん店に立ち寄ってくれます。また時間をかけてじっくり巡りたいという人には1日コースがおすすめ。うどん店のほか、金刀比羅宮や丸亀城、善通寺なども巡り、自由時間も用意されているので、訪れた先で散策や買い物なども楽しめます。
0877-22-9191(丸亀営業所:9:00~18:00、土・日曜・祝日9:00~16:00)
運行/半日コース:月~金曜9:25~、12:30~、1日コース:土・日曜・祝日9:25~
GW、お盆、年末年始
半日コース:大人1,000円、子ども500円、1日コース:1,500円、子ども750円
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